ダーク・ハーフ 下 (文春文庫 キ 2-13)

  • 文藝春秋
3.51
  • (15)
  • (20)
  • (55)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 260
感想 : 18
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167148126

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 主人公の別名義の分身が、邪魔な人間をバシバシ始末していく様は極悪非道
    その原動力が何かが分身の視点で語られたり、赤子達があろうことかこの邪悪な存在を受け入れる意外な展開がまた、感情移入してしまいそう

    実に25年前の本書、読了に2ヶ月かかった…
    作家の影の半身が実体化してやらかす数々の凶悪事件
    なのに、自己帰結的に探求する2人に共感する物語
    それにも増して夥しい雀の大群が、もー只々おぞましくも神々しい描写だった

  • 「いや、いっそ幽霊の仕業だと言われたほうが、まだ信じやすかったかもしれない。ところが、こいつは幽霊ですらないんだ。かつて存在したことすらないんだから」

    ……作家と(実体化した)ペンネームとの戦いという設定が面白い、と思って購入。

  • まずジョージ・スタークというペンネームを封印するのに死亡したことにして、フェイクの墓石の前で写真を撮影するというジョークから連続殺人が始まるところがキングらしく最高です。

    そのジョークにより世に出てきたジョージ・スタークの幽霊の化身は主人公サド・パーモントの子宮の中で死別した双子の兄弟であることがわかってきます。こう書くとあまりに滑稽無糖であり筋が通ってないのですが、そこはさすがキングです。残虐な殺人が繰り返されるたびに殺人鬼の正体と目的が徐々に明らかになっていき、読んでいるこちらは物語に入り込み納得するしかありません。

    ホーマー・ガマーシュ、フレデリック・クローソン、ミリアム・カウリー、マイク・ドナルドソン、フィリス・マイヤース、リック・カウリーの6人を殺害するジョージ・スタークス。ものすごく極悪非道なのですが、徐々に朽ち果てていく様子は少し哀愁を感じさせます。6人も殺す必要ないのです、特にホーマー・ガマーシュはヒッチハイクで人を乗せただけで殺されますさすがのアメリカでもこんな酷いこと起こりませんよね。

    最後にキングの小説に何度か目の登場となるアラン・パンクボーン保安官ですが、今回も誰一人として助けることはできませんでした。でも仕方がないですよね、だって話がメチャクチャだから。

  • いつもながらの、藤田新策さんのカバー絵、美しい!
    キングの世界の雰囲気を醸し出しています。

    双子の不思議というのは、いろんな例がありますが、お腹の中にいた時に、初めは双子だったが…という例の多さに驚きました。この作品は1980年代のものなので、今では更に研究が進んで、判明してることも多いのかしらん?

    それにしても、毎度毎度、キングの博識さ、緻密さ、ダイナミックさ、怖さ、表現力…いっぱい驚かされるけど、1番ビックリするのは、やはり、超現実的な、荒唐無稽とも言えるような物語を、説得力のあるものとして、ガッツリ読ませていく力‼︎
    私が本を読む上で1番好きな
    『先が気になって仕方がない』
    という醍醐味を味わわせてくれるのです。

    あくまでも個人的な好みですが…。
    私は、冒険ファンタジー小説系は、あまり好みでないのですが(全然読まないわけではないです)現実世界から、いつのまにか不思議な世界へ、というのは大好きなのです。

    キング作品も、ある意味、ファンタジーなのかもしれないけれど、自分のいる現実世界と繋がっている…という実感が感じられる…というのが、好きなのかなぁ?なんて、思いました(^^)

    何はともあれ、面白くって、ガッツリ読んでしまう作品です‼︎

  • 内容
    凄惨な殺人現場に残されていたのは、そこにいるはずのない自分の指紋と血で書かれたメッセージ。容疑がかかるサドに“影の半身”の復讐の手が徐々にしのび寄る。対決の日、何か強烈な力に呼び起されたかのように、おびただしいスズメの群れが辺り一面を覆いつくした。作家と抹殺されまいとするペンネームの壮絶な戦い。

  • そんなことありえるはずが…何かトリック、うまい説明が…という考えにすがってきたけど、そんな甘い考えを無理矢理に押し流すような圧倒的濁流に心が翻弄された読書でした。ホラーとしてすごい。

  • 読書録「ダーク・ハーフ下」4

    著者 スティーヴン・キング
    訳  村松潔
    出版 文藝春秋

    P210より引用
    “俳優やアーティストと並んで、作家はわれわれの社会で公認さ
    れている数少ない霊媒なのかもしれない。彼らはけっして存在し
    ない世界をつくりだし、そこにけっして存在しない人間を住まわ
    せて、われわれをその幻想に誘う。”

     目次から抜粋引用
    “ウェンディ、墜落する
     期限切れ
     スズメの襲来
     スズメが飛んでいる”

     押しも押されぬホラーの大御所による、ホラーでミステリーな
    長編小説。
     次々と悪いことが身の回りで起こり始めた作家サド、その数々
    の出来事の原因は…。

     上記の引用は、とある保安官の考えの中の一文。
    なるほど、だから大物の歌手のコンサート等では、興奮のあまり
    失神する人が出るという話が出てくるのかもしれません。
     意外とあっさりとした結末のように思いましたが、気持よく読
    み終えることのできる結末なのではないかと思います。

    ーーーーー

  • どこからスタークが生まれたのかが理由付けされていてよかった。
    悲しいね。

  • 途中からモンスターであるところのスタークが哀れでしょうがなかった。
    何の因果かこの世に生まれでて来てしまった存在。
    そして、本体のサドの勝手な理由で消されようとしている存在。
    作家のエゴの犠牲者の最たる物だ。

    考えてみるとスタークにもファンがいると思うのだが、サドがスタークとして書かないということはファンも作家のエゴの犠牲者ではないだろうか?
    そのファンの数はサドのファンよりも多いという、、、

  • 2012.3.4(日)¥150。
    2012.5.14(月)。

全18件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1947年メイン州生まれ。高校教師、ボイラーマンといった仕事のかたわら、執筆を続ける。74年に「キャリー」でデビューし、好評を博した。その後、『呪われた町』『デッド・ゾーン』など、次々とベストセラーを叩き出し、「モダン・ホラーの帝王」と呼ばれる。代表作に『シャイニング』『IT』『グリーン・マイル』など。「ダーク・タワー」シリーズは、これまでのキング作品の登場人物が縦断して出てきたりと、著者の集大成といえる大作である。全米図書賞特別功労賞、O・ヘンリ賞、世界幻想文学大賞、ブラム・ストーカー賞など受賞多数。

「2017年 『ダークタワー VII 暗黒の塔 下 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

スティーヴン・キングの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×