ひとひらの雪(下) (文春文庫 わ 1-14)

著者 :
  • 文藝春秋
3.00
  • (1)
  • (4)
  • (11)
  • (4)
  • (1)
本棚登録 : 95
感想 : 5
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167145149

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 妻子がありながら、さらに二人の女性の間で揺れ動くなんて、どれだけ自分勝手で傲慢なのだ。これは願望のお話なのか。この頃からFURINが世間でほんの少し肯定されかけたのではないか。

  • 笙子のことを気に留めながらも、霞のほうに心を惹かれていく伊織は、彼女を連れて十日間のヨーロッパ旅行に出かけます。ところが、彼を見送りにきてくれた笙子は、伊織がもう一人の女性とともに旅に出たことに気づいていました。

    旅行から帰宅した伊織は、笙子が仕事を休んでいることを知らされ、彼女と連絡をとろうとします。しかし笙子の気持ちはもはや彼から離れてしまっており、伊織は退職したいという彼女の希望を受け入れざるを得なくなります。その後伊織は、笙子が宮津と結婚することを知らされ、口惜しさと寂しさに苛まれます。そしてその結果、彼は心の空隙を埋めようとしてなのか、霞との逢瀬をくり返しますが、やがて彼女も伊織の手の届かないところへと行ってしまうことになります。

    途中まで読んだところで、だいたいストーリーの行き着く先は見通せたように思ったのですが、ちょっと理解に苦しむ締めくくりだったので、唖然としてしまいました。予想では、伊織が霞とのあたらしい恋に惹かれていくのを見た笙子が彼のもとを去り、次いで「三番目か四番目の女」でいいと考えていた霞が、伊織のたった一人の愛人になってしまい、彼の執着を疎ましく感じて離れていく、という筋が自然な展開のように思えるのですが。伊織の手で女性の悦びに対して積極的になっていく霞の変化も、彼との関係をライトな不倫と見切った女性の覚悟のようなものが伺えるので、最後に病気になってしまい、娘によって伊織との関係を止められるという結末は、それまでの彼女の振る舞いとはかなりへだたりがあるように感じてしまいました。

  • 妻とは別居中の中年男性が主人公。主人公の伊織には部下の笙子という愛人がありながら、新たに人妻の霞とも関係を持つ。
    なんとも、中年だというのに、元気だなあという印象です。
    建築家なのですが、本当に仕事をしてるんかい?とツッコミもいれたくなります。
    男性の願望というか、利己的な面が全開で、本来ならとても嫌なヤツなのですが、馬鹿だなあと思う面もあり、男性っておバカで勝手な生き物なのだと思いつつ全部読んでしまいました。

  • 最後に義理の娘がやってくるのは
    …???な終わり方だった。

    あのシーンは必要?


    この人の作品では
    都合良く主人公たちのみかたをしてくれる人物が必ず配置されていて

    この小説ではそれが霞の夫の連れ子なわけだけど

    そもそもなぜ彼女がこころよくステップマザーの浮気を手伝っているのかも
    イマイチよくわからないまま話が進んで、、

    で、最後、

    それ、なに?

全5件中 1 - 5件を表示

著者プロフィール

1933年北海道生まれ。札幌医科大学卒。1970年『光と影』で直木賞。80年『遠き落日』『長崎ロシア遊女館』で吉川英治文学賞受賞。2003年には菊池寛賞を受賞。著書は『失楽園』『鈍感力』など多数。2014年没。

「2021年 『いのちを守る 医療時代小説傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

渡辺淳一の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×