新装版 鬼平犯科帳 (20) (文春文庫) (文春文庫 い 4-71)

著者 :
  • 文藝春秋
3.84
  • (42)
  • (47)
  • (61)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 504
感想 : 29
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (303ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167142728

作品紹介・あらすじ

女は、いきなり甚助へつかみかかり、「何をしゃあがる」立ちあがった甚助に突き飛ばされると、「か、敵討ちの約束がまもれぬなら、わたした金を返せ、返せえ!!」白眼をつりあげて叫んだ。逃げ廻る甚助に旧知の平蔵は助太刀をするが、事は意外な方向に展開して行く。女心の奇妙さに、さすがの鬼平も苦笑い。花も実もある鬼平の魅力──「助太刀」。ほか「おしま金三郎」「二度あることは」「顔」「怨恨」「高萩の捨五郎」「寺尾の治兵衛」の全七篇収録。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 鬼平犯科帳 (20)

    男女関係の“妙”が描かれた「おしま金三郎」「助太刀」。描かれている女性観についてはちょいと疑問ですが、いつの世も痴情のもつれというのは、当人同士でないと解りかねるところはあるものです。
    そして、盗賊でも人としての心を失っていない者もいるという事で、「高萩の捨五郎」「寺尾の治兵衛」はまさにそんな“心ある”盗賊の話でした。特に「寺尾の治兵衛」は切ない結末に・・。鬼平さんの温情ある処置には泣けてきます。
    ついに鬼平シリーズも20巻読了してしまいました。あと4巻しかないので、ちびちびと読んでいくことにします。

  • 「おしま金三郎」女の執念
    「二度あることは」密偵が増えた
    「顔」兄弟、それも腹違いでそんなに似るものか
    「怨恨」喜十よかったね
    「高萩の捨五郎」密偵増える。そしてまた伊織か
    「助太刀」おしまといい、お峰といい、女と何かあったんですか
    「寺尾の治兵衛」ちょっと強引な締め 秋山小兵衛がちらっといる

  • 盗賊でも筋が通っている人もいる。自分を顧みずに人を助ける。女心も複雑。人の描き方がいいなぁ。

  • 女から敵討ちを頼まれて逃げ回る男に、平蔵が助太刀を申し出て意外な事実が判明する『助太刀』ほか、円熟の7編。
    季節は移ろい人は入れ替わる。それでも過去の情念と行為は消すことはできない。鬼平はその全てを汲んで決断する。いつも懐の深さに感服する。

  • 寺尾の治兵衛
     身を捨てて子供を助けた治兵衛。平蔵は治兵衛の小判50両を治兵衛のむすめの嫁入りにと、大滝の五郎蔵に持たせて旅立たせる。
     長谷川平蔵の世界はいいなぁ。

  •  池波正太郎さんの鬼平犯科帳シリーズが、なぜ私に相性が悪いか、20巻を読んでて、よくわかりました。以前にも書きましたが、やたら「どこどこの土地の何ベえ」「〇〇と言われてる誰々」と盗賊が多すぎること。それも各巻ごと新しく。そして、その盗賊が火付け盗賊改め方の密偵に。いわば密偵と盗賊のはなし。人間模様は少し、大半は盗賊模様、そんな印象です。時々、楽しめる人情話はありますがw。それでも、あと数冊、シリーズ完読はしたいと思っています(^-^)

  • 優柔不断で状況に流される細川峯太郎は、私自身を見ているようでもある。
    でも、もしあのまま彼女に会っていたとしても、今更相手にしてもらえるとは思えないんだけど…。
    そんなことも考えられないほど気持ちが揺らいでいるのかな、峯太郎さん。
    どの面下げてってやつですよ。

  • 「二度ある事は」を読むと、細川に同情してしまう。昔の女に未練が残り、それが事件と結びつくという悪循環。男とはダメなものだ。「寺尾の治兵衛」では、だんだんと五郎蔵と同じ気持ちになってくる。これだけ手放しで治兵衛に信頼されると、捕まえられるのが読んでいても辛い。彼の最期が「このよう」になったのも、著者が良い落としどころを自然に選んだような気がしてならない。治兵衛の死を伝えるための五郎像の旅は、さぞ気が重いことだろう。

  • 「おしま金三郎」、「二度ある事は」、「顔」、「怨恨」、「高萩の捨五郎」、「助太刀」、「寺尾の治兵衛」の七作品を収録。

  • 鬼平犯科帳 20巻目。
    とうとう20冊目に突入。

    今回は、女性という生き物。が書かれたものが多かったような。
    女性からしたら、「みんながみんな、そうだと思わないでくれ」と、言いたいところだが。。(笑)

    この人は、密偵になるのだろうなーと、思っていた人が3人ほど。
    その中の1人がまさかの事態で亡くなるとは。。。悲しい。。
    密偵になりそうな人って、人としての心をしっかり持った人なんだよな。。
    しっかりと盗みの三か条を守っている人。
    惜しい人を亡くした。。
    そして、故人への平蔵さんの対応に、読み手の自分もうるっと来た。

全29件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

大正十二(一九二三)年一月二十五日、東京市浅草区聖天町生まれ。昭和十(一九三五)年、下谷区西町小学校卒業、株式仲買店勤務。昭和十四年より三年ほど証券取引所にあった剣道場へ通い、初段を得る。旋盤機械工を経て昭和十九年、横須賀海兵団入団。敗戦の翌年、東京都職員として下谷区役所の衛生課に勤務。昭和二十三年、長谷川伸門下に入る。昭和二十五年、片岡豊子と結婚。昭和二十六年、戯曲「鈍牛」を発表し上演。新国劇の脚本と演出を担当する一方、小説も執筆。昭和三十年、転勤先の目黒税務事務所で都庁職員を辞し、作家業に専念。昭和三十五年、『錯乱』で直木三十五賞受賞。『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズや『真田太平記』等、数々の小説で人気を博す一方、食や映画、旅に関する著作物も多く上梓した。受賞歴はほか吉川英治文学賞、大谷竹次郎賞、菊池寛賞等。平成二(一九九〇)年五月三日、入院していた東京都千代田区神田和泉町の三井記念病院で死去。小社では同じく単行本未収録のエッセイ集『一升桝の度量』(二〇一一)と初期戯曲集『銀座並木通り』(二〇一三)を刊行している。

「2022年 『人生の滋味 池波正太郎かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

池波正太郎の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×