新装版 青葉繁れる (文春文庫)

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著者 : 井上ひさし
  • 文藝春秋 (2008年1月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167111267

新装版 青葉繁れる (文春文庫)の感想・レビュー・書評

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  •  主人公達の通う高校の卒業生として読みたいと思っていた。井上ひさしは大先輩として高校に通っていた時から名前は何度も聞いていた。作中で出てくる応援歌一番!自分が通っていたころはもうこの小説とはだいぶ雰囲気も変わっていたが受け継いでいたところもたくさんあり小説を読みながら懐かしくなった。特にチョロ松(校長先生)が…一高生には涙もの。
     今だと大問題になりそうなこともあるが時代が時代ということだろう。それがいいというわけでもないが、今の方がいいとも一概には言えない。

  • なんだろうか、この痛快な青春小説の後ろにある得体のしれない闇は。大人に噛みついたり、大人のだらしなさを笑い飛ばしたり、大人を真似て酒を呑んだりしながら、戦後の混沌としたモラルが透けて見える。性的なものに関する少年たちの憧れを描きながら、一方で現実には性風俗の暴力的な描写が挟まれている。切ないが、それを笑い飛ばすような乾いた笑いが主人公たちにある。

  • 若さという強さと弱さを、惜しげもなく、そして恥ずかしげもなく押し出したThe青春小説。それをただの「青い話」で終わらせないのが井上ひさし氏の日本語の巧。特に終盤の描写は、それまでの流れを全て収斂し、不思議な涙を誘います。

  • 初めて読んだ井上ひさし作品。
    図書館で立ち読みしたところ、シーンとした館内で何度も笑い声が漏れそうになり途中で断念しました(続きは購入して自宅で)。

    終戦から数年経った仙台の、名門校の落ちこぼれ5人組を中心とする青春小説。
    全編が仙台弁での会話で、仙台に生まれ育った私は楽しく読みましたが、他(東北以外)の地域の方には読みにくい(分かりにくい)かもしれません。
    とにかく一つ一つの言葉にユーモア満載。おバカな主人公たちを始めそれを取り巻く登場人物も個性があり魅力的です。
    主人公たち一高生とお隣の二女高生が合同で劇をやるエピソードと、「それじゃ初雪だっぺ」がお気に入り。

  • 冒頭の妄想の羅列が面白いと知人との会食で話題に上ったので早速図書館で借りて読む。しょーもない少年たちのしょーもない青春劇。たん瘤に対して等稔たちがやってることは普通に犯罪だと思うんだけど。。でもなんだかコミカルで笑えてしまう。。あんなにいい奥さん持ちながら若い女に現を抜かすのは許すまじだけどチョロ松の生徒への想いはいいね。こういうしょうもないところから失恋などを経て、ひとつひとつ学んで少年たちは大人の男になっていくんでしょうか。仙台の街そして少年たちのむさくるしく生(性)命力の溢れる様を表すかのようなタイトルが秀逸。。

  • 2017.7.9
    本当に面白い作品。いいなあこんな高校生活は。何がいいのかな?牧歌的で、正義を重んじる人が多いからかな。そう、これが青春なのだ。

  • いい大人がいると子供はよく育つのかな

  • 【Entertainment】青葉繁れる/井上ひさし/20160129(14/440)<248/31554>
    ◆きっかけ
    ===qte===
    リーダーの本棚産業技術総合研究所理事長 中鉢良治氏 「二焦点」で人間を探る
    2015/12/6付日本経済新聞 朝刊
      読書の幅を広げたのは「これ面白そう」と妻がつぶやいたテレビの番組とテキストだった。
     本は置き場所がなくなるくらい学生時代から貪り読みました。一期一会だと思うので繰り返し読む、いわゆる座右の書というものはないです。ただ、強いて言えば心理学者、河合隼雄さんの『日本人のこころ』がそういう存在でしょうか。
     1983年放送のNHK市民大学のテキストです。私は理系ですが、文系との間に位置する心理学の大家が考えることにひかれました。日本と欧米の違いについてでした。
     河合は日本を「中空均衡型」、欧米を「中心統合型」の精神構造と定義し、説明します。欧米人は最も大事なもの(リーダー)を中心に据えて組織を形成しますが、日本人は中心にそれがなくても周囲が支える。というか強いリーダーは望まない。河合はそうした日本人の精神構造を神話を引用しつつ解き明かします。
     例えば神社の社殿やほこらです。中はがらんとした空間であることも多い。日本には一番大事なところをわざと空けておく文化があります。
     ただ、欧米人にはそれが理解しにくい。私もソニー社長の頃、欧米人とよく議論しました。どちらがいいということではない。ですが、それを理解し合うことが、グローバル化を進める上でとても重要です。
     河合の本は全部読みました。河合になりたいと思った時期もあります。心理学を独学で勉強し、自腹で心理学講座のようなところにも通った。自分は理系の中だけにいるんじゃないぞという信念がありましてね。理系と文系の間をつなぐ存在として河合の存在は大きかったです。


     河合を読んでいて思うのは、人間には表層的な自分と深層の自分、あるいは表向きの自分と不条理な世界の自分があるということです。小説には理性的な人間や正義漢が出てくるが、異常性愛者や犯罪者も主人公で出てくる。三島由紀夫も川端康成も両方を書いています。小説家はそれを行ったり来たりしながら自分の中で均衡を保っている。私はそれを心の「二焦点」と呼んでいます。
      東京の知識人を憧憬する。歯がたたないと思う作家もいる。
     高校時代、好きだったのは夏目漱石の『吾輩は猫である』です。東京の知識人の何気ない日々の営みにあこがれました。でも、漱石が『三四郎』『それから』『門』の三部作を書いたのも忘れてはいけません。二焦点です。人間のずるさがにじみ出ている。河合と出会ってからは、そんな補助線を入れて小説を読むようになりました。
     河合以外で「これはかなわない」と思ったのは同じ東北出身の井上ひさしです。高校時代を書いた『青葉繁れる』は見事でした。並外れた感性、文章力。『吉里吉里人』も圧巻です。なんと言う博学、取材力か。国家とは何かを学びました。本はふせんだらけになりました。
     大学時代に出合った本ではロゲルギストの『物理の散歩道』がよかった。理系に進んだ喜びをかみしめました。東大の名物物理学者など数人の筆者がエッセイ風に物理の面白さを紹介します。60年代の本で、教授陣は持ち回りで自分の家に仲間を招き、談論風発を楽しんだ。僕も産業技術総合研究所に来てから、所内の人を交えて科学を語り合う機会をできるだけ持とうとしています。

      日本人とは何だろう。じっくり考えたのは米国赴任後だった。
     ビジネス書を1つ。日本がジャパン・アズ・ナンバーワンといわれた80年代にグローバル人材育成を目的にした研修に会社から派遣されました。英語漬けの講義がバタ臭くていやだなあと思いましたが、野中郁次郎さんの講義は面白かった。そして出合ったのが『3Mの挑戦』。鉱山会社が技術革新を繰り返し、磁気記録などで世界的メーカーになった。私も大学で鉱山学、ソニーで磁気記録をやっていたので共感しました。自分の仕事もイノベーションなんだと自信を持てた。


     最後は徒然草です。海外で名著を読むと日本を再確認できると言いますが、私の場合は米赴任からの帰国後でした。吉田兼好とはたいへんな教養人で、日本人の原点。端正な感じがした。多分、日本人だからすごいのではない。どこにいても、いつの時代にいても優れていただろうからそう思えたのです。現代人は流行に振り回されやすい。もっと普遍的なものに目を向けるべきです。


    (聞き手は編集委員 中山淳史)
    【私の読書遍歴】
    《座右の書》
    『NHK市民大学・日本人のこころ』(河合隼雄著、日本放送出版協会)、『神話と日本人の心』(河合隼雄著、岩波書店)
    《その他愛読書など》
    (1)『吾輩は猫である』(夏目漱石著、新潮文庫)。英語教師の家に飼われる猫の視点から人間模様を風刺的に描いた漱石の処女小説。
    (2)『吉里吉里人』(上・中・下、井上ひさし著、新潮文庫)。東北地方の架空の一寒村が日本政府に愛想を尽かして独立宣言。攻防をユーモラスに描いた小説。
    (3)『物理の散歩道』(ロゲルギスト著、岩波書店)。身の回りの何気ない事象、現象を物理の視点で解き明かす。
    (4)『3Mの挑戦』(野中郁次郎、清沢達夫著、日本経済新聞社)。今も評価の高い企業研究書。
    (5)『新版 徒然草』(兼好法師著、小川剛生訳注、角川ソフィア文庫)。鎌倉時代に書かれ、日本の三大随筆の一つに数えられる。
     ちゅうばち・りょうじ 1947年生まれ。77年東北大院工学研究科博士課程修了、ソニー入社。取締役代表執行役社長などを歴任。2013年から現職。
    ===unqte===

    ◆感想
    ・かなり以前に読んだことを思いだして(図)で借りた。最近、高校時代の恩師と飲んだり、高校学年全体の同窓会が開催されるとの話もあり、なんだかあの無邪気に無条件に楽しかった濃密な時間だったあの頃が、著書によって妙にリアルに思いだされた。howto本にはない、本のありがたさをしみじみと感じた。
    ・最初数ページの導入は男なら惹かれる。妄想=想像力の逞しさ、これがすべての行動の駆動の源になっている気がする。特に若い頃はw。
    ・地元のエリート校だから許されたおおらかさも感じる。特に、あとがきの著者のエピソード(映画の道を進みたいから、毎日午後に欠かさず映画館に通いたい、とそれを教師に求めたところ、その教師は、東大はあきらめること、欠席した授業の自習はすることなどを条件にあっさりと認めてしまった)が秀逸。今では考えられない。ある意味、自由と責任がきちんとセットになっていたのだなと。

    ◆引用
    なし

  • 151026
    最近本を読めていなかったので、リハビリとして。電車の中で少し笑ってしまった。男子校出身なら共感できるかもしれない。ただ、いまよりやることは激しい。この時代のおおらかさを感じた。最後はいい話。

  • 男子校時代の高校生の青春を描いた小説。応援歌一番を歌ったシーンは感動した。

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新装版 青葉繁れる (文春文庫)の作品紹介

「あげな女子と話ができたらなんぼええべねす」…東北一の名門校の落ちこぼれである稔、ユッヘ、デコ、ジャナリの四人組と、東京からの転校生、俊介がまき起こす珍事件の数々。戦後まもない頃、恋に悩み、権力に抗い、伸びやかに芽吹く高校生たちの青春を生き生きと描く。ユーモアと反骨精神に満ちた青春文学の傑作。

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