槍ケ岳開山 (文春文庫 に 1-10)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167112103

感想・レビュー・書評

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  • 自分の犯した罪を僧になることにより浄化しようとするが、中々出来ず死に際に克服したのかなと思われるところに思うところがあった。

    播隆の思いとは裏腹に勝手気ままに好きなことを言いまくる弟子達にヤキモキしながら読んだ。

    堅実に戒律を守ろうとしているのに、山の掟に従えとめっちゃ怒られて従うところとかは少し笑ってしまった。

    槍ヶ岳の開山がどういう事を表していて、そこにどんな人達が絡んでいたのか勉強になった。

  • 来年、槍ケ岳を登ろうと思い、お義父さんの本棚に見つけ読みました。

  • 播隆上人は笠ヶ岳と槍ヶ岳を開山しました
    という歴史からこのストーリーが紡ぎだされたんだろうが、面白い。
    開山って単なる初登頂ではなく、頂上に仏像を設けることも含むよう。
    「登山と禅定とは同じようなもの、苦行ではなく悟りへの道程」という播隆上人は山登りの意義を「一心不乱になることで浄土に近づく」ところに見出す。
    でも同じ岩松が山を登る目的は頂上で出会える幻の亡き妻への懺悔の気持ちだった。
    最後のオチは最近の小説の安い種明かしみたいでちょっと残念。

    地図を片手に地名見比べながら読むとさらに面白い。
    「播隆」の名前のつく地名があったりするともう山登りたいと思わずにはいられない。
    槍ヶ岳とか穂高のあたり長期で行きたいなあ。まずは蝶ヶ岳から。
    ほんとにそんな装備で登ったり夜を越したりしたのか、と思う現代人はいろいろ恵まれすぎているのかもしれない。

  •  百姓一揆の混乱の中で妻を誤殺し、修行僧となった主人公播隆が笠ヶ岳、槍ヶ岳を開山する。

     その筋だけならあまりおもしろくないが、やはり新田次郎。蘭学医の言葉を借りて頂上に出現する弥勒菩薩をブロッケン現象と切り捨てるあたり心地よい。

     主人公と訳ありの支援者の暗い影、そして亡き妻が死の直前に見せた憎悪の表情の理由などが一気に語られるラストは主人公の死とともに読み応えがあるクライマックスとなっているが、主人公の弟子の裏切りが筋の上で不要だった気がするのは読み方が足りなかったからだろうか。

  • 映画、『剱岳』を見て、この『槍ヶ岳開山』を読んでみた。

    どちらもはじめての登頂を目指すのだが、中身はちょっと違う。

    高校生のとき、登山競技ではペーパーテストがあった。その問題で、播隆上人の名前が確か出てきた記憶がある。しかし、この本は読んだことが無かった。

    農民が百姓一揆を経て僧侶になり、笠ヶ岳の再興、槍ヶ岳開山へ取り組んでいく、播隆上人の半生の物語です。心に迷いがある人、自殺を考えてしまう人にお薦めの一冊です。一心不乱にいきることが大事です。

  • またまた山つながりで。未読。

  • 今も昔も、山の頂からは何かが見えるらしい…。きっと形は変えても、人の心の奥底にあるものが映し出されているのだろうなあ。

  • 高山奥地にある槍ヶ岳周辺の地図を作る人の話。

    淡々とした言葉を積み上げて情緒を高めていくのが新田作品らしくて好きです。

  • 現在では多くの人が登る日本有数の名山、その登頂の道を開いてくれた名僧播竜上人の生涯を描いた作品
    彼はなぜこの偉業をなしえるに至ったのかを出家以前から語られる
    槍ヶ岳を目指すなら読んでおきたい名作

  • 槍ヶ岳を開山した播隆上人の伝記的小説。

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著者プロフィール

新田次郎
一九一二年、長野県上諏訪生まれ。無線電信講習所(現在の電気通信大学)を卒業後、中央気象台に就職し、富士山測候所勤務等を経験する。五六年『強力伝』で直木賞を受賞。『縦走路』『孤高の人』『八甲田山死の彷徨』など山岳小説の分野を拓く。次いで歴史小説にも力を注ぎ、七四年『武田信玄』等で吉川英治文学賞を受ける。八〇年、死去。その遺志により新田次郎文学賞が設けられた。

「2022年 『まぼろしの軍師 新田次郎歴史短篇選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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