朱の丸御用船 (文春文庫 よ 1-35)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167169350

感想・レビュー・書評

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  • ある歴史書の一部にあったものを手がかりに、淡々と物語を進める。
    似た作品に同氏は『破船』を描いているが、個人的には『破船』の方が、切迫感・緊張感があり、読み応えがあった。

    しかし、こちらの『朱の丸御用船』は、淡々と物語を描いているので、それだけ、ノンフィクションの歴史物語を読んでいる印象を受けた。

    結末も淡々とした筆致で素晴らしい。

  • ひたひたと忍び寄る恐怖。歴史小説なのにミステリのようだ。面白い。

  • 前半は淡々と事実を正確な筆致で書かれていく文脈から、後半の一気に問題解決に向けて、読者の興味を引く描き方は、吉村作品らしいと思う。
    人間の心理からポピュリズムを感じる後半と、登場人物の最後の姿まで描き抜く姿勢は感服させられる。

  • つらい話。

    ・江戸の海運行政を身近に感じることができる。
    ・参考文献を読んでみる。

  • 吉村氏の語りによれば「日本残酷物語」に載っていた記録をヒントに、フォーカスしたとある。記録文学を越えて、文学に昇華せしめているのは氏の筆力だろう。

    氏の作品は殆ど読んでいるが再、再々、いや4回くらい読んだのもある。選べと言われても、出来ないほどに、ジャンルごとに素晴らしい内容、展開、人物描写等々筆舌に尽くしがたい。

    「破船」とテーマは酷似しているのだが、こちらの方が好きかな。弥吉、きよに微かな光を当て、人物造影を通して天保期の漁業を生業とするしかない寒村の日常と「はれ と け」や諸々にまつわる因習、結束 役人どもの姿が浮かび上がるようになっている。

  • やはり吉村昭は面白い。

  • 20190514

  • まさに記録を現代語訳で読んでいる臨場感。とはいえ、もちろん記録を現代文に直したからといって事物の本質がわかるわけではなく、そこには吉村昭のあてたフォーカスがあるということだろう。そのフォーカスを明らかにするレンズを通して歴史を読ませる。

  • 吉村昭の本は古本屋さんで見かけたら買うようにしている。
    それくらいハズレがない。
    今回も面白かった。
    幕府のお米をせどりした村にかかる厄災。
    転売でいうせどりはたぶんこの言葉が起源。
    またひとつ勉強になった笑

  • 徐々に忍び寄る恐怖…
    下手な装飾がないのが逆に臨場感を盛り上げる。まさしく、この著者の真骨頂か?

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著者プロフィール

一九二七(昭和二)年、東京・日暮里生まれ。学習院大学中退。五八年、短篇集『青い骨』を自費出版。六六年、『星への旅』で太宰治賞を受賞、本格的な作家活動に入る。七三年『戦艦武蔵』『関東大震災』で菊池寛賞、七九年『ふぉん・しいほるとの娘』で吉川英治文学賞、八四年『破獄』で読売文学賞を受賞。二〇〇六(平成一八)年没。そのほかの作品に『高熱隧道』『桜田門外ノ変』『黒船』『私の文学漂流』などがある。

「2021年 『花火 吉村昭後期短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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