緋い記憶 (文春文庫 た 26-3)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 544
感想 : 59
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  • Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167164058

作品紹介・あらすじ

思い出の家が見つからない。同窓会のため久しぶりに郷里を訪ねた主人公の隠された過去とは……。表題作等、もつれた記憶の糸が紡ぎ出す幻想の世界、七篇。直木賞受賞作!(川村湊)

感想・レビュー・書評

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  • あとがきで川村湊さんが、
    岩井出身の“みちのく”作家。
    心の中の “みちのく”の情景を描く。
    と、上手こと表現している。
    直木賞の人生の曖昧となった記憶を物語とした
    7編の記憶シリーズ。舞台も東北が多い。
    どの短編も、記憶から欠けた時間を探し始めるところから始まる。そこに記憶を封じなければならなかった事情を思い出していくという構成。
    各作品、設定も展開も工夫されて、とても素敵な短編集です。

    「緋い記憶」
    故郷での緋色の記憶。そこに残る少女との思い出。なぜか、住宅地図には、その家の記録がない。
    「ねじれた記憶」
    男は母との記憶が残る寂れた温泉宿へ。そこは、母親の自殺した場所。母親とよく似た女性との出会い。自殺前の時間がねじれた記憶。
    「言えない記憶」
    子供時代の不確かな記憶と鮮明な記憶。
    缶蹴りの途中で行方不明のまま亡くなった少女の本当の死因。
    「遠い記憶」
    忘れていた幼児期の記憶。家だと思っていたのは、父親の愛人の家。忘れてていたのは、鴨居にぶら下がる愛人とそれを見る母親。
    「膚の記憶」
    食中毒かアレルギーに苦しむ男。
    原因を探すうち天然水と思い至る。母親の故郷の水。水源地に沈んでいたものは。
    「霧の記憶」
    若い日のロンドンでの曖昧となった記憶。小説家となった男の古い作品から、当時行方不明になった女性の痕跡を探す。
    「冥い記憶」
    一人の少女の死を思い出させるための青森ツアー。
    これは、短編だとわかりにくい。結末がよくわからなかった。

    • おびのりさん
      おはようございます。

      ええもう、ざわざわ感が良い感じですよね。
      かなさんの本棚で続編があることを知りましたが、読まなくて良さそう?笑
      自分...
      おはようございます。

      ええもう、ざわざわ感が良い感じですよね。
      かなさんの本棚で続編があることを知りましたが、読まなくて良さそう?笑
      自分にも沈めた記憶があるかもしれない、と思わせるあたりも好きです。
      私は、本格ミステリー等より、こういう雰囲気の方が自分に合っているなと再確認したところです。
      2024/02/01
    • おびのりさん
      そして、ブグログさんに代わりまして、土瓶さんに “自分のレビューより、およその本棚の訪問を大切にしています♪GOLD”を差し上げたいと思いま...
      そして、ブグログさんに代わりまして、土瓶さんに “自分のレビューより、およその本棚の訪問を大切にしています♪GOLD”を差し上げたいと思います。
      2024/02/01
    • 土瓶さん
      ヾ(o´∀`o)ノワァーィ♪
      なんかもらった~♪
      \(゜ロ\)ヤッタネ(/ロ゜)/

      あ。そうそう。
      それで思い出したけど、あらた...
      ヾ(o´∀`o)ノワァーィ♪
      なんかもらった~♪
      \(゜ロ\)ヤッタネ(/ロ゜)/

      あ。そうそう。
      それで思い出したけど、あらためておびのりさん、ユーザー賞おめでとうございます!
      みんみんさんもかなさんもおめでとうございますm(__)m
      なんかね。
      インフル明けのよく回ってない頭でへんなとこでおめでとうコメント出したら、「そこで言っても誰にも伝わらんわ」言われたんだった。
      メーロンんとこの楊令伝6だったかなw
      2024/02/01
  • R3.3.21 読了。

     記憶をテーマとした短編集。読んでいてゾクッとする作品もあったが、ジャパニーズホラー的な作品を期待していたが違っていて残念。

  • 時代的古さを感じるけど、記憶をテーマにした短編で、記憶はセピア色のイメージだから、その古さが味を出していて逆にいい。
    伝奇的ミステリーだけど、どれも人の仄暗さを覗き見する気分で、昏い楽しみがある。
    共通して、岩手をテーマにしているので、遠野物語のような趣もまた風情がある。

  • 特別面白い話があったわけではないけど、作者特有のジメッた空気感がとても好き。

    ″ねじれた″と″虜の″が好き。

  • タイトル通り「記憶」がテーマの短編集。
    遠い過去の記憶がいつの間にか都合よく書き換えられているのですが、書き換えられるには必ず相応の理由があり、それを思い出す過程で忘れたかった忌々しい真実が明らかになるという同じパターンの構成となっている。
    今から30年近く前にも書かれた作品であり、その当時に過去を振り返っているので、高度成長期を迎える前の東北地方という日本の原風景的な描写が少しだけ怖い雰囲気ながらどこか懐かしい印象を受けます。
    高橋氏といえば東北地方を舞台にした歴史ものか浮世絵シリーズという印象だったので、こんな作品を書いていて、かつそれで直木賞を獲ったなんて意外でした。

  • 狙いなのかヘンな生臭さがあった。

  • 記憶をテーマにした七篇。
    粒揃いな中、表題作とねじれた記憶は舌を巻く巧さ。重厚で好み一直線のホラー作品。

  • 短編集。
    一つひとつ、何となく答えが見えてそうで、見えなかったり、気付いたら最後まで読んでた感じ。
    読みやすいサスペンス。

  • 本のタイトルにもなっている『緋い記憶』が、やはり逸品。
    発表された年が30年ぐらい昔だから、
    時代背景とか人物描写に古臭さを感じるけれど、
    物語はどれもこれも、今読んでみても引き込まれる。
    ひんやりとしたものを感じつつ、
    自分の記憶の断片が脳裏に浮かんでは消え、
    1話1話の主人公の記憶に吸い取られていくような気さえする。
    短編で、ここまで人の危うい側面を描ききるのは凄いな。
    さすがだなと思うけれど、まだ高橋克彦氏の長編は未読でもあり、
    長編に向かうのには躊躇がある、何故だろう。

  • 24年ぶりの再読。四半世紀前の読後感は、ただただ怖いことと、ストーリーのうまさ、文章の読みやすさであった。それが故にタイトルが深く記憶に刻まれ、再読のために再び本を手にしたのだろう。そして今また恐怖を感じている。自分自身、心の奥底に押し込んできた記憶が少なからずあることを承知している。もしそれを白日の下に曝し真正面から向き合わねばならなくなったら、恥ずかしさと自分自身への嫌悪で内側から壊れてしまいそうだ。恥ずかしさは、まさに恐怖とイコールなのだ。

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著者プロフィール

1947年岩手県生まれ。早稲田大学卒業。83年『写楽殺人事件』で江戸川乱歩賞、87年『北斎殺人事件』で日本推理作家協会賞、92年『緋い記憶』で直木賞、2000年『火怨』で吉川英治文学賞を受賞する。他の著書に『炎立つ』(全5巻)、『天を衝く』(全3巻)などがある。

「2009年 『To Tempt Heaven』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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