新装版 鬼平犯科帳 (1) (文春文庫) (文春文庫 い 4-52)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167142537

感想・レビュー・書評

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  • ☆3.5

    初池波正太郎さんです、と言いたいところだけれど、年始に読んだ「蘇る鬼平犯科帳」にも掲載されていました、そういえば。それが切欠でこちらを借りてみることにしたのです。

    鬼平こと、長谷川平蔵が主人公のはずですが、短編ごとにスポットライトがあたるのは盗人たち。主役がダークサイドなので、基本的にハッピーエンドはありません。
    ……あれ?
    そういう人たちの悲しい末路が書かれているのだから、一般的に言えばハッピーエンドに近いのかしら。
    はっきりと白黒つけられない後味です。でも人生ってこういうものなのかもね、とこの年になるとなんとなくわかる気がしています。だから、10年前くらいに鬼平を読んでもピンとこなかったかも。

    続刊は、心が元気なときに。

  • 啞の十蔵
    本所・桜屋敷
    血頭の丹兵衛
    浅草・御厩河岸
    老盗の夢
    暗剣白梅香
    座頭と猿
    むかしの女

    「本所・桜屋敷」剣友、岸井左馬之助との再会。
    「血頭の丹兵衞」小房の粂八が初めて密偵として動く。

  • まずい、まずいぞ…。

    いつだったかある本屋にあったチラシにシバさんの名前が見えたのでふと手にした。そのチラシは両開きになっていて片方から開くと司馬遼太郎について、逆から開くと池波正太郎について、その二人の生没年から代表作一覧までを1~2ページにまとめて比較したような恰好になっていたのだが、それをもってして初めてその二人がある一時代の「双璧」であったことを知ったような次第。そんなこんなで「まぁ、読んでみんことにはね。」と軽いノリで手にした「聞いたことあるタイトル」ではあったが…。 まずい。

    もともと時代劇にはハマったこともなかったが、数少ない「街道をゆく」江戸の街版を読んだ上で限られた時間ながら昔に思いを馳せながら自分の足で歩いた場所というのが少しずつ増えてきた結果花の都お江戸へのあこがれはそれなりに高まってきているのが実情のようだ。更にはこの街で観た幾つかのマゲ入り白黒映画がそのイメージの増強に加勢をしてくれているのだろう。

    本格的にまずい。残り二十三冊がちらつきだしている。

  • 1968年に最初の短編が発表された本シリーズ。何度も映像化もされていましたが、自分よりかなり上の世代が楽しむものと決めつけ、ついぞ手にすることも観ることも今までありませんでした。

    唯一読むことのあった時代物といえば、司馬遼太郎や近いところでは宮部みゆきのものでしたが、その宮部みゆきさん対談で「鬼平犯科帖」に言及しているのを読んだ記憶がある程度でした。

    最近、石田衣良「池袋ウェストゲートパーク(IWGP)」シリーズを読み、巻を重ねるも主人公が一向に老いることのないこのシリーズについて、Amazonのレビューに「(IWGPは)鬼平犯科帖を目指すのか」とあるのを目にし、にわかに興味を持った次第です。

    古典という認識でしたが、人物造形、紐解かれるストーリーの流れに魅了されました。前半、文章中に記号が多用されるのは、発表当時まだ若かった(といっても40歳前後の)著者が実験的に取り組んだものなのでしょうか。微笑ましく、この点もたのしみました。

  • 本部長の課題図書

    一気に読みきった!さて、続けるか止めるか悩むところ。。。笑

  • ドラマを見たことがないのだが、図書館で目についたので読んでみた。読む前は取っつきにくくて難しい作品かと思っていたが、想像以上に読みやすく、どこかしらユーモラスなところもある楽しい作品だった。想像と異なっていたのは、それほど鬼平が前面に出ているのではないこと。むしろ裁きを受ける盗賊の方が主役である。その盗賊同士のつながりが物語に深みを与え、扇の要のように鬼平が存在することで、作品全体に重厚感が出る。鬼平ファンは多い。その理由が分かった気がした。江戸時代の古地図を用意して読んでみたい作品だ。日本酒を呑みながら読んでも楽しいだろう。

  • 主役は平蔵と思いきや、多分違う。
    きっと主役は盗賊たち。
    江戸に暗躍する様々な名前を持つ盗賊たちこそ、この物語の主役なのだろう。

    ドラマの鬼平を飛ばし飛ばし見ていただけの私には、見知った名前が出てくるだけでなんだか嬉しかった。

  • 有名かつロングセラーである本シリーズを、今更ながら手に取った。近頃は女流作家の手による時代小説を読んできたことから、このあたりで大御所を読んでみたくなったからだ。本書が私の生まれ年に連載スタートしたとは思えぬほど古さを感じさせず、随所に語られる江戸の町の風景の生き生きとした描写に心奪われ、物語に入り込んで読了できた。著者が語っていたという「独立した短編」が「大きな一つの長編」になっていることが、著者の力量のすごさを現しているのだな~

  • すっごく久しぶりに再読。昔読んだときにはあまり感じなかったけれど、鬼平って問答無用切り捨てごめん的な結構凄い裁きかたなんだなって。時代には流されてないつもりでも世間に染まっていることを痛感。

  • 伝法でべっとりとしてケレン味たっぷりだが、しゃきしゃきとシーンをめくっていくような爽快感が持ち味だろう。

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著者プロフィール

大正十二(一九二三)年一月二十五日、東京市浅草区聖天町生まれ。昭和十(一九三五)年、下谷区西町小学校卒業、株式仲買店勤務。昭和十四年より三年ほど証券取引所にあった剣道場へ通い、初段を得る。旋盤機械工を経て昭和十九年、横須賀海兵団入団。敗戦の翌年、東京都職員として下谷区役所の衛生課に勤務。昭和二十三年、長谷川伸門下に入る。昭和二十五年、片岡豊子と結婚。昭和二十六年、戯曲「鈍牛」を発表し上演。新国劇の脚本と演出を担当する一方、小説も執筆。昭和三十年、転勤先の目黒税務事務所で都庁職員を辞し、作家業に専念。昭和三十五年、『錯乱』で直木三十五賞受賞。『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズや『真田太平記』等、数々の小説で人気を博す一方、食や映画、旅に関する著作物も多く上梓した。受賞歴はほか吉川英治文学賞、大谷竹次郎賞、菊池寛賞等。平成二(一九九〇)年五月三日、入院していた東京都千代田区神田和泉町の三井記念病院で死去。小社では同じく単行本未収録のエッセイ集『一升桝の度量』(二〇一一)と初期戯曲集『銀座並木通り』(二〇一三)を刊行している。

「2022年 『人生の滋味 池波正太郎かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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