- Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167174057
感想・レビュー・書評
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ほんと面白かった。
14才のジャガや友達が、14才なりに考えて行動する感じがすごく自然で。弟が起こした殺人事件の真相がじわじわと明らかになっていくところが堪らない。
最後、弟の面会に行ったジャガが感じる違和感もリアル。
今だとそんな珍しくもない話だけど初版2001年で長沢くんの秘密は…なかなかだったんじゃないかな。
ジャガはきっと力強く生き抜いていくのだろうな。
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石田衣良さんの本が読んでみたくて買った一冊。
家族の中から犯罪者が出てどうやって立ち直っていくのかな?と読んでいたが、最後はいい方に事が進んでよかった。
でも実際はこんなに上手く事は運ばなくて、犯罪者が出た家族は悲惨な運命になっていくんだろうなと思った。
約束をするか?、家族の事を救うか?
この判断は難しい
自分なら、家族を救う方を選ぶと思う。
犯罪に関わっているのに、名誉の為?残された者を守る為?犯罪を黙っている事を約束?
虫が良すぎる
ちょっとスッキリしない部分もあったが、少年達の大きな成長も見れて感動する小説でした。 -
平凡で普通の少年の住む町で起こる猟奇殺人事件。突然街に警察、マスコミが押し寄せ騒がしくなる。そんななか、犯人逮捕。まさか弟が!? 少年犯罪のお話でした。犯行を犯した少年が捌かれるのあたりまえ。未成年なら、親の責任といわれるのもわかる。だが、その兄弟は? マスコミやネットなどで取り上げられるのは、いたたまれないです。 お話の中で、兄は殺人を犯した弟の心をしろうと、行動をします。中学生ですよ?なんて強い子なんだ・・・そして、大人さえ知りえなかった事実に辿り着きます。最期あれは、どうなんだろう・・・大人の、自分勝手な事情のエゴではないか? 真実が表に出ればもちろん更に混乱と泣く人もいるし、犯した罪が消えるわけではないけれど、殺人を犯した過程があばかれれば、更正とかの道の模索もできるのでは? 公表しないでほしいなんて、主人公の兄に重い足枷を付けただけではないのか? よくそんなことを中学生に頼めたものだと、小説とわかっていながら腹立たしかったです。
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児童殺人を犯した弟の動機を探る14歳の兄の成長物語。ミステリーとしても面白いがいろんな事を考えさせられる良作だった。弟の施設での発言はぞっとする。加害者サイドを描いた作品の中では著者の描くラストは優しすぎるくらい。
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東野圭吾の手紙のような作品。
けど、それよりも、人の心の闇にフォーカスを当てている点で、異なっていると思う。あんなに凍てついた、心の闇は、誰にでもあるのだろうか。 -
子供って残酷だ。純粋な子供は導く人によって何色にでも染まる。
怖くて考えさせられて、それでも「お兄ちゃん」であろうとする主人公に涙した。 -
この頃の石田衣良はよかった。
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緑豊かなニュータウンを騒然とさせた9歳の少女の殺人事件。犯人として補導されたのは<ぼく>の13歳の弟だった。
崩壊する家族、変質する地域社会、沈黙を守る学校……。
殺人者のこころの深部と真実を求めて、14歳の兄は調査を始める。
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おうう…なんていうか、面白かったんだけど、疲れた…
私の誰かが死んだり、その謎と苦悩…みたいなの割と苦手で…
疲れた…
もう最後の方とか松浦くんにキーーってなりっぱなしだったし…
こういうのってどうしても主人公に肩入れして読んじゃうんだけど、もしこれが松浦くん視点で書かれてたら松浦くんに同情してたかも…
そんでもって、殺された女の子の家族視点で書かれてたりしたら、カズシの事全然許せなかったと思う。
でもって、そういうものの見方しか出来ない自分にガッカリした。
現実に、もし、クラスメイトの兄弟が殺人者になっちゃったら、私はその人の家族と今までのように落ち着いて、そして不当な扱いから守ってあげられるか…と考えると…どうだろう…と考えてしまう。
もちろん、積極的にいやがらせしたり、面白おかしく騒いだりはしたくないけど、はるきとか長沢くんみたいに力になってあげよう…
とはできないかも…したいけど…たぶん…できない…
私ぜんぜんわかんないし、関係ないから…って傍観者になっちゃうと思う。
もし自分がジャガの立場になったら……たぶんだれも私の事知らない場所に逃げると思う。戦えない。
無理だなあ… -
推理かと思ったらそうではなかった。実はこれが石田衣良デビュー。全体を通して淡々としていたもののさくさく読み進められた。中学生ってまだ子供だけれど、色々なことを考えているんだなあ。
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操り人形に殺されたからといって、そのその痛みや悲しみが減じるわけではない。
操り人形の操り手の背中には、やっぱり人形と同じ操り糸がついていて、永遠に合わせ鏡のようにそれが続いているとすれば、結局、罪は、「社会」とかそういった巨大なものにしか向けることができなくなる。
でも、操り人形の側でも、被害者側でもないこの視点は、とても、新鮮でした。
その立場に、主人公は、否応なしに立たされてしまうのだけど、わたしたちや、マスコミからすると、どうしてもその部分は、見えなくなってしまうから。
見えないものは、ないから見えないわけではなく、見ようとしないから、見えないのだと思った。 -
最近石田衣良の作品をよく読んでいる。
ミーハー的なきっかけだけど、みずみずしくPOPな語り手となる主人公と、そんな主人公がPOPなタッチで語る、胸が苦しくなるほどにやりきれない気持ちにさせる残酷な物語。そんな両者の関係が妙にリアルでお気に入り。
そんな衣良作品の中の一冊「うつくしい子ども」。今までに読んだ6冊の衣良作品の中でも、もっとも残酷でやりきれない気持ちにさせる作品。
主人公の少年は中学二年生。まだまだ少年の彼。でも自分にも思い当たる。無邪気な自分を大人の視点で分析しようと試みる年代。
そんな少年の年子の弟、彼が自分の妹と同じ年齢の女の子を殺してしまう。それまでの物語と、その後に主人公の少年とその家族が経験する残酷な体験を描いた物語。
物語のテーマは、主人公の少年が弟が“なぜ殺人を犯したのか”その理由を探しながら、本当の大人へと成長する過程にある。
主人公の少年は、弟の殺人の理由を探しながら被害者である女の子に毎週、自らが摘む草花を女の子の墓石に供えることを忘れない。誰にも分からないように、そっと、だけど毎週欠かさず草花を供える。
お詫びではない。言い訳でもない。ただ必然として自然な行動。
やりきれない物語の中で、少年が墓石に花を供えるとき、供える花を選別しているとき、墓石の前で女の子に語りかけるとき。不思議とそんな場面で1番ホッとさせてくれる。真摯な少年の言動。
だけど、そんな少年のデイリーワークが被害者の母親に見つかってしまう場面がある。被害者の母が少年に投げかける言葉。それは意外なほどに優しく、最もやりきれない言葉。
「すみません、毎週勝手にお参りなんかして」(少年)
「あなたの弟さんのことは一生許せないと思う。でも、毎週お花を供えに来てくれてありがとう。あなたのお花は、誰のものより心がこもっていた」(被害者の母)
そういうとその女の人は、静かに泣き出した。セミの鳴き声がスギの木から降ってあたりのお墓に反射している。涙を落とさないように必死でこらえた。だってぼくには泣く資格なんてない。
被害者の母の言葉が、あまりにも素直で悲しみと優しさに溢れていて、とてもやりきれない。泣く資格がないと涙をこらえる少年の様子が健気で。やりきれない。
物語の中で、心無い人たちに弟の犯した罪をめぐって傷つけられ続けた少年。
でもそんな少年が1番心に堪えたであろう言葉がこの「優しくて素直な言葉」ではないかと思う。
ときに「優しい言葉」は、やりきれなくなるほどに心に響く。
物語は意外な方向ではあるが、やっぱり厳しい状況のまま幕を下ろす。。 -
「弟が九歳の女児を絞殺。逮捕の瞬間から、街に家族の居場所は無くなった。でも僕はここで闘う。弟を凶行に駆り立てた何かを探して。」
「悲劇の被害者は死者と遺族だけではない。殺人を犯した者の家族もまた、激流の中に放り込まれる。心がぼろぼろになり、自殺してしまう人もいる。この主人公(殺人犯の兄)は、いわゆるヒーローではない。しかし、事実から目をそらさず、過酷な運命を受け入れて、新たな一歩を踏み出す。」
(『いつか君に出会ってほしい本』田村文著 の紹介) -
酒鬼薔薇聖斗の事件を思いだす。
加害者の家族がどれだけ試練の人生になるか、想像しただけでゾワっとする。 -
たくさんの好きなフレーズが出てきた。
主人公の考えが大人すぎるのが少し違和感。もう少し葛藤があるのかなと思った。それも作者が敢えてしているのかもしれないが。
少年犯罪や、思春期の空虚さや、家族関係や、犯罪報道と家族への影響など色んなテーマがあって整理がつかなかった。けど様々なことが複雑に絡むのがリアリティ -
思っていたストーリーとは違い
推理小説感覚で読めた。
主人公以外の情景がもう少しあればよかった。 -
衝撃的な作品だった。怖いけどとても面白い。
酒鬼薔薇事件について知るきっかけとなった -
小説とは言えど表紙は小説の大切な一面だと思うので"もったいない"と思ってしまった
確かに表紙の子供は美しく目を引くけれど、読み始めると全くの日本人名ばかりが並ぶのでどうしても思考が妨げられてしまう -
久々の石田衣良作品
やはり言葉のタッチが心地よい。
うつくしい、純粋さ、純粋な興味とは。
底知れない恐ろしさと、どこか羨ましい想いも感じる。
周りを気にせず興味あることに没頭する尊さと、自分が子供の頃から失ってしまった情熱みたいなものを思い出す。
事件の真相を暴いていく、一見被告である兄弟のためだが、自分自身の折り合いのためである。社会的正義を振りかざしても、被害者のためではなく自己認識やストレス発散のためである。世の中のほとんどことはそうなのかもしれないなと怖くなる。誰もが実は自分のためだけに行動しているのでは。
誰もが言い訳を掲げて、自分のために生きていく。 -
痛ましい事件の中で、子供たちの成長が伺える。
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近所で9歳の女の子が殺害される事件が発生。
学校では、悪質なイタズラで地域を騒がしている「夜の王子」の仕業ではないかと噂がたつ。
そんな中警察に補導されたのはなんと、弟だった…。
「なぜ弟は女の子を殺したのか?」
真犯人を探す目的ではなく、ただ弟を理解したいという一心で、
兄である主人公は事件に関する情報を集め始める。そこでわかったことは…。
というお話です。
加害者の家族の話かと思っていたので重たい内容かと思いきや、
そんな場面はあまり描写されていませんでした。
これから先一人ぼっちであろう弟を、せめて僕(兄)だけは理解してあげなければ、という主人公の行動がすごくしんみりしました。兄弟の絆ってどんな状態であろうとすばらしいと思いました。
しかし最後の終わり方はあれでいいのかしら?
兄よ、なぜそこで「わかりました」と言ったんだー!!!
私が兄だったら、きっと承諾できないな…納得できん。 -
やっぱり石田衣良の文章好き。彼の一番最初の長編小説らしい。
一つの事件に関係のない人達が過敏に反応する様は実にリアル。メディアの悪質な報道の仕方とかマスコミによるデリカシーのない詮索とか…。どうにかならんもんなのか。
ただやっぱこの物語の主軸は、お兄ちゃんの事件の真相を暴こうと奮闘する姿ですよね。仲良し3人で楠木の下に集まる描写とかすごい好き。 -
半分過ぎた辺りからの展開に一気に引き込まれた。
しかしラスト少しがっかり。 -
ある兄弟の兄が弟の事件の真相を追いかけるストーリー。弟という人間を知ることで真実が明らかになっていくのがおもしろかった。そして仲間との友情や社会や学校に対しての分析がよかった。