- Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167139018
感想・レビュー・書評
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昨今の原発報道を聞いていて、ふと本書のことを思い出し、約20年振りに再読した。
いまから95年前、高騰する米価について、大阪朝日新聞は、三井、三菱を凌ぐ新興の鈴木商店に関するねつ造記事を流布し、庶民を扇動した挙句、結果、鈴木商店は焼き討ちにあってしまう。
国益のためとまっすぐに進む大番頭 金子直吉は、何ら防戦することなく、足元をすくわれてしまう。
ここまでは、まさに前述のとおり。弱者の見方かのような仮面を被り、国益を無視した報道を続け、人気を取り、存在感を示したい大手マスコミの姿は全く変わっていない。
しかし、今回、気になったのは、丁稚あがりの社員たちと高商卒のエリート社員たちとの確執の間に立つ支配人 西川文蔵の存在。彼の早逝が、鈴木商店の崩壊の始まりといってもよい。
対立の間にたち、会社をまとめようとするリーダーの葛藤。今も昔も変わらないリーダーの厳しさを感じられた気がした。そうしたとき、マスコミの体たらく報道には与せず、自らの意見をしっかりと持つべきだと改めて思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
商社ものの小説は好物だが、こちらは重厚なノンフィクション。大正時代に、三井、三菱に肩を並べたもう一つの商社の物語である。(私は名前すら知らなかった。)
切り口は、1918年の米騒動。この時に焼き討ちで本社を燃やされたのがその商社である。民衆の怒りを買って焼き討ちを食らったことになっているが、その真相はどうも違うようだと気になった著者が、一年以上かけて当時の関係者に会い、取材を重ね、当時の様子を再現していくという内容。そこから見えてくる商社と、その会社を切り盛りしてた人々のドラマは執筆から50年近く経った今でも全く色褪せてないと感じた。
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鈴木商店は、戦前に、神戸に存在した日本の財閥で、仕事でたまたま調べる必要があって、この本を読んだら面白かったので、選びました。
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昔の新聞記事の引用が難しく途中で挫折。すみません…
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面白かったです。
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玉岡かおる著の「お家さん」で興味を持った鈴木商店。
私が住んでいる街とも縁が深い話なので期待大!で読んでみました。
城山三郎って作家はすごいですね。緻密な調査とそれを構成していく綿密さ・・多くのことを知らされ、考えさせられました。
「お家さん」とは違った観点で鈴木商店を描いています。特に大番頭金子直吉については、最終的に鈴木を倒産に追い込んだというネガティブな捉え方もしています。また、大阪朝日新聞を代表にマスコミと鈴木商店との確執や政府の政策など・・・当時の時代背景も読んでてとても興味が持てました。 -
双日の源流であり、米騒動の時に米を買い占めた悪徳商社という汚名を着せられた「鈴木商店」のはなし。著者の城山三郎さんが精力的な取材で明らかになった部分と、それでもわからない部分。
これ自体30年以上前の本だけど、未だに双日の人はこの本をバイブルにしている(人もいる?)という話を聞いて読み始めましたが、たしかにいい会社だったんだろうなという感じは伝わってきます。実体がどうだったかということよりも、何世代か前の先輩にまで想いを馳せられる会社というのもいいもんだなと思いました。
大正時代の新聞記事の引用がやたら多くて読みにくいけど、新聞記事をすっ飛ばしても、城山さんのまとめがあるので筋はわかります。 -
金解禁や米騒動で有名な金子商店に
関する興味深い本。
今の日商岩井(もうないけど)や
帝人や神戸製鋼などなどの始まりと
なった三井・三菱とならぶ財閥会社なのですが
昔から台湾銀行の不良債権話に関連
した話しかでてこないし一方通行の
情報しかないのでイー本見つけた感じ。
元、新聞記者の城山さんらしい取材本ですね。
大東亜戦争前の日本史に興味がある人には
ご一読を。 -
高松などを舞台とした作品です。