- Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167142841
感想・レビュー・書評
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『近藤勇白書』でも主役(近藤勇)を食う勢いで大きな存在感を見せていた、思い定めれば一直線の剣術バカ:永倉新八を主人公に据えた新選組ストーリー。最初から最後まで、政治的野心とは無縁に、己の信ずる清い道を進まんとする新八の気勢が爽やかに描かれている。「日本人を見損なっちゃいけねえな、藤堂さん??徳川にしろ薩長にしろ、互いに喧嘩はしていても、外国に色眼をつかいすぎて、ドジをふむようなまねはしないよ」。
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永倉新八の目線で新選組の興亡を見る。手の付けられない悪戯者の新八が剣術に目覚めた時、時代は幕末の激動期に入ってしまった。近藤勇に付き従い壬生浪と半ば蔑まれても、幕府のために京の治安維持に没入する。『竜馬がゆく』を読めば新選組に悪印象を抱くが、当然彼等も日本を良くしたいという思いがあったことが伝わってくる。新八が鳥羽伏見、甲府、会津と動乱の中を転戦していったにも関わらずに生き抜き、明治から大正を生きて天寿を全うできたことは奇跡的だ。
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やっぱりおもしろい、新選組
永倉 新八の視点から書かれた新選組
時代は変わっても組織というのは変わらないものだと思った。最後までぶれなかった新八が、77歳まで生きて時代の変化を見届けたのもまた運命だろうか -
新選組と言えば近藤、土方、沖田を思い浮かべる。
この小説は「永倉新八」の目線で、新選組のこと、幕末の様子、そして明治初期のころの日本の様子が描かれている。
時代的にも興味深い時期であり、永倉の目線で書かれていることから、非常に時代背景もあまり難しいと思うことも少なく読み進められました。新選組に興味あるなら、この本から!と言いたい作品だと感じました。 -
久しぶりに読み直してしまった。池波正太郎氏のこの新選組の長編は近藤でも土方や沖田ではなく、主人公に永倉新八をおき明治維新を語らせている。
「明治維新とは何だったのか?」を読むほどに感じられる作品です。 -
事情があって少々中断してしまった本、やっと読了 ・・・永倉新八、格好良いではないか! まさに江戸っ子、同士を見るような思いである!(コラコラ) 少々中断してしまった・・・というのは、やはり敗走してゆく彼らを読んでいるのが辛くなってしまったから・・・ 池波先生の筆力で、まるでこれが事実でもあるように感じられてしまったから、が大きい さらに心残りなのは、永倉新八という名前に戻さなかったことかな、確か彼の子孫の方も「永倉」であって欲しかった、とおっしゃっていたような・・・と、これは本の感想ではないなw
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わたしにはイマイチ合いませんでした。でも読みやすかったです。芹沢さんに可愛がられるのと、藤堂との人間くさい関係と、維新以降の話が良かったです。原田のキャラ立ちも素晴らしい。しかしこのタイトルなのに新選組や関わった事件に対し少しあっさりしすぎてるようにも思えます。幕末新選組と言いつつも新選組がどんな終焉を迎えたのか、それも一切触れないのが心残りです(まああくまで永倉が主人公なので仕方ないのですが) 局長については内部の支持者ではない側から見るとこんな感じだったんだろうな~と納得。
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「会津藩御預新選組副長助勤 永倉新八」に焦点を当てた本書。
少年の頃の新八、後年の新八改め杉村翁のエピソードは面白かったが、肝心の京都部分でちょっと中弛みしてしまった。
池波先生が描かれている永倉像が圧倒的に正確であることは分かっているのだけど、新選組隊士に対しては私の勝手な隊士像があるため(ほぼ燃えよ剣で作られてる)、その相違部分にもやっとしてしまった。 -
これこそ時代モノの痛快さ、杏がお気に入りだと聞いて読んだが、たいそう面白かった。
永倉新八個人の目線で、明治維新の起こり始めから時代が変わりきるところまでが描かれて、その波に新八が乗っかって流されて漂着する起伏が、単なる英雄伝じゃなくて親近感湧いた。
池波正太郎をあまり読んだことなかったが、また読みたいなぁ、でも鬼平犯科帳は長すぎるなぁ。そのボリュームの意味でもこの本はちょうどよかった。