高丘親王航海記 (文春文庫 し 21-1)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167140021

感想・レビュー・書評

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  • 不思議な旅。不思議とその世界観に引きこまれます。史実もベースにある夢のようなお話。

  • 時代背景と漢字が難しい。
    しかしただ単に航海記なだけではなく、面白い話が盛り込んであって楽しく読了。
    『旅のラゴス』感を期待し過ぎて読んだけど、
    この物語も好き。

  • 9世紀,平城天皇の皇市である高丘親王は67歳の時にわずかな供回のみ連れて天竺への旅に出る.中国南部からインドシナ半島,ベンガル湾周囲を放浪するがスリランカには行き着けず絶命する.どこまでが史実でどこまでがお伽話かわからない不思議な航海記.

  • 時代小説風SFといいましょうか。確かに引き込まれる題材ではあるんですが、なんででしょうか、いまひとつ入れ込めないまま終わってしまいました。各所の評価とかを見ていると、自分の感性の問題なんでしょうね、きっと。ふと思いついたのは「アラビアの夜の~」。あれも自分と一般の評価が乖離してしまったけど、そもそもこういう系に対する感受性に乏しいんでしょうね。でも、今後も評判作には諦めず手を出していきます。

  • ふわふわとしながら読んでしまったけれど、考えながら読むと受け入れられない事象が沢山でてくるのでそれくらいが心地よく読めるのかもしれない。ティムバートンの映画「BIG FISH」を思い出した。

  •  貞観七年、高丘親王は天竺に渡るため、唐の皇帝に許可を取り付けて、二人の共と連れ立って、船出した。幼い頃から植えつけられた天竺のイメージに誘われ、はるかな地を目指して旅を続ける親王は、行く先々で奇妙な夢にとらわれ、あるいは目覚めているときにも、幾多の不思議な光景にであう。

     ものすごくエキゾチック。幻想というよりも、幻惑的。
     面白かったのは面白かったんだけど、この作品を本当に楽しむためには、私にはいろんな下地が足りないんだろうなという気がします。それが具体的に何かと考えると、悩んでしまうんですけども、人生経験、死生観、性に対する感覚、想像力、歴史知識……うーん。どれともつかないな。ぜんぶかな。

     のめり込めなかった原因のひとつは、語り口になじめなかったことかなあと思います。そういうことで好き嫌いをするのはよくない(というかもったいない)のですが、筆者が筆者であるという顔をして、物語の前面に出てくると、それだけで急に、すっと醒めてしまう性質なのです。
     その物語の語り手が、読者の存在を意識してしゃべっているというのは、べつに平気なんです。一人称の主人公が、読者に話しかけるスタイルというのは、べつに気にならない。あるいは語り手、神でも脇役でも語り部でもいいんですけども、そういう「誰か」が、自分の知っている物語を人に話して聞かせている、というようなスタイルも、ぜんぜん気にならない。
     でもその語り手が「作家」だということがちらりとでも匂うと、なんだかふっと醒めちゃうんです。ただのワガママなんですけど、語り手は、イコール作者であってほしくない。架空の話でもなんでもいいから、少なくとも読んでいる間は、前のめりで騙されたいんですね。いま目の前に広がっている世界は、作者さんが頭の中で考えて書いたものではなくて、そこに本当にある一つの世界、本当にあった(あっている)出来事なのだと、錯覚したまま読みたい。フィクションなんだけど、フィクションということを忘れる勢いでのめりこんで読みたい、作品中に入りこみたいんですよね。

     それができなかった原因のひとつが、語り口であり、あともうひとつが、登場人物に感情移入するとっかかりがあまりなかったことでした。これはまったくもって相性というか、私の持っている人生観の幅の狭さが原因で、本にたいして文句をつけても仕方のない部分なのですが、登場人物の感情に、あまり共感を誘われなかった。男性的なものの考え方だというのも、ひとつの原因かもしれません。私の中にも男性性はあるので、同じように男目線の読み物でも、ものすごく共感できるケースもあるんですけども、今回は、遠くから「ふーん」と眺めているような感じが抜けなくて、のめりこんで読めませんでした。
     このあたりは、歳をとって、自分の世界や考え方がもうちょっと広がってから読みなおせば、また印象が違うのではないかとも思います。また何年かおいてから、もう一度読んでみたいような気がしています。

     あるいは澁澤氏が死を間近にして遺した一作ということで、それを念頭において読めば、作中に描かれる死生観が、また違った意味をもって感じられたのかもしれません。(なるべく小説は先入観を持たずに読みたい派なので、下調べなしで読み、解説でそのことを知りました……)

     ……と、ネガティブなことばかり書いておいてなんなのですが、じゃあつまらなかったかというと、面白かったんです。これだけ個人的にのめりこめない要素があったにもかかわらず、興味深く読めました。
     鳥の下半身をした女、犬の頭をした男、獏。登場する架空の生き物の、奇妙な行動や生態、旅先に広がる光景のもつ豊かなイメージは、それだけでも一読の価値ありです。

  • 歳をとってからもう一度読みたいです。

著者プロフィール

1928年、東京に生まれる。東京大学フランス文学科を卒業後、マルキ・ド・サドの著作を日本に紹介。また「石の夢」「A・キルヒャーと遊戯機械の発明」「姉の力」などのエッセイで、キルヒャーの不可思議な世界にいち早く注目。その数多くの著作は『澁澤龍彦集成』『澁澤龍彦コレクション』(河出文庫)を中心にまとめられている。1987年没。

「2023年 『キルヒャーの世界図鑑』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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