手紙 (文春文庫)

  • 27486人登録
  • 3.84評価
    • (3116)
    • (3826)
    • (4033)
    • (376)
    • (68)
  • 2745レビュー
著者 : 東野圭吾
  • 文藝春秋 (2006年10月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (428ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167110116

手紙 (文春文庫)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 私が初めて読んだ東野圭吾さんの本です。この本をきっかけに好きになって東野圭吾さんの本を50冊以上読み、今も読み続けています。私にとって記念すべき一冊です。

  • 主人公直貴の兄は弟を大学に入れる金欲しさに強盗殺人を犯してしまう。
    その後、直貴は「殺人者の弟」のレッテルを貼られ、就職、結婚、バンド仲間、あらゆる所から見えない差別を受け社会から追われてゆく。
    昼間の大学を卒業し過去を隠してやっと就職した電器屋の量販店でも、店に窃盗がありその事によって過去が明らかにされてしまった。
    彼はその事で職場を配置換えになる。
    差別に苦しむ彼の前にそこの電器屋の社長が現れ、「差別は当然の事だ。それが世間だ」と言い放つ。
    差別は幼いわが子にまで及び、とうとう直貴は兄との縁を完全に断ち切ってしまう。

    甘えを全然許さないストーリー。
    差別、偏見は当然の事、それを正々堂々と世間に隠さないという事すら許さない差別。
    それが社会だという事を私自身改めて考えさせられた。

  • 強盗殺人の罪を犯した兄を持つ直貴が進学、恋愛、就職、夢をつかもうとするたびに犯罪者の弟という運命を突きつけられる。人の絆や贖罪をテーマにした作品。
    自分が直貴の立場だったら、直貴の周囲の人間の立場だったらと登場人物に自分を置き換えた場合に、自分はどんな行動、態度をとれるだろうかなどいろいろ考えさせられる作品でした。

  • 加害者家族に焦点を当てた作品という事で読んでみたが、読んでいてとても辛かった。

    子供の不始末は親の責任とか、親の躾が悪いからとか、耳にする事があるが、親ならば多少なりとも責任はあるのだろう。

    では未成年の弟に、兄の犯した罪の責任はあるのだろうか・・・

    責任は無いと思っていても、強盗殺人犯と関係がある人と関わりを持ちたくない、怖い、と思ってしまうのは、ごく普通の考えだろう。


    実際に罪を犯した剛志よりも、何の罪もない直貴の方が苦しんでいる。
    剛志は、塀で守られ、衣食住を与えられ、病気をすれば医者に診てもらえ、仕事も与えられる。
    逆に直貴は、世間の冷たい目に晒されながら、必死にもがき苦しみ生きている。

    剛志から届くお気楽な手紙が、直貴の辛く苦しい人生を更に際立たせているように感じた。

    直貴の最後の手紙。剛志の最後の手紙。直貴の目に映る、剛志の最後の姿。
    何もかもが辛くて。。。。悲しくて。。。。涙が流れた。

    出所して、塀という守られた世界から出た時、剛志は初めて直貴の苦しみを理解することになるだろう。
    その時の剛志を思うと心が痛む。
    罪の償いに終わりはないのかもしれない。

  • 小説も映画も気になってたけど、どちらも観ないままだったと気づいて。
    大ヒットした作品だから今さらながら、という感じだけど。

    端的に言うと、強盗殺人事件を起こした兄を持つ青年・直貴を主軸とした物語。
    獄中の兄から毎月届く手紙と、その手紙を巡る人間模様。
    自分は何も悪いことはしていなくても、そういう兄弟を持ってしまったことで、就職、恋愛、結婚、夢、あらゆることがうまくいかなかったり、差別を受けることになってしまう。とても重くて、辛い内容。

    読みながら、秋葉原の無差別殺傷事件のことを思い出した。その事件自体ではなくて、事件の後、犯人の弟が自殺してしまったということを。
    犯人が隣の市出身だから、たまに知ってる人がいたりして、少し話を聞くこともあって…こう言ってはあれだけど、事件を起こした人間はその後すぐに社会には戻らないで刑期を過ごすなり死刑になるなりするけれど、そういう家族を持った人間は変わらず社会の中にいて、もしかしたら受刑者よりも苦しい思いをするのではないかと思う。

    この小説もそうで、いつまで経っても兄の起こした事件が直貴につきまとう。それは理不尽に思えることばかり。
    でもこれは直貴にスポットを当てているからそう感じるだけで、もし実際近くに直貴のような人がいることが分かったら、自分だって小説に出てくる多数の人間のような振舞いをしてしまうのかもしれないと思う。露骨に避けはしなくても、腫れ物に触るような扱いをしてしまうかもしれない。それも無意識に。
    だからそういう差別はけして特別なことではないということ。
    私自身は法に触れるわけでもないことで差別されたことがあるくらいだから、世の中にはそういうことって溢れてるんだと思う。悲しいけれど、当たり前に。

    一度重大な過ちを犯してしまったら、それまでどれだけ真面目に生きてこようが、どれだけ優しい人間であろうが、そんなことは全く関係なくなってしまう。外から見ている人間の大半は、起きた事実にしか目を向けない。
    「本当は悪い人じゃないのに」って身近な人間が思ったとしても、罪を犯してしまえばみんな一様に「悪い人」にされてしまう。それも当然のこと。

    それぞれ色んな思いがあって起こってしまったことだからこそ悲しくて、どうにかして防げなかったのかと辛くなった。
    ほんの少しの気の迷いで周りの人間の人生までめちゃくちゃにしてしまう可能性がある。それは常に心に留めておかなければならない。

    東野圭吾さんの小説って数冊しか読んだことなかったけど、すごく読みやすくて、どんどん進む面白さがあった。売れてる理由が分かりました。

  • 考えてみると、東野さんからはいつも
    (答えの出ない問題から目を背けるな。)
    と、言うメッセージを発信されているような気がする。

    日々のNEWSで度々目にする痛ましい殺人事件。
    (ひどい事するね)
    (他人の命奪う権利が、一体誰にあるっていうのよ!)

    犯人への怒りは収まらないが、
    フト、
    家族へのインタビューが始まると、複雑な気分になってしまう。

    私は
    彼らにも責任がある、とか
    同じ血が流れている事をおぞましい、とか
    思った事はない。

    むしろ気の毒だな・・・と、同情はするが、
    果たしてその感情は、どこまでが本心なんだろう?

    (身に降りかかる災いは避けようよ…)
    心の裏側から聞こえた薄暗い声が、自分のものである事に気付いて、
    ゾッとしてしまった。

    こんな、
    こんな自分の本音を聞きたくはなかった。

    物語内で殺人を犯してしまった兄だが、
    両親を早くに亡くし、(自分はいくら苦労しても構わないから、弟だけは大学に行かせてやりたい。)
    と、残忍な凶行に及んでしまったのは、実は弟を思いやる優しい気持が原因であった。

    殺人も突発的であり、同情の余地のある犯行…
    いや、でも、殺されてしまった家族にとっては犯人の事情なんて全く関係ないよな。

    弟の思いも複雑だ。

    思いっきり恨めればむしろ、すっきりするだろうに、
    自分の人生を蔑ろにしてまで弟の為に犯罪者になってしまった兄を心の底から憎むことが出来ない。

    …が、
    世間はやはり非情であった。

    犯罪者の家族、と貼られたレッテルは
    彼から全ての未来を奪って行った。

    夢も希望も愛する人も。

    人を信じる事が出来ないつらさ。まるで生きる事を剥奪されかけている弟には、一体どれ程の罪があると言うのだろう。

    はじめて
    東野さんの作品を
    (早く、読み終えたい…)と、思ってしまった。

    それは
    東野さんなら、答えを出してくれるのかも知れない。
    もしかしたら
    この後、彼に一筋の光を与える言葉を見つけてくれるかも知れない。

    でも、私は・・・
    私のなかで、その光を見つけ出せないのだ。

    一気に読み終え、
    ラストの光景を目にした私は、
    (救い)と言う意味の本当の意味を知った…様な気になった。

    温かい思いで心を満たしたい、と誰もが思うが、
    それだけが全てじゃない。

    犯罪者には決して届かない光を求めるから(苦しみ)は生まれるんだ。

    上手くは説明出来ないけど

    救われたいと願うから救われないのかも。

    全篇を通して流れる『イマジン』が
    差別と偏見のない世界を歌う。

    今も歌い継がれてる、今も聞く人の胸に響くと言うことは
    決して無くなってはいないからかもなぁ、とぼんやり思った。

  • 自分の現実にはない出来事。
    でも、この現実を受け入れなければいけない人がいるのも事実。
    なにかコメントしても、その現実を知っている人にあまりに失礼な気がして。

    なんでだろう。
    愛があるのに。

  • 一気に読みました。
    犯罪を犯した加害者の家族の話。

     日々、多くの殺人事件が起きる現実社会において、自分は関係ないと思い暮らしています。でもその事件の数だけ、被害者が居て加害者がいる。同じくその家族も。

     マスコミ的に事件の内容や動機、推理をすることは可能ですが、当事者の家族を題材に書かれることはあまりない。

     刑務所に入り、閉鎖された空間で過ごす加害者よりも、社会の中でむき出しにされ、虐げられながらも生きなければならない加害者の家族の苦悩を描いています。

    家族に罪は無いと思いながらも、関わりたくないと言う感情も良く分かる。

    普段の趣とは大きく視点を変えた、静かな苦悩の物語でした。
    「さまよう刃」の対極にあるかと思いましたが、そう単純ではないですね。

  • 東野圭吾の世界に私を飛び込ませてくれた作品。
    本を読んで涙を流したのは初めてで、それ程自分が中に入り込めた。

  • 厳しい環境で、どのように生きていくかを考えさせれる一冊です。
    私は、この本に出てくる人のような境遇ではないけれど
    ここに出てくる弟や、弟の妻はとてもとても強い人間だと
    思います。

    でも精一杯がんばれば、くもの糸を1本1本増やすように、
    応援してくれる人が増えていくということを教えられました。

全2745件中 1 - 10件を表示

東野圭吾の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

手紙 (文春文庫)に関連するまとめ

手紙 (文春文庫)を本棚に登録しているひと

手紙 (文春文庫)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

手紙 (文春文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

手紙 (文春文庫)の作品紹介

強盗殺人の罪で服役中の兄、剛志。弟・直貴のもとには、獄中から月に一度、手紙が届く…。しかし、進学、恋愛、就職と、直貴が幸せをつかもうとするたびに、「強盗殺人犯の弟」という運命が立ちはだかる苛酷な現実。人の絆とは何か。いつか罪は償えるのだろうか。犯罪加害者の家族を真正面から描き切り、感動を呼んだ不朽の名作。

手紙 (文春文庫)の単行本

ツイートする