非正規レジスタンス 池袋ウエストゲートパークVIII (文春文庫 い 47-14)
- 文藝春秋 (2010年9月3日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167174170
作品紹介・あらすじ
派遣会社からの日雇い仕事で食いつなぐフリーターのサトシ。悪徳人材派遣会社に立ち向かう決意をした彼らユニオンメンバーが次々襲撃される。「今のぼくの生活は、ぼくの責任」と言い切る彼をマコトもGボーイズも放っておけず、格差社会に巣食う悪と闘うことに。表題作他3編収録。大好評IWGPシリーズ第8弾。
感想・レビュー・書評
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ネカフェ難民、シングルマザー。
資本主義の名のもとで自己責任論を振りかざし、弱者を切り捨てる世の中にあって、彼らがマコトと出会えた事は何よりの幸運。
自己責任などという言葉を安易に使えなくなる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
久しぶりに、このシリーズに戻ってきた。
懐かしいこの感じ。たまらない。マコトやキングやGボーイズの面々は、私が離れていた間も、ずっと池袋の街を走りまくっていたんだ !
当たり前のことだけど。
シリーズもここまでくると、もう目新しいものなんてない。それでも次から次へと大なり小なり問題は山積している。新聞をにぎわす大事件から、街の片隅で生きる人間たちの小競り合いまで。 世界からトラブルが消えない間は、このシリーズも終わらないはずだ。ネタは豊富にある。
今回は、表題作の「非正規レジスタンス」に心を動かされた。
ちょうど、私も自分の仕事をすることの意味について考えていた時期だったからかもしれない。
「仕事は誰でも金のためにやる。だが、同時に自分でなくてはできないかけがえのなさや誇りがもてない仕事は、人をでたらめに深いところで傷つけるのだ」
40過ぎたおっさんが言うには、青臭いのだが、心からそう思う。
ただの一読者たる私が勇気をもらえるのだから、この物語は多くの若者の胸に届くのだろう。 -
「千川フォールアウト・マザー」は、シングル・マザーの女性が直面している問題をあつかったエピソードです。
また表題作の「非正規レジスタンス」も、ギリギリの条件で生きている非正規雇用労働者たちのすがたと、彼らから搾取をおこなっている派遣会社についての問題をあつかったものです。これだけでは、あまりにも「社会派」的な話になってしまうのですが、派遣労働者たちのサポートをおこなっている、萌枝というメイド服姿の女性キャラクターを脇役に配しているのは、テーマの生々しさを和らげようという意図なのでしょうか。そうだとしても、結末で彼女の正体が明かされる展開といい、若干ライトノベルふうのテイストを感じて、個人的にはすこし違和感をおぼえてしまいました。 -
ときに声は思いもかけないほど遠くに届く事がある
声を上げる事の大切さ。 -
第一話の千川フォールアウト・マザーが最高によかった!!!
マコトのお母さん、すんごいいいキャラしてて大好き。あと普段からマコトがお母さんをめちゃくちゃ恐れてる感じが最高に面白くてすき!
いいお話だった〜
ラブが溢れていたな
母は偉大 -
色々と考えさせられる一冊だったなあ
バリアがあるかないかで叩き付けられる過酷な環境に、平和と謳われておきながら格差社会がはっきりとしている世の中。なんともいえぬ気持ちになりました。 -
IWGP8作目。
このシリーズは面白さがぶれないなぁ~。
シリーズ8作目で飽きることなくこの面白さ。凄いです。
今回も、笑って泣いて少し考えさせられて。
面白かったです。
ちなみにこれが書かれたのが2008年。
2014年現在、格差は広がるばかりで非正規雇用問題も深刻です。
さらに、つい先日にはベビーシッターの事件も…。
ほんと、やるせない…。 -
少々前に石田衣良さん池袋ウエストゲートパークシリーズ「非正規レジスタンス」読了。今、書かなければならない事がきっちり表現されています。しかし‥少々違和感あり‥多分、一人称で語られる主人公の若者言葉が原因‥今までのシリーズでは、気にならなかったのに‥私側の問題か?
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【2024年77冊目】
非正規雇用のシングルマザー、無償のごみ拾いと誘拐事件、M気質の警察官の娘、正社員を夢見るフリーター。池袋ウエストゲートパーク第八弾。
今回は仕事が軸になるお話が多かったですね。特に最後のお話は、現実に即していて、誠と同じように信じられない気持ちになると同時にそうなのかもしれないという恐ろしさを感じました。私も日雇い業をしていた経験がありますが、両親というバリアーがあったので、足を伸ばして寝られていたわけです…。
ついに、社会問題にも深く切り込むようになったのか〜。楽しいだけの読書体験ではなく、考えさせられる読書体験をもたらしてくれるシリーズですね。