池袋ウエストゲートパーク (文春文庫 い 47-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 11480
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  • Amazon.co.jp ・本 (367ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167174033

作品紹介・あらすじ

「池袋ウエストゲートパーク」は東京の池袋を舞台に、現代の若者の友情、愛情が描かれるエンターテイメント作品です。
現代の病巣ともいえるネット社会などについても言及もあり、社会学の書物としても注目されます。筆者の石田衣良は直木賞を受賞しており、その点で小説の面白さにはお墨付きがなされているものといえます。

感想・レビュー・書評

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  • とてもやんちゃであるが、情に熱く超クールなあん畜生!池袋西口公園近くに住む八百屋の兄ちゃんである真島誠が、難事件を解決していく。今回の話のセッティングは私にはかすりもしませんが、裏側では色々なことがあるのですね。今度池袋に行くとき、楽しみです。大体、映像として回想しながら読むことが多いのですが、私の脳内でマコトの映像化がうまくできませんでした。ネットで俳優を見ると「長瀬智也」、加奈が「小雪」??おっと、ちょっと混乱。これはシリーズものですね、誠に会おうかどうしよう。読友さんに聞いてみよう!!

  • 〝池袋西口公園(俺たちはカッコつける時はいつも「ウエストゲートパーク」と呼んでいた)〟を舞台に、工業高校卒業後に池袋西一番街にある果物店を手伝うトラブル・シュ-タ-<マコト(真島誠)>を主人公とした、大都会の夜を疾走する若者たちのクールで爽快な青春クライムノベル4篇の連作短編。 解説の<池上冬樹>氏いわく「マコト・シリ-ズは、海外エンタ-テインメントの上質の部分を吸収した俊英による傑作シリ-ズであり、青春小説としての輝きにみちたハードボイルド・ミステリである」に加えて「西部劇」的な面白さも。

  • 存在意義・理想の人物像を
    追求する少年達の物語

    【感想・考えたこと】
    ✏︎池袋で繰り広げられる、不可解な事件や少年グループの抗争を通じて、成長過程のこどもの精神的な脆さや、危ない道を選択してしまった際には取り返しのつかない力になってしまう恐ろしさが表現されていました。

    ✏︎自分の知らない世界では繰り広げられているかもしれない、見えない権力争いの一端をイメージすることができ、恐ろしくなるものの、ハラハラドキドキする展開が繰り広げられ、どんどん読み進めてしまいました。

    【メモ】
    ✏︎ガキどもにはモデルがない。身近なところに目標になる大人がいないし、夢も見せてもらえない。おれたちはモデルと絆を用意する。自分が必要とされている充実感、仲間に歓迎を受ける喜び。規律と訓練。今の社会では得られないものを、力をあわせ見つける。

    ✏︎まわりで人が死ぬと、自分もすこしずつ死んでいくんだ。愛してる人が死んで、愛してくれる人が死んで、自分の死を待ってるだけのときに、おれはここにいる仲間と出会った。やつらはおれのために死ぬだろう。おれもやつらのために死ぬだろう。ためらう理由はない。どうせいつか死ぬんだ。それに死んでしまえば、もうこれ以上誰かが死んでいくのを見なくてすむ。

    ✏︎おれたちはみんな弱い。だから嘘をつくことがある。おれたちはみんな臆病だ。だから武器をもつこともある。おれたちはみんなバカだ。だから傷つけあうこともある。でも、おれたちは許すことができる。誰がついたどんな嘘だって、きっと許せるんだ。

  • マコトにとって、
    最初のトラブルシュート。
    全ての始まり。

    私にとって、
    最初の小説でした。
    全ての始まり。

    このスピード感!
    そしてマコトの語りへの親近感!

    このシリーズは、私が一番好きな
    シリーズです。

    IWGP最高!

  • 池袋西一番街に住むトラブルシューターの主人公が、池袋で起きる問題を解決していく物語。

    主人公やその周りの若者たちを通して、その時の社会問題に触れられた様に感じました。

    文章からは情景が鮮明に浮かび上がり、主人公の内心が面白く書かれているので、時おりクスッとさせられます。

    2作目を手に取ってみたくなる一冊。

    『誰だって開けることのできない部屋をひとつもってる。そんなもんじゃないだろうか。『亡き王女のためのパヴァーヌ』が流れる白い部屋を考えた。おれの部屋、おれの独房。』

    『おれたちはみんな弱い。だから嘘をつくことがある。おれたちはみんな臆病だ。だから武器をもつこともある。おれたちはみんなバカだ。だから傷つけあうこともある。でも、おれたちは許すことができる。誰がついたどんな嘘だって、きっと許せるんだ。』

  • どの話も面白かった。この先続編にどうつながれていくのか楽しみ

  • 平成の美味しいところを煮詰めてプレゼントされたような読み味。この石田衣良はいい石田衣良。

  • はじめて新宿鮫を読んだ時のような感触。限られた世界で背伸びしながらギラギラしている若者が皆、魅力的に感じた。

  • 石田衣良先生の作品を全て読んでいないのに、一番を決めつけるなど、おこがましいにも程がある、とファンの方からは言われちゃうかもしれないけど、私個人としちゃ、石田衣良先生の作品をまだ読んだ事がない方にお勧めするのであれば、この『池袋ウェストゲートパーク』だ。
    令和となった今、読んでも、この作品には古臭さがない。確かに、時代背景や登場する人物の持つアイテムなどは当時のモノではあるが、彼らの生き様や言葉、行動は実にスタイリッシュで、アグレッシブ、そして、生命力に満ち溢れているので、読み手の心へ真っ直ぐに突き刺さってくるのだ。
    この作品は既に、漫画化、ドラマ化、アニメ化されているが、私としてはもう一度、漫画化してほしい、と思っている。これだけ良い作品なので、相当な実力がある漫画家でないと尻込みはしてしまうだろう。一漫画読みとして推薦したいのは、西川秀明先生と大暮維人先生。この二人のどちらかであれば、原作ファンも納得の漫画を描いてくれるんじゃないだろうか。

    この台詞を引用に選んだのは、他の台詞以上に、石田先生が、読み手に伝えたい、訴えたい、響いて欲しいと願う”何か”を感じ取ったので。
    何が、どう良いのか、上手く説明できない自分がもどかしく、小説家を目指している身なのに、これでいいのか、と悩んでしまうが、だからこそ、私には、この台詞が特に強く印象に残るんだと思う。
    自分たちの弱さ、狡さ、愚かさを自分たちで認める事で生まれる、見えてくる、気付ける、本当の強さがあるんじゃなかろうか。
    きっと、それに全員が気付ければ、この世から、大きい戦争は無くなるんじゃないか、と思う一方で、気付けない、と言うより、気付かせないようにしている大人がいる以上は無くならんだろうな、と思ってしまう。
    「おれたちはみんな弱い。だから嘘をつくことがある。おれたちはみんな臆病だ。だから武器をもつこともある。おれたちはみんなバカだ。だから傷つけあうこともある。でも、おれたちは許すことができる。誰がついたどんな嘘だって、きっと許せるんだ」(by真島誠)

  • 池袋を舞台に、若者たちが引き起こすさまざまな事件にかかわるトラブル・シューターの役目を演じる真島誠という青年が主人公を務める連作短編シリーズです。

    第一話「池袋ウエストゲートパーク」は、いつものように新宿西口公園にすることもなく集っていたマコトが、ヒカルとリカという二人の少女と出会います。その後、身体を売っていたリカが、客の男性に首を締められて殺害されたらしいことをマコトは知り、その犯人をさがし出そうとします。

    そのほか、マコトの友人で「Gボーイズ」というチームのリーダーを務め、池袋の少年たちの「王様」である安藤崇や、やはりマコトのかつての同級生で、暴力団に入った「サル」こと斉藤富士男、引きこもり少年の森永和範、そしてマコトの幼なじみで警視庁のエリートである「礼にい」こと横山礼一郎など、続編でもマコトと協力関係を結んでさまざまな事件を解決にもたらすキャラクターたちも登場します。

    約20年前の作品で、若者たちの世界をえがいているので、さすがにいま読むと古びたように感じるという読者もいるのかもしれません。とはいえ、スピード感のあるストーリー展開など、エンターテインメント小説として秀逸なものを含んでおり、時代の変化に左右されずにたのしんで読むことができるのではないかと思います。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。成蹊大学卒業。代理店勤務、フリーのコピーライターなどを経て97年「池袋ウエストゲートパーク」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。2003年『4TEEN フォーティーン』で直木賞、06年『眠れぬ真珠』で島清恋愛文学賞、13年 『北斗 ある殺人者の回心』で中央公論文芸賞を受賞。他著書多数。

「2022年 『心心 東京の星、上海の月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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