赤い月(下) (文春文庫 な 25-5)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167152093

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  • 物語は特務機関の氷室にスポットが。氷室とロシア美人エレナの出会い、そして森田波子との出会い。また昭和20年秋のハルピンでの出会いと、波子と美咲、公平の2人の子供たちの日本帰国まで。あまりにも狂気に満ちた小説は最後に50年超の歳月を経た後の氷室と美咲、公平の鎌倉での再開場面をエンディングとして終結し、救いを感じます。波子の存在感は凄いですが、振り返ってみて人生の虚しさよりも、爽やかさを感じさせる瞬間です。そして狂気に満ちた時代が日本そのものの狂気を感じさせると共に、現代から見てとても真実とは思えないような日々としてむしろ緊張感を高めています。残念なことは、時系列が進んだり戻ったりする場面が多すぎること、心の動きの描写があまりにも性急過ぎると感じさせることですが、それを上回る歴史の事実に圧倒的な感動を覚えました。

  • 知人からの貸し出し。
    満州に渡った主人公は、夫と酒屋を立ち上げ、繁栄と凋落を味わう。どちらも戦争によるものだ。
    主人公の波子が必死に子どもたちを守り抜く姿は共感したい。が、男をたぶらかしてばかりで、家族が気の毒である。人間は欲を持ち、矛盾もするものだが、それにしても自分勝手すぎて不快になってくる。
    スパイのエレナ、保安官の氷室、大杉などの周りのキャラクターは良い。個性と芯があり、それぞれ好感が持てる。
    当時の満州を知る素材としてはいいかも。
    (赤い月<上>と同じ内容)

  • 第二次世界対戦を側面から知るきっかけ。

  • 昔ドラマでみたなとおもってパラパラ読み。

    母がエキセントリックすぎてぽかーん。

    ここまで「女」として書かないといけなかったのかな??

    戦争で全てを失った女、という描き方だったのだろうと思うんだけど

    あまりに同情出来なくて、

    これが自伝的小説だということを考えると

    子どもがかわいそう。

    母が子を守ったのは本当だけど、

    旦那以外の好きな男の、好きな女を作戦立てて殺しちゃうっていうのは

    かなり衝撃的で引いた・・・・

    母親が女であることを否定しない派の私でも

    この母親はきつすぎる。

    気分が悪くなって作者の思惑通りに読書できなかった。

  • 目次:泥の花、ロマノフカ村、邂逅、波子、夜咄、参考資料一覧、<対談>満州国のまぼろし 半藤一利 なかにし礼

  • 恵まれた僕達にはない貪欲に生きる姿勢に心を打たれました。

    戦争という過酷な時代だからこそ、その中で生きる人達の生き様は残酷なほどロマンチックです。 

  • この人は今は才能あってお金があってもてそうなおじさんだけど、本当に苦労した時代があったというのは、彼のどうしょうもない兄について書いた本でよくわかったのですが、こちらは、混乱の時代をたくましく生き抜いた母親が主役。面白くてどんどん読めちゃいますが、私にはちょっと展開が早くて、もう少しじっくり読ませて欲しいような気がしてしまいました。2004年2月読

  • 果華の絶頂から一転、奈落の底へ。頼りにしていた夫との再会も束の間、勇太郎は強制労働に取られ、病で命を落としてしまう。すべてを失い、夫の屍を乗り越え、食うや食わずで二人の子供を守る母・波子。そんなとき、密かに思いを寄せていた男・氷室の消息が聞こえてきた。再会に胸躍らせる波子だが、彼女の前に現れたのは、阿片に体を蝕まれた廃人同然の男だった…。母として子供を守るか、女として一人の男を愛するか?極限の選択が波子に迫る!家族、愛、究極の選択。自伝的大作。

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著者プロフィール

1938年旧満州牡丹江市生まれ。立教大学文学部卒業。2000年『長崎ぶらぶら節』で直木賞を受賞。著書に『兄弟』『赤い月』『天皇と日本国憲法』『がんに生きる』『夜の歌』『わが人生に悔いなし』等。

「2020年 『作詩の技法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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