落城記 (文春文庫 190-2)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167190026

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  • 戦国時代。九州を題材にした作品。
    諫早領主西郷家の妾腹の姫が主人公。お転婆でさっぱりした気性の姫で、父である当主に愛されている。けれど、妾腹の姫だから系図には載っていない。そんなちょっとお気楽な境遇の女の子が、徐々に戦火が拡大してゆく中で、生まれ育った国と家とに、少しずつ、そして何気ないきっかけで、それでいて強烈に愛を自覚してしまう過程と、城と命運を共にするラストが切ない。

  •  今は亡き佐賀・諫早出身の野呂邦暢の作品。この物語は戦国時代に諫早の領主であった西郷氏と秀吉の威光を得て攻めてきた龍造寺氏との攻防を、諫早の姫君・梨緒(りお?)の目を通して描かれる。
     西郷氏が攻め滅ぼされる直前まで、場内外の活動が生き生きと語られる。宣教師サンチェスの退場の場面と、最後の死を覚悟してそれぞれの持ち場に戻る姫とその恋人の場面が秀逸!
     台詞にちりばめられる諫早の言葉が楽しい。
     よってくだんの如くなり。
     歴史的には、龍造寺氏は後に家臣の鍋島氏に降る。

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著者プロフィール

野呂邦暢(のろ・くにのぶ)
1937年長崎市生まれ。戦時中に諌早市に疎開、長崎被爆のため戦後も同市に住む。長崎県立諫早高校卒業後上京するもほどなく帰郷、1957年陸上自衛隊に入隊。翌年除隊し、諌早に戻り家庭教師をしながら文学をこころざす。1965年「ある男の故郷」が第21回文學界新人賞佳作入選。1974年自衛隊体験をベースにした「草のつるぎ」で第70回芥川賞受賞。1976年、初めての歴史小説「諌早菖蒲日記」発表。1980年に急逝する。著書に『愛についてのデッサン』(ちくま文庫)、『野呂邦暢ミステリ集成』(中公文庫)、『野呂邦暢小説集成』(文遊社)、などがある。

「2021年 『野呂邦暢 古本屋写真集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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