新装版 鬼平犯科帳 (17) (文春文庫) (文春文庫 い 4-68)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (337ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167142698

作品紹介・あらすじ

その居酒屋には名前さえついていない。うまい酒を出すが、亭主がたいそう無愛想なその店を、土地の人びとは「権兵衛酒屋」と呼んでいる。その身のこなし、もと二本差であったらしい。興味をひかれた長谷川平蔵は「権兵衛」に立ち寄り、評判の酒を堪能することに。しかし、直後、店の女房は斬られ、亭主はいずこかへ逐電した。捜査をはじめた平蔵に迫る怪しい影は、ついに鬼平を斬った! 武家社会の闇と悲哀が浮かび上がる特別長篇〈鬼火〉、満を持して登場。

感想・レビュー・書評

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  • 長篇・鬼火。
    およねや笹やのお熊、井関録之助あたりが活躍する。
    伏線などもあり、前回の長篇のようにひたすら後をつけて見張るだけで終わらない。

  • 鬼平犯科帳 (17)

    特別長篇「鬼火」。

    無愛想な夫婦が営む「権兵衛酒屋」。その居酒屋が突如襲撃されてしまい、店の女房は斬られ、亭主はいずこかへ逐電しています。
    居合わせた鬼平さんが捜査にあたりますが、捜査の行く先々で狙われたり事情を知る人が殺されてしまいます。
    さらに残虐な押し込み強盗まで発生し、またまた火盗改方に厳しい闘いの日々が・・。
    今回は、大身旗本の家事情が絡むだけあって、鬼平さんの上司・京極備前守様の理解と信頼が心強かったです。
    前回の特別長編「雲竜剣」では、きちんと仕事をしていた忠吾さんでしたが、なぜか今回は鬼平さんに叱られるような言動ばかりしていました。なかなか成長しないところが彼らしいです。
    活躍というか、頑張っていたのは鬼平さんの旧友でもある井関さんと、13巻「夜針の音松」にて、変な性癖で女性読者をドン引きさせていた(?)同心・松永弥四郎さんがよく働いていた印象です。
    因みに今回登場した、浪人の高橋勇次郎さんは、なかなか愛嬌のあるキャラでしたので、今後の登場も期待します。

  • 鬼平犯科帳 17巻目。
    短編だと思ってたら、長編だった。

    今回の平蔵さん、ちょっと後手後手に回るところが多かったような。
    そして、年齢のせいか、盗賊改という役職に疲れてきているよう。。
    それが、なんだかとても寂しくなった。

    職務で失敗をした島田慶太郎に、新たな力を目覚めさせようとする平蔵さん。
    失敗をした部下にチャンスを与える上司って、素敵だと思う。

  • ※読了2回目と思われる
     売却済み

  • もと武士らしき男が営む『権兵衛酒屋』。その女房が斬られ、亭主は現場から姿を消す。謎を探る鬼平に兇刃が迫る。
    ちょっとしたきっかけや何気ない出来事の記憶が、大事を未然に防ぐことができる。鬼平の大胆な推理と決断が、庶民の安寧を守った。登場人物も渋目のキャスティングで、大事件だけど落ち着いた雰囲気。

  •  池波正太郎 著「鬼平犯科帳 17 特別長編 鬼火」2000.11発行。「権兵衛酒屋」から始まります。「酒は五合まで」「肴は有り合わせ一品のみ」の張り紙、なかなかの店ですw。この酒場も盗賊の巣か? この作品で最も印象に残ったのは、酒場の女将、傷ついたお浜が何も語らず、(作品の丁度真ん中あたりで)見張り役・島田の隙をついて小刀を奪い自害したシーンです。 

  • 鬼火
    特別長編。平蔵がチョイと寄った『権兵衛酒屋』。酒屋の女房が斬られ、亭主が蓄電する。
    探索を続ける平蔵も襲われてしまう。

  • 序盤は平蔵の判断が後手に回る印象。
    重要かと思っていた繋がりがそうでもなかったり、思わぬ繋がりがあったり。
    タイトル「鬼火」の理由は最後の最後で分かる。

  • 短編の平蔵さんはそうそうミスをしないのだけど、長編だとそれなりにミスをする。それがなんだか新鮮ですね。
    そして兎さんはすっかり元に戻ってしまった様子で…。
    井関さんもそうですが、初期に比べてそれぞれのキャラクターが生き生きと動いている気がします。

  • 平蔵の着眼から、火盗改メの長い長い闘いが始まった。大身旗本の影で暗躍する盗賊団の手掛かりがなかなか掴めない展開に、読み手も焦らされた。最後は急転直下、火盗改メの捜査が結実し〔鬼火〕のタイトルも得心がいった。

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著者プロフィール

大正十二(一九二三)年一月二十五日、東京市浅草区聖天町生まれ。昭和十(一九三五)年、下谷区西町小学校卒業、株式仲買店勤務。昭和十四年より三年ほど証券取引所にあった剣道場へ通い、初段を得る。旋盤機械工を経て昭和十九年、横須賀海兵団入団。敗戦の翌年、東京都職員として下谷区役所の衛生課に勤務。昭和二十三年、長谷川伸門下に入る。昭和二十五年、片岡豊子と結婚。昭和二十六年、戯曲「鈍牛」を発表し上演。新国劇の脚本と演出を担当する一方、小説も執筆。昭和三十年、転勤先の目黒税務事務所で都庁職員を辞し、作家業に専念。昭和三十五年、『錯乱』で直木三十五賞受賞。『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズや『真田太平記』等、数々の小説で人気を博す一方、食や映画、旅に関する著作物も多く上梓した。受賞歴はほか吉川英治文学賞、大谷竹次郎賞、菊池寛賞等。平成二(一九九〇)年五月三日、入院していた東京都千代田区神田和泉町の三井記念病院で死去。小社では同じく単行本未収録のエッセイ集『一升桝の度量』(二〇一一)と初期戯曲集『銀座並木通り』(二〇一三)を刊行している。

「2022年 『人生の滋味 池波正太郎かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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