うつくしい子ども (文春文庫)

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著者 : 石田衣良
  • 文藝春秋 (2001年12月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167174057

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うつくしい子ども (文春文庫)の感想・レビュー・書評

  • 神戸で起きたあの事件を彷彿とさせる展開。主人公は犯人の少年の兄で、弟が犯した罪により、家族ぐるみで世間の批判の波に襲われる。
    外もろくに歩けず、学校でも大変な目に遭うけど、主人公は弟が「何故そんなことをしたのか」について突き詰めていく。
    犯罪者の家族については、本人が罪を犯したわけでもないのに、怒りを向けてしまうことがある……。特に、犯人が少年だった場合は。
    犯罪者の家族の立ち位置。どこまで親と子を「個」として見るか。いろいろ考えました。
    それから、もう一人の主人公である報道記者の目線を通して、報道のありかたについても面と向かって考えることになりました。
    フィクションのせいか、報道の人たちが「ここまでやる?!」みたいなシーンもあったりしたんですけど……うーん、私はこれはこれでアリなのかもしれないとも思う。
    犯罪をした本人だけでなく、家族も巻き込まれていく感じ。日本では江戸時代の懲罰からずっと、この構図は続いているのかも。

    この話では、犯罪者である弟をそそのかした存在がいたわけだけど、いじめをうけた主人公ほど苦しまずにこの世から退場してしまう。
    主人公をいじめる側に回ってた存在でもあり、この主犯が世間の波にもまれる姿も見てみたい気がした。

  • 児童殺人を犯した弟の動機を探る14歳の兄の成長物語。ミステリーとしても面白いがいろんな事を考えさせられる良作だった。弟の施設での発言はぞっとする。加害者サイドを描いた作品の中では著者の描くラストは優しすぎるくらい。

  • 東野圭吾の手紙のような作品。
    けど、それよりも、人の心の闇にフォーカスを当てている点で、異なっていると思う。あんなに凍てついた、心の闇は、誰にでもあるのだろうか。

  • 子供って残酷だ。純粋な子供は導く人によって何色にでも染まる。
    怖くて考えさせられて、それでも「お兄ちゃん」であろうとする主人公に涙した。

  • この頃の石田衣良はよかった。

  • 緑豊かなニュータウンを騒然とさせた9歳の少女の殺人事件。犯人として補導されたのは<ぼく>の13歳の弟だった。
    崩壊する家族、変質する地域社会、沈黙を守る学校……。
    殺人者のこころの深部と真実を求めて、14歳の兄は調査を始める。

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

    おうう…なんていうか、面白かったんだけど、疲れた…
    私の誰かが死んだり、その謎と苦悩…みたいなの割と苦手で…
    疲れた…

    もう最後の方とか松浦くんにキーーってなりっぱなしだったし…
    こういうのってどうしても主人公に肩入れして読んじゃうんだけど、もしこれが松浦くん視点で書かれてたら松浦くんに同情してたかも…
    そんでもって、殺された女の子の家族視点で書かれてたりしたら、カズシの事全然許せなかったと思う。

    でもって、そういうものの見方しか出来ない自分にガッカリした。
    現実に、もし、クラスメイトの兄弟が殺人者になっちゃったら、私はその人の家族と今までのように落ち着いて、そして不当な扱いから守ってあげられるか…と考えると…どうだろう…と考えてしまう。
    もちろん、積極的にいやがらせしたり、面白おかしく騒いだりはしたくないけど、はるきとか長沢くんみたいに力になってあげよう…
    とはできないかも…したいけど…たぶん…できない…
    私ぜんぜんわかんないし、関係ないから…って傍観者になっちゃうと思う。

    もし自分がジャガの立場になったら……たぶんだれも私の事知らない場所に逃げると思う。戦えない。
    無理だなあ…

  • 推理かと思ったらそうではなかった。実はこれが石田衣良デビュー。全体を通して淡々としていたもののさくさく読み進められた。中学生ってまだ子供だけれど、色々なことを考えているんだなあ。

  • 操り人形に殺されたからといって、そのその痛みや悲しみが減じるわけではない。
    操り人形の操り手の背中には、やっぱり人形と同じ操り糸がついていて、永遠に合わせ鏡のようにそれが続いているとすれば、結局、罪は、「社会」とかそういった巨大なものにしか向けることができなくなる。

    でも、操り人形の側でも、被害者側でもないこの視点は、とても、新鮮でした。

    その立場に、主人公は、否応なしに立たされてしまうのだけど、わたしたちや、マスコミからすると、どうしてもその部分は、見えなくなってしまうから。

    見えないものは、ないから見えないわけではなく、見ようとしないから、見えないのだと思った。

  • 最近石田衣良の作品をよく読んでいる。

    ミーハー的なきっかけだけど、みずみずしくPOPな語り手となる主人公と、そんな主人公がPOPなタッチで語る、胸が苦しくなるほどにやりきれない気持ちにさせる残酷な物語。そんな両者の関係が妙にリアルでお気に入り。

    そんな衣良作品の中の一冊「うつくしい子ども」。今までに読んだ6冊の衣良作品の中でも、もっとも残酷でやりきれない気持ちにさせる作品。

    主人公の少年は中学二年生。まだまだ少年の彼。でも自分にも思い当たる。無邪気な自分を大人の視点で分析しようと試みる年代。

    そんな少年の年子の弟、彼が自分の妹と同じ年齢の女の子を殺してしまう。それまでの物語と、その後に主人公の少年とその家族が経験する残酷な体験を描いた物語。

    物語のテーマは、主人公の少年が弟が“なぜ殺人を犯したのか”その理由を探しながら、本当の大人へと成長する過程にある。

    主人公の少年は、弟の殺人の理由を探しながら被害者である女の子に毎週、自らが摘む草花を女の子の墓石に供えることを忘れない。誰にも分からないように、そっと、だけど毎週欠かさず草花を供える。

    お詫びではない。言い訳でもない。ただ必然として自然な行動。
    やりきれない物語の中で、少年が墓石に花を供えるとき、供える花を選別しているとき、墓石の前で女の子に語りかけるとき。不思議とそんな場面で1番ホッとさせてくれる。真摯な少年の言動。

    だけど、そんな少年のデイリーワークが被害者の母親に見つかってしまう場面がある。被害者の母が少年に投げかける言葉。それは意外なほどに優しく、最もやりきれない言葉。

    「すみません、毎週勝手にお参りなんかして」(少年)

    「あなたの弟さんのことは一生許せないと思う。でも、毎週お花を供えに来てくれてありがとう。あなたのお花は、誰のものより心がこもっていた」(被害者の母)

    そういうとその女の人は、静かに泣き出した。セミの鳴き声がスギの木から降ってあたりのお墓に反射している。涙を落とさないように必死でこらえた。だってぼくには泣く資格なんてない。

    被害者の母の言葉が、あまりにも素直で悲しみと優しさに溢れていて、とてもやりきれない。泣く資格がないと涙をこらえる少年の様子が健気で。やりきれない。

    物語の中で、心無い人たちに弟の犯した罪をめぐって傷つけられ続けた少年。
    でもそんな少年が1番心に堪えたであろう言葉がこの「優しくて素直な言葉」ではないかと思う。

    ときに「優しい言葉」は、やりきれなくなるほどに心に響く。

    物語は意外な方向ではあるが、やっぱり厳しい状況のまま幕を下ろす。。

  • 夜の王子の壊れた感じ、生徒の統治の元で閉鎖された学舎、主人公の弟と夜の王子の関係、長沢くんの女装趣味など、お耽美好きにもそそる要素がありつつも、幻想ではなくリアリティがあり社会問題を皮肉的に書いている。

    事件の顛末はちょっとご都合主義かなーとも思ったけど、読みやすかったし、次の展開が気になるのでサラサラ読めた。

    主人公の親や家庭は、お母さんがちょっとあれなだけでまともだと思う。ただ、お母さんのちょっとな部分とお父さんのよくある適度な無関係さに犠牲になったのが、感受性の高い弟なのだろう。

    主人公とはるきと長沢くんはずっと友だちでいてほしいな。

  • 石田衣良にはいつも騙される。もちろん、良い方へ。

    これだって、ミステリーという枠組みになるんだろうけど、それだけで済む話ではない。

    何が正しくて、何が間違っているのか、なんて、とても一言じゃ言えない。

    犯罪を犯したから間違っているとか、直接手を下していないから間違っていないとか、そんな単純なものじゃない。

    これは、池袋ウエストゲートパークシリーズの中でも取り上げられている流れだけれど、法律に反していても、人間として正しいことは罰せられるべきではない、ということだ。

    みずみずしい文体と共に、心に残るテーマだ。

  • 「大人になること。 正しさの基準を外側にではなく自分自身の中に据えること。」

  • 裏表紙で誰が殺人事件の犯人かは分かってるはずなのに、どうなってしまうのかというドキドキが止まらない。子どもと大人の間の中学生が自分で決定することの大切さを知って大人になってく物語。

  • 13歳の弟が殺人の罪を犯したため、周囲からのイジメにあいながらも、弟の心理を理解しようとする兄の話。ミステリーではない、日本の現状を書いてる感じ。
    弟の犯罪の裏にあった、優秀すぎる狂った少年、こんな子がきっとたくさんいるんだよ。
    石田衣良やっぱうまいな。こんなのも書くんだ。
    なんというか、意外性とかはないが、スルスル読める話だった。

  • 内容的には97年に神戸で起きた児童殺害事件を連想させる。著者もそれを意識して書いたのだろうけど。
    加害者や被害者本人ではなく、加害者の兄の視点で物語を描いているという所が斬新なのだろうか?
    そもそもどこが「うつくしい」かったのか、タイトルの意味がよく理解できずだった。

  • 大人になると、子供を美化してるのかも。
    自分が子供だった頃は、美しかったと決して言えないし
    いろいろあったなー

  • 石田衣良さんの作品を久々に。
    あまり心に響かないのは今読んだからだろうか。

  • 神戸の酒鬼薔薇聖斗事件をモチーフとした作品でしょうか
    すごく考えさせられた内容

    夜の王子は本当に子どもの心の闇の中に潜んでいるのかもしれない

    でも、「4TEEN」のような、子どもらしさと友情も描かれていて、
    最後まで希望を持って読み終えることができました

    とにかくタイトルのつけ方が最高だと思う

  • 兄弟に感じる劣等感、リアルで悲しいけどなぜかまた読みたくなる本です。

  • 展開が分かりやすく面白かったが、よくあるパターンでもある。

  • 一人称と三人称がいりまじり書かれている石田衣良さんの作品。

    解説に酒鬼薔薇事件が元となって作られたと書かれており、なるほどなと思った。もちろん、解説を読むまでもなく、読み進めていくうちに、そうなんだろうなという想像ができた。

    10代の犯罪が変わらず起きているいま、この小説に書かれているように、加害者の家族の立場にたって書かれた本は希少だと思う。

    そういうのを想像できる本があれば、
    思いとどまる人もでてくる。そんな希望を私がもっているから。

    悲しく、やるせない小説だったけれど、大人としてちゃんと子供のことに向き合っていきたいと思った。

  • 殺人事件を起こした犯人の兄弟の本と言えば、東野圭吾さんの手紙を読んだことがありましたが、手紙は犯人の弟が社会的な困難に直面するのに対し、ここでは犯人の14歳の兄が13歳の弟の事件に向き合い、その心情の変化について丁寧に描写されています。きちんと向き合うと決断した幹雄は偉いと思いますが、幹雄を始め周囲の人物が中2にしては大人びています。特に夜の王子に関しては、中2にあそこまでのことは無理だと思います。けれども幹雄が事件を前向きに捉え、立ち向かって行く様は立派でした。私も幹雄のように強かでありたいです。

  • 幼女を殺害した弟の真理に寄り添おうと決意する兄が、夜の王子と闘う苦難と成長の物語。
    画一的閉鎖的な学校空間で得られた価値ある友情と、人知れず築かれていた王政がだんだんと暴かれる過程は学園ミステリ感が楽しめてとまらない。爽やかな友情と誠実な感性が眩しい青春風味は石田先生らしく、その分 真相と対面してからの展開の後味悪さが際立った。もっと軽めの着地を予想させたけどなぁ。全体としてはよりたくさんの人が傷つき血を流す陰惨な話だった。そう思うと加害者親族視点で問題を捉える本作として、エンタメ性に寄って主軸から逸れたような印象もあった中盤の謎解き部分はまさに装飾パートであり、加害者親族として経験する感情と、最終章で重ねられた絶望感こそが本題なのかも。濡れたビー玉の目をした弟との面会は、多分その精神状態という発想がなくて素直にショックうけたし、それも現実だとなんだか府に落ちてしまった。。思った以上に救われないはなしで、びっくり。でもだからこそ心に残る作品だったとおもう。

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