蘇我入鹿 落日の王子(上) (文春文庫 く 1-19)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167182199

作品紹介・あらすじ

政治的支配者・大王と、祭祀の支配者・皇帝の権威を併せもつ地位への野望に燃える蘇我入鹿が、大化の改新のクーデターに敗れ去るまでを活写する会心の大作。(尾崎秀樹)

感想・レビュー・書評

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  • 歴史の教科書だと1行で終わってしまう「大化の改新」。
    この話で、悪者のようになっている蘇我入鹿の方が、実は高貴だったと知り、飛鳥時代に興味を持ち今では歴史の中でも大好きな時代になりました。蘇我入鹿がとてもカッコイイです。知識もあり真っ直ぐな人だったのかもしれません・・。

  • 『落日の王子 蘇我入鹿 上 (文春文庫)』では蘇我氏がクーデターで物部氏を失脚させて、政治の中枢を握るところまで、『落日の王子 蘇我入鹿 下 (文春文庫)』で、乙巳の変で蘇我入鹿・蝦夷親子が暗殺されて、翌年に大化の改新という政治改革が始る手前で終わっている。

    蘇我氏が台頭して、入鹿・蝦夷親子が暗殺されるまでの過程が描かれている。古代日本史が好きな人に薦めたい本である。ただ、古代日本史の本を読んだことがない人、大学受験の日本史で古代史が苦手な人にとって、人物の略系図はあるが人物の解説がないという点で、難しいと感じる人がいるかもしれない。

  • 蘇我入鹿を主役として、きのとみのクーデターで暗殺されるまでを描いた作品。

    私の中で、蘇我氏のイメージって、まんが日本の歴史で、蝦夷と入鹿が「天皇なんてお飾りさ」ってがははと笑ってる絵が、30年近くたった今でも鮮明に覚えてて。あとは、山岸さんのまんが、日いづる処の天子の、聖徳太子に翻弄される蝦夷像。

    そんな貧弱な蘇我像だったので、とても楽しめました。
    唐の制度の研究、啓蒙が進む中で、蘇我氏としては自身が大王になるか、現在の大君家への中央集権を指をくわえて見てて没落するか、の選択肢だったということにとても納得。

    あとは、鎌足がイヤな奴で、とっても好み(笑)

    推古女帝の恋の話が読みたい。
    あと、額田女王も、再読したいな。

    あと、全然話と関係ないけど、「ほうほうのてい」というのが「這う這うのてい」だと初めて知った。子供たちのお気に入り絵本「バスくんのおむかえ」でも出てきた言葉だったので、早速教えといた( ´艸`)

  • 聖徳太子が無くなり20年。蘇我蝦夷の力で、推古女帝の後を田村皇子(舒明天皇)が継ぎ、さらにその後を皇后である宝皇女(皇極女帝)が継いだ頃。大王(天皇)は神祇を司るに最高司祭官に過ぎず、大臣蝦夷やその子、大夫入鹿が政治の実権を握っていた時代。一方、唐からの留学生が帰国し、新しい息吹吹き込んで社会変革を予感させる。皇帝たらんとする入鹿の野望。ちょうど、「はるかなる大和」の後の時代にあたり、話が結構繋がっている。

  • 蘇我入鹿は自らが大王になることを求めた。それが作者の描いた入鹿です。そこには彼なりの倭国に対する理想がありました。

  • 政治的支配者たる大王と祭祀の支配者たる皇帝の権威を併せもつ座に登ろうとする蘇我入鹿。その野望が中大兄息子=藤原鎌足による大化の改新に脆くも潰え去るまで

  • 416718219x 263p 1988・1・15 6刷

  • 日本の古代史を題材にした小説を初めて読んだ。学校で習った知識と言えば,蘇我虫殺す大化の改新ぐらいしか覚えておらず,中大兄皇子と中臣鎌足が入鹿を殺したとしか覚えていない。
    そこでこの小説を読んで見た。入鹿は独裁者的では在るが,行動力もあり,読んでいて人を惹きつける魅力があった。たしかに横暴なところがあることは否めないが,嫌いではない。権謀術数に優れている訳ではないので,そこまでドロドロしたものを感じなかったせいでもあるだろう。
    最後には中大兄皇子等にやられてしまい,何だか寂しくなってしまった。というのも,蘇我入鹿一人に対し,皇子以下多数が寄ってたかって殺してしまうのだから,入鹿がとてもかわいそうで,皇子らはとても卑怯に感じた。
    先日,明日香村に旅行に行き,馬子の墓,入鹿の首塚,うまかしの丘,板葺の宮,飛鳥寺などをめぐってきた。入鹿の首塚にしっかりとお参りをして帰りました。

  • これまでの蘇我入鹿の人物像は、自分の野望の為に権力を専横し、
    鎌足と中大兄に滅ぼされたという印象しかなかったが、
    どうしてそうなってしまったかが納得できるような国際状況、
    生い立ち、人間関係などが語られていてとても楽しめた。

  • 歴史小説でこの時代を扱っているのは珍しい。

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著者プロフィール

1924-2003年。大阪市生まれ。同志社大学法学部卒。在学中に学徒動員で満洲に出征、ソ満国境で敗戦を迎える。日本へ帰国後、様々な職業を転々としたあと、59年に「近代説話」の同人となる。60年に『背徳のメス』で直木賞を受賞、金や権力に捉われた人間を描く社会派作家として活躍する。また古代史への関心も深く、80年には歴史小説の『天の川の太陽』で吉川英治文学賞を受賞する。84年からは直木賞の選考委員も務めた。91年紫綬褒章受章、92年菊池寛賞受賞。他の著書に『飛田ホテル』(ちくま文庫)。

「2018年 『西成山王ホテル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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