新装版 武田信玄 風の巻 (文春文庫) (文春文庫 に 1-30)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 659
感想 : 58
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  • Amazon.co.jp ・本 (546ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167112301

作品紹介・あらすじ

狂乱の日々を送り、民に恨みの声をあげさせていた父・武田信虎を追放して甲斐の国の主となった信玄は、信濃の国に怒涛の進撃をはじめた。諏訪頼重を甲斐に幽閉し小笠原長時を塩尻峠に破り、さらに村上義清を砥石城に攻略する。信玄は天下統一を夢みて、京都に上ろうと志す。雄大な構想で描く歴史小説の第一巻。

感想・レビュー・書評

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  • 風林火山で有名。天下取り間際まで行くが病死。戦国時代で一番強い兵力があると言われた。でも、それだけでは、天下は取れない・・・

  • 上司のおすすめにて読了。
    著者の本は「富士山頂」を読んだことがあったのですが、本作は全く違う歴史小説。どうなのかなと思ったのですが、面白く読ませていただきました。

    個人的にあまり歴史小説は読んでこなかったので、どこまでマトモなコメントができるか疑わしいところもありますが、過去の史実を描くにあたって、情報集めを進めることと、それでも余った「余白」をどう料理するかが重要なんだと思います。
    著者の味付けによって、登場人物にキャラクター性が与えられて、史実に対しても「こういう事情でこうした」という背景が与えられる。サラッとだけ知っていた歴史上の人物に、ストーリーが加わる歴史小説というものも面白いものだなぁと感じました。
    本著の筋、と言うか武田晴信の考え方はとにかくロジカルで明快で、ときにおかしな選択をすると、それは病のせいになるという(笑 そこらへんも含めて明快でした。

    しかし、昔の日本の何かあったらすぐ腹を切る文化と、病にめっちゃ振り回される展開というのは何ともなぁと思ってしまいました。現代人の贅沢な物言いですが。。

  • (*01)
    エロスとタナトスとを備えた戦国考証文学(*02)と言えるだろうか。雑誌への100回にわたる掲載という関係もあってお色気路線への脱線が見え隠れする。これは脱線というだけでなく、タナトスである戦場描写とのバランスとしても読み物に必須であったとことと思う。

    (*02)
    文学であれば一人称(*03)から三人称で済ませるものが、考証パートとして、甲陽軍鑑ほかの史料の引用や検証が文内でなされ、著者の考察も射し込まれている点に文芸の新しさを感じさせる。

    (*03)
    この著作に描かれたのは近代人としての信玄とその近代性であった。戦略戦法、経営、愛憎において中世的でない刷新者や先進者としての人物像を描き、病魔と野望の桎梏に喘ぐ人間像を結んでいる。その視角や文体が既に近代である。かつての戦記が描いた英雄像を還元し、必ずしも英雄的でないが様々にとびきり優れた人物と手腕として描ききったところに著者自身(*04)の近代的な史観が投影されている。

    (*04)
    多くの読者から指摘されるように、川中島、桶狭間、三方が原などの有名な合戦に、気象的な要因を読み込むのはこの著者特有のものであろう。また、情報収集や情報操作、血族による婚姻や人質による戦略的な人事、鉱山経営、攻城における工兵や兵站など、経営規模拡大のための諸々も描かれている点で、近代的な読みにも対応したリアリティも付加している。

  • 全4巻。
    武田信玄の魅力が満載です。
    家臣たちの描写もすばらしく、生き生きと登場人物が躍動します。
    武田信玄の生涯が丁寧に描かれていて、有名な合戦シーンも見事に表現されています。
    新田次郎氏の他の山岳小説と同様に、一人の人物を深く深く追っていく新田氏の技に深く感動します。まるで、信玄がそこにいるかのようです。

    新田次郎氏の「武田勝頼」を合わせて読むことで、武田家の視点から戦国時代を見通すことができます。

  • 信玄頭いいなぁ

  • 長い間、積読になっていた、新田次郎の「武田信玄」を読み始めました。
    父、信虎を追放し、甲斐の領主となった晴信。愛妾に対する情熱や、甲斐に抵抗する佐久に対する非情な対応など、若き日の信玄の様子が伝わってくる。
    歴史小説ですが、きちんと史実を辿ろうとする姿勢が伝わってきます(あとがきにあるように、山本勘助だけは別)。新田次郎の文章は、しっかりと骨太かつ読みやすいですね。

  • そうなのかと思う部分とちょっとここはねと思う部分あり
    信玄も神様ではなかったんだ
    織田信長も非道 信玄もまた然りだったのは戦国の世の習いと教えてもらった風の巻 
    次巻 信玄の人間としての成長如何に?

  • 2020.65
    一年に一人したい、ライフジャーニー読書。
    今年は武田信玄!(コロナショックなどから四冊中、一冊しか読み終わらず!)
    信玄の青年期。

    「人は斬れても、人の心は斬れまい」

  • 甲斐の虎、武田信玄(晴信)の若き日々。父との軋轢に悩み苦しんだ末に、自分を押し潰す父を跳ね除ける晴信の雄飛が清々しい序章。晴信が父を追放する駆け引きは手に汗にぎるほどスリリング。史実を調べ尽くした上で、人間を軸にドラマチックに読ませる新田次郎の小説ならでは。

    厳しく育てられた晴信の猛々しさと知性、凛とした佇まいが目に浮かび、主人公の虜になってしまう。読み終わる頃には、これからの晴信の成長と野望をともに歩みたい、とどっぷりハマってしまう面白さ。

  • 戦国最強の名将というイメージのある武田信玄、若い時は、苛烈なやり方で、手に入れた土地の人々の反感を買ったりもしていたのだなと意外に思った。何十年も前の作品だけど、面白い。

    • yuさん
      どうやって読んでるんですか?読めないんですけど、
      どうやって読んでるんですか?読めないんですけど、
      2020/11/23
    • tokobeさん
      読めないとは、なぜでしょう?
      読めないとは、なぜでしょう?
      2020/11/24
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著者プロフィール

新田次郎
一九一二年、長野県上諏訪生まれ。無線電信講習所(現在の電気通信大学)を卒業後、中央気象台に就職し、富士山測候所勤務等を経験する。五六年『強力伝』で直木賞を受賞。『縦走路』『孤高の人』『八甲田山死の彷徨』など山岳小説の分野を拓く。次いで歴史小説にも力を注ぎ、七四年『武田信玄』等で吉川英治文学賞を受ける。八〇年、死去。その遺志により新田次郎文学賞が設けられた。

「2022年 『まぼろしの軍師 新田次郎歴史短篇選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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