新装版 武田信玄 林の巻 (文春文庫) (文春文庫 に 1-31)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (463ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167112318

作品紹介・あらすじ

天才的な智略によって、信濃の国を平定した信玄の野望は、あくまでも京都に上って天下に号令することである。同じ野望の今川義元がまず上洛の軍を起すが、桶狭間の戦いで織田信長にはばまれる。信玄を牽制するのは越後の上杉謙信である。信玄はいまや謙信と宿命の対決を迎えようとしている。著者会心の歴史小説第二巻。

感想・レビュー・書評

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  • 新田次郎が描く武田信玄、全4巻のうち第2巻です。長い!(笑
    ついに武田晴信が武田信玄になり、桶狭間の戦いや川中島の戦い(第4次)といった大イベントも出てきます。

    新田次郎が描く「天才(上杉)」を迎え撃つ「秀才(武田)」の図なのですが、どちらもメッチャ頭が良くて「昔の戦国武将って、こんなに優秀だったのか!」と思うくらいです(笑
    ただ戦のことばかりを考えるのではなく、一国の主として必要な兵站、諜報、外交、鉱山開発、商業から民心に至るまで、幅広い要素が盛り込まれているのが歴史小説でありながら面白いところ。
    しかも、純粋なフィクションとは違ってそういった要素を入れるのにはひとつひとつ時代考証が必要な訳で。この制約の中でこういった作品を作り上げる著者の胆力、凄いなぁと感じました。

    信長が出てきたくだりもスパイス的に作用していて、長いけど読み飽きずに読了できました。さて、あと2巻!

  • おもしろかった。

  • 第二巻「林の巻」。桶狭間の戦い、そして川中島合戦。両軍の動きの描写が詳細かつ生々しい。著者は何度も現地にいって取材をしたらしいが、さもあらんというところ。
    川中島合戦では霧の存在が勝敗の一つのポイントになったそうだが、気象台勤務経験のある著者らしく、説得力のある記述がされていました。

  • 2021.34

    川中島決着!
    山本勘助死亡。
    大河ドラマの風林火山はここまでだったので、続きが楽しみだー!

  • 有名な川中島の合戦が描かれていて面白い。

  • 本巻のメインは川中島の合戦(それから大きな事件として桶狭間の戦い)。

    「風」とは違い、信玄は正に“名将”として描かれている。

    川中島の合戦で最も大規模な戦闘が繰り広げられた第四次合戦で本巻は終わるが、物語はまだ半分である。

    そして後の“義信事件”を示唆するトラブルも終盤に出てくる。

  • 再読2020.6.26~
    2020.7.19完了
    武田家の隆盛の時期を多く迎える。
    三国同盟、義元上洛、川中島…
    これらの年月を20年近くかけて成る武田家。
    織田家の歩み寄りが垣間見えてくるが、その織田家との成長のスピードは歴然としている。
    やはり差は大きかったよう。

  • 上杉謙信との闘いで双方の衝突がメイン。
    女たらしだった信玄の男らしい決断と生き方にため息の連続
    成長を見守るような感じで読んでいたけど他の小説と並行して読んでいたのでやたらに〜した。の連続で読みづらさが出てきて、速度が遅くなる。
    作者によって文章が違うと校閲している人は大変なのかなぁ❓と最近読んだ本まで頭に浮かんできて川中島の戦いが霞んでしまった。。。

  • 桶狭間や川中島が描かれる巻。
    強さというのは、視野の広さと他者への共感力、それに伴う実行力なんだなと思う。

    文庫本の後ろに桶狭間、川中島の動きがわかる図があるのに、読み終わってから気づいた……

  • (*01)
    エロスとタナトスとを備えた戦国考証文学(*02)と言えるだろうか。雑誌への100回にわたる掲載という関係もあってお色気路線への脱線が見え隠れする。これは脱線というだけでなく、タナトスである戦場描写とのバランスとしても読み物に必須であったとことと思う。

    (*02)
    文学であれば一人称(*03)から三人称で済ませるものが、考証パートとして、甲陽軍鑑ほかの史料の引用や検証が文内でなされ、著者の考察も射し込まれている点に文芸の新しさを感じさせる。

    (*03)
    この著作に描かれたのは近代人としての信玄とその近代性であった。戦略戦法、経営、愛憎において中世的でない刷新者や先進者としての人物像を描き、病魔と野望の桎梏に喘ぐ人間像を結んでいる。その視角や文体が既に近代である。かつての戦記が描いた英雄像を還元し、必ずしも英雄的でないが様々にとびきり優れた人物と手腕として描ききったところに著者自身(*04)の近代的な史観が投影されている。

    (*04)
    多くの読者から指摘されるように、川中島、桶狭間、三方が原などの有名な合戦に、気象的な要因を読み込むのはこの著者特有のものであろう。また、情報収集や情報操作、血族による婚姻や人質による戦略的な人事、鉱山経営、攻城における工兵や兵站など、経営規模拡大のための諸々も描かれている点で、近代的な読みにも対応したリアリティも付加している。

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著者プロフィール

新田次郎
一九一二年、長野県上諏訪生まれ。無線電信講習所(現在の電気通信大学)を卒業後、中央気象台に就職し、富士山測候所勤務等を経験する。五六年『強力伝』で直木賞を受賞。『縦走路』『孤高の人』『八甲田山死の彷徨』など山岳小説の分野を拓く。次いで歴史小説にも力を注ぎ、七四年『武田信玄』等で吉川英治文学賞を受ける。八〇年、死去。その遺志により新田次郎文学賞が設けられた。

「2022年 『まぼろしの軍師 新田次郎歴史短篇選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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