アンネの童話 (文春文庫 フ 1-3)

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  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167114046

作品紹介・あらすじ

「アンネの日記」からも読みとれる鋭い感性と豊かな想像力。思春期を隠れ家で過さねばならなかった多感な少女に唯一残された自由は書くことだった。そうして出来た童話とエッセイ。

感想・レビュー・書評

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  • (2011.06.15読了)(2011.01.10購入)
    「アンネの日記」を書いたアンネ・フランクの書き残した童話とエッセイを一冊にまとめたものです。童話が14編、エッセイが16編収められています。
    エッセイの「幾何の時間」は、日記の方でも読んだ記憶があります。考えてみると、「アンネの日記」は、日記というより、エッセイ集のような趣です。住んでいる人たちの紹介をしてみたり、事件の顛末を述べてみたり、テーマを持ったまとまりをもちながら書かれていたように思います。だから、興味をひかれながらどんどん読めたように思います。

    訳者あとがきにこの本の紹介が上手にしてありますので、拝借しましょう。
    「童話」はアンネが幼い人たちを楽しませるために書いたというよりも、アンネの中にいるもう一人のアンネに向かって夢や願望を語っているように私には思えました。エッセイでは、作家志望、ジャーナリスト志望だったアンネが日常考えていること、感じていることを理路整然と述べるとともに、過ぎ去った平和でのどかな頃の愉快な思い出を生き生きと描いています。(200頁)
    「童話」には、胸にたまって噴出させるアンネの気迫がこもっています。そして一見してたわいないような文章にキラッと光るものがありました。それは文章の上手とか下手ではなくて、もっと根本的な、書くべき理由が存在しているからです。(201頁)

    「パウラの飛行機旅行」は、ちょっと毛色の変わった話だと思ったら、お父さんがアンネにしてくれた話を書き留めたものということです。「童話」の中からどれか一つ選ぶとしたら「小熊のブラーリーの冒険」でしょうか。絵をつけてあげれば絵本が一冊出来上がります。[キャディー]は、少し長めの話なのですが、まだ一つの作品としてまとまり切っていないようです。書きかけのまま終わらざるを得なかったのでしょう。ペーターとの恋が下敷きにあるような話です。
    エッセイの中では、「与えよ」には、参りました。一生懸命頭を使って考えています。

    ●話を聞く(106頁)
    困っている人を自分が助けられないなら、その人の打ち明け話を聞いたところで、何になるでしょうか?でもキャディーはどう助けていいかわからなくても、心を打ち明けることだけで、その人には慰めになるのだとも知っていました。
    ●神は自然の別名(112頁)
    神って何かと聞くんなら、僕はこう言う。まわりの花や木、虫、人間たちをご覧、神が何か分かるだろうとね。このすばらしいものが命を持って生きて死ぬ、そして生まれる、僕たちはこれを自然と呼ぶ―つまり神なのだ。神がすべてをつくった。神についてこれ以外は考えられない。神とはこの偉大な奇跡のための名前で、ほかの名前をつけてもよかったんだ。
    ●喧嘩(184頁)
    喧嘩のいちばん悪い点はこの世でひとりぼっちになること
    ●幸福を見つける(186頁)
    幸福を見つけたいときは気持ちのよい青空、太陽がたっぷりの外に出るべきよ。そうでなかったら、こうして窓から明るい青空の下の街を眺めるの。きっといつか幸福が見つかるわ。
    ●人間の偉大さは(190頁)
    どうして人は貧しい婦人よりお金持ちの婦人に親切なのでしょう?この二人の違いを、誰かが分類したのですか?人間の真の偉大さは富や権力がきめるのではなくて、人格と徳がきめてとなります。みな人間です、欠点短所を持ちますが生まれつき徳も備えています。徳を押し殺さないで豊かにはぐくむこと、貧しい人々にも同じ人間であるという感情を持つこと、そこから始めればお金も財産もいらないでしょう。

    ☆関連図書(既読)
    「アンネの日記 完全版」A.フランク著・深町眞理子訳、文春文庫、1994.04.10
    (2011年6月16日・記)

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