新装版 鬼平犯科帳 (18) (文春文庫) (文春文庫 い 4-69)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167142704

作品紹介・あらすじ

大恩ある盗賊の娘が狙われていると知った密偵・仁三郎は、平蔵に内緒で非常手段をとる。盗賊上りの部下を思いやる長官の情と密偵の苦悩を描く「一寸の虫」。尾行中の鬼平の前で提灯が闇に飛んだ。辻斬りか? 「神妙にせよ!」、途端に逃げ失せた賊と共に傷ついた男も消える。謎が謎を呼ぶ「蛇苺」。盗賊改方の勘定方・細川峯太郎が初の調査にのりだす「草雲雀」。そのほか「俄か雨」「馴馬の三蔵」「おれの弟」と、円熟の短篇全六篇を収録!

感想・レビュー・書評

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  • 鬼平犯科帳 (18)

    何ともやりきれない結末の「一寸の虫」。苦悩する密偵の仁三郎が“なあんだ、これでいいじゃねえか・・”と出した結論が哀しすぎて、彼がどれだけ精神的に追い詰められていたのかと思うと胸が痛みます。
    「馴馬の三蔵」でも密偵・粂八が苦しんでいました。彼ら密偵の方々は“過去”があるだけに辛い部分がありますよね。
    第一話「俄か雨」と第六話「草雲雀」はリンクしていて、どちらも細川同心が登場します。イマイチ頼りない彼が今後どのように成長するのか見守りたいです。

  • 短編6編、いつになく薄い本であったが、忙しさの中でようやく読了。「一寸の虫」では、また一人密偵が非業の死を遂げてしまった。お盆に供養をせねばならない同心・密偵達に対する平蔵の気持ちは重いものだろう。それは「おれの弟」でも同じことになってしまった。

  • 鬼平犯科帳 18巻目。

    またも、密偵が死んでしまった。。。
    情が深いからこそ、死んでしまったのだと思う。
    悲しすぎる。。。

    そして、「おれの弟」は、最後の展開に驚いた。
    まさかの平蔵さん。。
    平蔵さんの気持ちを考えるに、あれは当然だと思う。
    読んでいた自分も、腹が立ったから。
    今の世も同じことが繰り返されているのだろうと思いながら読んでいたので、あの展開には驚いたとともに、すっきり感もあった。
    京極備前守は、わかってますね。
    わかっているからこそ、盃を受ける。。。

  • 「馴馬の三蔵」と「一寸の虫」はすごく対照的だった。
    仁三郎の話は、性格だからどうにもならない
    ことかもしれないけれど、とにかく残念でならない(T_T)
    最近は親しみのある密偵が亡くなることが多く
    命がけの仕事なのだから当然なのだろうけれど
    やはり心にぽっかり穴があいたような気分になる。

    「おれの弟」も悲しい話だった。
    でもいつもの火盗改方長官とは違い
    自分の感情を爆発させた平蔵は、人間味が感じられて
    親しみが持てた。

  • ”馴馬の三蔵”や”一寸の虫”を読んで、三蔵や粂八、仁三郎の生き様を知ると、ほんの些細なひょんなきっかけで、誰しもが盗人に身を窶すことになる可能性があるのだ、と思う。

  • 「俄か雨」細川、嫁を貰う
    「馴馬の三蔵」久々の粂八
    「蛇苺」ねえ……ねえったら……
    「一寸の虫」お疲れ様仁三郎
    「おれの弟」敵討をやってみた
    「草雲雀」細川、手柄を立てる

  • ※読了2回目と思われる
     売却済み

  • 大恩ある盗賊の娘が狙われている。密偵の仁三郎は平蔵に内緒で非常手段をとった。しかし、待っていたのは死であった。盗賊上がりの部下を思いやる「一寸の虫」ほか佳篇五作。
    個人的には、小房の粂八の葛藤と平蔵の優しさが滲み出る「馴馬の三蔵」がお気に入り。平蔵に命を預けた密偵たちだが、裏切れない人や絶対守らなければいけない人が存在して当然である。その時の選択する事の辛さ足るもの、読む側も胸が締め付けられる。夕闇のラストシーンは、シリーズ屈指の名場面のひとつである。

  • 馴馬の三蔵
    小房の粂八は盗賊だったとき恩のある馴馬の三蔵に逢う。世話になった三蔵を売ることは出来ぬ。迷う粂八。
    平蔵に隠したまま、三蔵の一人ばたらきを見守る粂八。しかし、結局、三蔵は死んでしまう。一件落着となった際、粂八に対し平蔵は、
    『お前と三蔵との間に何があったか、それは、知らぬ。なれど‥‥』
    『口に出しては、味ない、味ない』
    夕闇のなか、粂八は、男泣きに泣いている。
    何も聞かぬ平蔵。
    読んでいて、映像が浮かんでくるよう。グッとくるなぁ。

  • 俄か雨
    馴馬の三蔵
    蛇苺
    一寸の虫
    おれの弟
    草雲雀

    「俄か雨」同心 細川峯太郎が登場。
    「馴馬の三蔵」古株の密偵 粂八でも平蔵に後ろめたいことがあると平常では居られないものなんだな。
    「一寸の虫」密偵 二三郎、亡くなった伊三次に代わって長く活躍するかと思っていただけに残念。
    「おれの弟」終盤の平蔵の処置に驚き。今までも上に揉み消され苦い思いをした案件もあっただろう。こちらとしても救われる気持ちになった。
    「草雲雀」同心 細川が勘定方から異動になり初手柄。

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著者プロフィール

大正十二(一九二三)年一月二十五日、東京市浅草区聖天町生まれ。昭和十(一九三五)年、下谷区西町小学校卒業、株式仲買店勤務。昭和十四年より三年ほど証券取引所にあった剣道場へ通い、初段を得る。旋盤機械工を経て昭和十九年、横須賀海兵団入団。敗戦の翌年、東京都職員として下谷区役所の衛生課に勤務。昭和二十三年、長谷川伸門下に入る。昭和二十五年、片岡豊子と結婚。昭和二十六年、戯曲「鈍牛」を発表し上演。新国劇の脚本と演出を担当する一方、小説も執筆。昭和三十年、転勤先の目黒税務事務所で都庁職員を辞し、作家業に専念。昭和三十五年、『錯乱』で直木三十五賞受賞。『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズや『真田太平記』等、数々の小説で人気を博す一方、食や映画、旅に関する著作物も多く上梓した。受賞歴はほか吉川英治文学賞、大谷竹次郎賞、菊池寛賞等。平成二(一九九〇)年五月三日、入院していた東京都千代田区神田和泉町の三井記念病院で死去。小社では同じく単行本未収録のエッセイ集『一升桝の度量』(二〇一一)と初期戯曲集『銀座並木通り』(二〇一三)を刊行している。

「2022年 『人生の滋味 池波正太郎かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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