熱い街で死んだ少女 (文春文庫 ク 6-3)

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  • Amazon.co.jp ・本 (518ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167136079

作品紹介・あらすじ

1963年5月、アラバマ州バーミングハム。ただでさえ暑い町が、マーティン・ルーサー・キング師に率いられる公民権運動デモで煮えたぎっていた。デモの潮が引いたあとの公園に、黒人少女の死体が残されていた。捜査は白人、黒人双方の偏見と猜疑にはばまれて難航する。「だれも知らない女」「過去を失くした女」の著者による傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 舞台は1963年5月のアラバマ州バーミングハム。マーティン・ルーサー・キング牧師の公民権運動デモが行われている時に、黒人少女の死体が発見されたところから物語は始まる。
    警察内部の人間でさえ、黒人蔑視の風潮が公然とやり取りされる中、主人公ベンの真摯な捜査が続く。
    ベンには、黒人に対する偏った偏見はなく、そこに清々しい正義感が覗く。
    彼のような人間がもっとたくさんアメリカ中に昔からいたら、今のアメリカももっと変わっていたことだろう。

  • 評判はいいけれど、ミステリーとしてはどうなんだろう?
    被害者の少女が聾唖という設定も本筋に絡んでこないし
    ブルートの行為も???だ。
    キング牧師とバーミンガムの事件をうまく絡めているが
    ここもミステリーとはちょっと違う。
    犯人の必然性も薄い。

    新型コロナで図書館閉館中。
    積んどく本を片付ける。

  • 舞台は、1963年の米国アラバマ州バーミングハム。マーティン・ルーサー・キングが指導する公民権運動が勢いを増す中、ある黒人少女が殺された事件を市警本部のベン・ウェルマン部長刑事が捜査する。
    ミステリとしての謎解きはあくまでも添え物で、本作の主題は白人と黒人、虐げる側と虐げられる側の対立構造を描き、その先にある共存への道を模索することにあるのだろう。清潔で正義感に溢れた主人公に好感は持てるのだが、残念ながらレイシズムの持つ深い闇を照射するまでにはいたっていない。

  • なんとなく買った本。当然ながらクックの本は初めてです。
    ストーリーも楽しめましたが時代背景、空気感がとても生々しく、ドキュメンタリーフィルムを観ている様な錯覚を覚えました。いや、下手なドキュメンタリーよりもリアルに感じた!

  • ひきこまれるサスペンスに人種問題が太く編み込まれた傑作。うだるような暑さや草いきれ、コンクリートの臭いなどが感じられるような文章もすごい。

  • 強く心に響くものがあった。キレイな文の流れを書く作家、トマス・H・クック。読めて良かった。人種差別とはなんて残酷なのだろうと改めて思う。白人とか黒人を扱う本は根底にある「抗いがたい何か」を感じる。もう少し資料を読んでみたい。

  •   クックはなぜか、……の記憶、達は書店にあるのに、……女(少女)、はない! なんでやねん、といつも思います。だもんで、これも古本屋でゲット。あと、「だれも知らない女」を捜してます。求む、情報(笑)
     1963年ルーサー・キングの公民運動で揺れるアラバマが舞台。偏見にとらわれる黒人と白人の双方に阻まれながら、たった1人で黒人少女の殺人事件に取り組むベン(白人)の高潔さや強さは、感動的だ。
     クックは、どの作品の根底に人間の弱さ故の悲しみがあると思う。差別もまた、弱さが生み出すものなのかと、思う。

  •  悪は、虐げられた者たちの魂まで踏み台にするのか?シンプルだが、どっしりした骨太な作品。この作品は、現実の歴史的事件に絡めて描くことによって、より深みを増し、社会問題を意識させる仕上がりになっている。内容(「BOOK」データベースより)1963年5月、アラバマ州バーミングハム。ただでさえ暑い町が、マーティン・ルーサー・キング師に率いられる公民権運動デモで煮えたぎっていた。デモの潮が引いたあとの公園に、黒人少女の死体が残されていた。捜査は白人、黒人双方の偏見と猜疑にはばまれて難航する。「だれも知らない女」「過去を失くした女」の著者による傑作。 本書は1989年に刊行されたそうだ。黒人大統領が、ありえないことの代名詞に使われていた時代。そんな時代を背景に、主人公の刑事・ベンは苦悩とともに黒人少女殺しの捜査に乗り出す。捜査を通して、自分の心に忠実でありたいと願い始めるベン。黒人の公民権運動デモに共感している、己の気持ちの存在を知ることとなる。一歩間違えれば怪我を負いかねないデリケートな問題に挑戦した、著者の意欲作だと思う。真犯人は、すぐそばにいるかもしれないという、緊迫感あり、美しい黒人女性との淡く哀しい交流あり、そして仲間の刑事の剥き出しの感情ありと、胸苦しさとともに深く考えさせられる作品だった。

  • クックながらの読み応え

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