- Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167169121
作品紹介・あらすじ
慶長元年春、ボロをまとった二十数人が長崎で磔にされるため引き立てられていった。歴史に材を得て人間の生を見すえた力作。「三色旗」「コロリ」「動く牙」「洋船建造」収録。(曾根博義)
感想・レビュー・書評
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著者の歴史小説の原点となる作品群。中でも「コロリ」がコロナ禍で起こりうる世相を予見していたかのよう。沼野玄昌、知りませんでした...。
天狗党の悲哀を描いた「動く牙」もいい。時代を経ても人の本質は変わらないことを突きつける一冊。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
克明な記録に近い内容。普通の作家のように作中人物の心理描写はほとんどないながら、その場に居合わせて記録したかのように深く書きとめられている作家の技量はすごいと思う。
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あとがきによれば、吉村昭初めての歴史小説であるらしい。
だが、すでに完成されている。
その後の、著者の歴史小説を読むと、更に完成度が増していることが分かる。
初めての歴史小説で、この完成度は驚きである。 -
解説:曾根博義
磔◆三色旗◆コロリ◆動く牙◆洋船建造 -
・11/16 読了.キリシタン迫害という重い題材を小説にしているけど事実を淡々と述べて感情を入れない語り口の冷静さはさすがドキュメンタリー作家の真骨頂だ.その他の短編も同様で読後の満足感が高い.
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2018年6月1日読了
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処刑後がひどい。
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この短編集には、磔の他、三色旗、コロリ、動く牙、洋船建造が掲載されている。吉村があとがきに寄せているように、この短編集の特徴は、磔が吉村にとって、初めての歴史小説であったこと。また、この短編集までが中短編集で、これ以降は、多くの吉村記録文学を連ねた長編に移るターニングポイントなのである。短編集と言えども、これまでに読んできた歴史記録小説と向き合う姿勢は変わりなく、資料に基づき事実を丁寧で描き、さらに内面を見事に浮き立たせていく。初めての歴史記録小説とは思えないタッチである。
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何話か入っていたが、印象に残ったのは「磔」と「コロリ」。吉村昭さんらしい、その場に居合わせたようなリアルな内容でした。
印象が薄く退屈な話もあったので、吉村作品にしては評価は低め。 -
表題の「磔」が少しぞっとする感じでおもしろかった。
というか、それ以外はシーボルト、落日の宴、天狗争乱で書籍化されたもの。
ゆっくりじっくり、長崎で暮らしてみたい。