高丘親王航海記 (文春文庫 し 21-1)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167140021

感想・レビュー・書評

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  • #11年ぶりの再読、やあ、こんなに自由だったかな! P13で秋丸が『バジル氏〜』のルイ君で思い浮かんで以降、今回のビジュアルイメージは坂田靖子が担当。坂田と澁澤が相性良いなんて昔は思わなかったな。

    #P19「なにもかもがわたしたちの世界とは正反対」な天竺を象徴することばとしての、アンチポデス。大蟻食いと儒艮、秋丸と薬子、春丸とパタタ姫、またP67の左巻きの貝などの細部の描写や、あるいは全体の夢と現実の照応など。では高丘親王のアンチポデスとは、高橋克彦の解説にあるように、物語を合わせ鏡にした澁澤自身のことなのか、それともP204「わたしの死ぬところが天竺だ」とあるように、死そのもののことなのか。

    #P34「とても楽しかった。でも、ようやくそれがいえたのは死ぬときだった。おれはことばといっしょに死ぬよ」 P181「もっとも、ことばをおぼえたおかげで、わたしは地上で一度は死ぬという運命をまぬがれるわけにはいきませんでした」 それとも、死の足の裏にはことばが倒立しているのかな。まだまだわかりませんので、ではまた10年後に!

    (2009/11/22)

  • 渋澤氏が亡くなって随分とたつ。この所、色々とあり古い本ばかり読み漁っているが、「眠り姫」よりもこの話が好きである。氏の最晩年の作品であり、癌と闘いながら書き綴っていた軌跡が、物語の背景に雪洞の灯のように薄く儚くさしている。

  • 【本の内容】
    貞観七(865)年正月、高丘親王は唐の広州から海路天竺へ向った。

    幼時から父平城帝の寵姫藤原薬子に天竺への夢を吹きこまれた親王は、エクゾティシズムの徒と化していたのだ。

    鳥の下半身をした女、犬頭人の国など、怪奇と幻想の世界を遍歴した親王が、旅に病んで考えたことは…。

    遺作となった読売文学賞受賞作。

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    [ 参考となる書評 ]

  • うつくし

  • 幻想的で面白い話だった。ほとんど夢の話だけど、なんだかより気持ちは感じることが出来た気がする。

  • きらめくもやに包まれた極彩色の世界。手に取ったのはマンドリン合奏曲がきっかけ。もっと人生経験を積んでからまた読みたい。

  • とても美しい。読み終えるのが惜しくて大事にすこしずつ読んでいった。きっと何度も読み返すに違いない。大切な本になった。

  • 人の言葉を話す儒艮とか変な生き物が可愛い。
    澁澤龍彦が死の床で書いたと思うと、高丘親王の最期と重なってなんとも言えない気持ちになる。

  • 8/18 読了。
    再読。

  • 『高岳親王航海記』素晴らしい物語だった。
    高岳親王がお供の安展、円覚、秋丸、そして春丸を従えて天竺を目指す物語。
    飄々としたみこと、その旅の道中で出合う様々な妖しいものたちの不思議な魅力に惹かれる。
    半分はみこの夢の物語なのだが、読んでいると夢と現実との境が分からなくなり、いつしかその幻想的な世界に引きずり込まれている。
    そして、おかしみのある幻想的な夢物語の根底に流れている死のにおいに気付くとき、いきものの儚い宿命に涙するのである。
    みこの魂は、天竺へ辿りつけただろうか?

    P.S.みこ、みーこ、ミーコという呼び名には個人的に強い親近感を覚えた(笑)。

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著者プロフィール

1928年、東京に生まれる。東京大学フランス文学科を卒業後、マルキ・ド・サドの著作を日本に紹介。また「石の夢」「A・キルヒャーと遊戯機械の発明」「姉の力」などのエッセイで、キルヒャーの不可思議な世界にいち早く注目。その数多くの著作は『澁澤龍彦集成』『澁澤龍彦コレクション』(河出文庫)を中心にまとめられている。1987年没。

「2023年 『キルヒャーの世界図鑑』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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