- Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167110062
感想・レビュー・書評
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読後、何となく開いた手のひらを、じっ…と見つめてしまった。
(持っているものと、
私のものだ、と信じていたけれど。)
その手の中には何も無かった。
妻と娘を乗せたバスが崖から転落。
奇跡的に娘は助かったが、妻は死んだ。
「行ってきまーす♪」
笑顔で出かけて行った彼女達は
数日後には
「ただいまぁ~♪」と、
元気に帰ってくるはずだったのに。
何て不確かな明日。
握りしめていた、と信じていたモノは
いとも容易くするり、と抜けて無くなってしまう…。
元々、無いものだったのだろうか?
仏教でいう『本来無一物』と言う言葉が示すように。
が、
東野さんは『死』から再び妻を取り戻してくれた。
それも、娘の肉体に。
(…ファンタジー?)
現実を突きつけられて絶望している身に、
寓話の類は浸透しにくいかな…と、一瞬感じた警戒心であったが、それも
あっという間に消滅してしまった。
妻の魂が宿った娘と共に生きる、父親の複雑かつ深い心情には、ほんと涙が溢れて止まらなかった。
『死』なんかには絶対わからない。
この手の中には元々何も無い、
何一つ、自分のものじゃない、なんて嘘。
妻も夫も子供も家族も、そりゃ自分の体でさえ
自分のものでは無い…かも知れないけれど、
大事な人達への愛だけは
この手の中から溢れ出す。
手のひらのなかに温かさが戻った気がして、
もう一度、硬くぎゅっと握り締めてみた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「秘密」の意味を知った時、無性に泣けてきた。
妻と娘の関係、そして夫と父親。
この関係の複雑な思いがたまらなかった。 -
初めての東野圭吾さんの作品。
鳥肌が立ちました。
すごく切なくって、何度も何度も大事なポイントを読み返しては、ハッとさせられた。
タイトルに迫る「秘密」の謎が解けた時は言葉にならなかった。秀作ですねー。 -
切ない。ラストが切ない
事故で妻を亡くし、娘が一命をとりとめるものの、その身体には妻の意識が宿る。そんな娘の身体をもった妻と主人公の秘密の物語。いわゆる、SFものでよくある設定で、前半はちょっとコミカルで面白い話でもありますが、徐々につらく、切ない話になっていきます。
娘と見るのか、妻と見るのか、娘が成長していくにつれ、主人公、平介のこころのゆれ、その場、その場での心情がリアルに伝わってきます。
その辺が秘密と思いきや、ラストが秘密
とてもつらい秘密だなと。
本書の中で
「自分が愛する者にとって、幸せな道を選ぶ」
といった言葉がずしーーーんと心に残ります。
うーん、やっぱり、東野圭吾は重く、考えさせられる作品なのですねぇ。 -
最後の最後で「秘密」の本当の意味がわかった。
ファンタジー要素が強いかと思ったけど、それぞれの複雑な心情が描かれていてリアルだった。 -
ラストの本当の「秘密」はマジか、、という気持ちになれて面白かったけど
平介に全然共感できなくて微妙だった。 -
うん、ありえない話だけど
身体と心の葛藤をそれぞれの面から表してる
「秘密」というのがなんだったのか。 -
娘とは結婚して添い遂げることも出来ないし、外から見て不自然な関係性を続けることもできないし、でも最愛の妻の隣にいたいしで、その間に揺れるお父さんの葛藤が伝わってくる。大切にしたい人が幸せになる選択を取る、みたいな言葉があったような気がするけど、素敵な言葉だなあって思いました。決断に迷った時に、自分だけじゃなくて、大切にしたい人への影響を考えて判断するのも、ありよりのありだなー。
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電車の中で泣きながら読んだ。
直子の覚悟、平介の苦悩の中での成長がよい