希望の国のエクソダス (文春文庫)

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著者 : 村上龍
  • 文藝春秋 (2002年5月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (452ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167190057

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希望の国のエクソダス (文春文庫)の感想・レビュー・書評

  • 日本社会のひずみ、教育システムとしての破綻を題材にしたフィクション。小説が書かれた時から15年経っているが、日本社会は改善していない。ポンちゃんの出現が望まれる。

  • 中学生の反乱のやつ。理想の社会とは。

  • 希望の国のエクソダス1609

    入りからやばい
    自分の好きな分野の話

    エクソダス-脱出

    p34
    ナマムギは、ここには、いじめがないとハッキリ言った

    無遠慮な質問は相手を警戒させてしまうことがある。
    日本を背負わず向こうの生活に馴染めば、普通に暮らせるようになる
    普通にやっていけるようになるまでが大変

    p46
    日本のメディアは、日本を捨てたものに対して、また日本的な共同体の価値観に従わない者に対してまるで犯罪者のような扱いをする。もちろんメディアだけに責任があるわけではない。国民の支持に従っているだけだとメディアは弁明するだろう。

    p52
    どういうわけか日本ではコミュニケーションが薄まってしまう。

    p171
    批評と称した愚痴

  •  舞台は2002年の日本。2001年に日本を捨ててパキスタンに行った少年の報道を背景に、多くの中学生が学校を捨て、ほとんど授業が成立しなくなった中で、中学生たちがネットビジネスを立ち上げ、やがてはそれが日本や世界を動かしていく、という近未来の話。いわゆる「優秀な現代の若者」を、その感覚を理解しようとしつつも、完全には理解できない「凡人」である主人公が冷静に見つめるという構図で描かれている。
     経済とか金融の話が半分以上を占めていて、おれには難しかった。この小説自体はミレニアムより前に執筆されたものだが、もはやどこまでがノンフィクションでどこからがフィクションなのかすら、よく分からなくなってくる。おれは仕事が仕事なだけに、日々中学生と接しているので、なんか腹が立ってくる小説だった。生意気な中学生がイヤ、というのではなくて、その生意気の描かれ方が気持ち悪くてイヤ、という意味で。「なかったす」とか「そうっすか」、「コミュニケーションできません」みたいな喋り方が何とも気持ち悪い。そして、凡人である主人公の凡人さに共感してしまうあたり、いかに読んでいるおれが凡人であるかが分かるというのが面白い。「子どものくせにわかったようなことを言うんじゃない。誰のおかげでここまで大きくなったと思っているんだ。大人の世界には大人にしかわからないことがあるんだ。そういう表現は、わかりやすく翻訳するとすべて『うるさい、黙れ』ということになる。」(p.157)なんて、言いえて妙だ。あとは「自主性のある子どもを育てる」というのが定義矛盾、という発想も面白い。「子どもは自主性に欠けるから子どもなんです。経済的に自立していない人間が自主性を持てるわけがないんです。そもそもあらゆる学校は子どもをスポイルするものなんです。」(p.192)だそうだ。あとはインターネットをレファレンスすることの恐ろしさというものを改めて感じる。「相互にニュース記事を掲載し合うサイトやメールマガジンは世界中に何万もある。」(p.344)ということで、結局はデマの発信源すら曖昧で特定できなくなるという話がリアルだった。(16/09/02)

  • 2000年に書かれた近未来イフ小説。綿密な取材によりリアリティを追求しており、小説としては読みにくい。しかし読みやすさなど二の次で、この時代にこれを書かずにはいられなかったのだろうとも感じる。

    不安と停滞の時代に生まれ育った子どもたちが自らの力でこの社会から「脱出」した。まだ未熟な彼らが見えぬ希望を追って築いた国は脆い。しかし本当に脆いのはどちらの世界だろうか。そして私たちが生きる世界は…

  • 北海道歴史ワンダーランドで紹介されていて興味を持って読んだ。まさかの金融小説だったけど、現代のことを、少し進めて見通しているような内容で興味深く読めた。特に、舞台設定の2001年。そして14歳。2001年に13歳だったほぼ同年代の身として、自身の中学生時代をなんとなく思い起こしながら読んだ。いまでこそ、ネットを扱い、ものを作り出したり、商売につなげていることができている。しかし、実は僕もこういう発想は中学くらいからずっと持っている。子供の頃に一度なにかしらで実現できてれば良かった・・・とか色々考える。

    あ、でもそういえば小学生のときの野球カード売買で似たようなことをやっていたが・・・

    話は逸れまくったが、おすすめ。

  • 中学生相手の仕事をしているので、中学生80万人が一気に集団不登校をはじめるというこの小説を読んだ。
    でも描かれているのは、大人たちの融通の効かなさと楽観的な姿勢であった。
    組織からはずれてみると、いかに危機管理をして対処する準備をしても、思いもしない展開が待ち受けられていることがよくある。そんな想定外の状況でどう振る舞えるかが試されているように思うが、その能力は学校教育では育たないだろう。当事者感覚を持ってこの作品を読める10代、20代前半がどれくらいいるんだろうか。

  • パキスタンの「ナマムギ」の報道に全国の中学生が集団不登校をする。
    パキスタン行きの飛行機で関口は中村くんと出会う。
    そしてその中村くんの同級で、「ナマムギ通信」のリーダー「ポンちゃん」は自分の知識を使って大成功を収める。
    北海道に新しい街を作ったり。
    すごいなと思った。

  • 2000年に書かれた小説だとは思えないぐらい今の社会を書いていると思った。

  • 経済小説

    先んじて行動を起こす勇気に鳥肌が立つ

    2002年秋、80万人の中学生が学校を捨てた。経済の大停滞が続くなか彼らはネットビジネスを開始、情報戦略を駆使して日本の政界、経済界に衝撃を与える一大勢力に成長していく。その後、全世界の注目する中で、彼らのエクソダス(脱出)が始まった。壮大な規模で現代日本の絶望と希望を描く傑作長編。

  • 「この国には何でもある。だが、希望だけがない。」そんな思いで中学生たちは学校を去る。集団不登校。これだけのエネルギーが実際の中学生にあるのか。あると思う。これだけ難解な政治・経済・コンピュータの話を理解する力があるのか。あると思う。何かのきっかけさえあれば同じようなことが十分起こりうる。小説の中ではそれは「ナマムギ」のメディア登場であった。自分自身の14歳を振り返ると、理不尽な先生の話を、裏で悪口を言うくらいで、聞き流していた。何らかの行動を起こす手段をまったく知らなかった。高校に入ってもそれは同じだ。時代がそうだったと言ってしまえばそれまでだけど、一部の生徒が暴力に訴えるというだけで、理論武装をして戦うような連中は皆無だった。しかし、大学の学生寮に住むようになって少し状況は変わった。自分たちで寮を運営する、そのためには大学側と話し合う機会も必要になる。学生間の意見を交わすことも必要になる。どういう手段で自分たちの思いを伝えていけばよいのかを少し学んだように思う。それでも政治や経済に実際に興味を持ちだしたのは30歳を過ぎてからだ。中学生であっても、自分たちの気持ちを訴える手段が分かりさえすれば、この小説の中のような出来事が十分に起こりうると思う。どんなことが起こっているかはこの本を読んでみて下さい。経済の話が長く難解ですが、全体のストーリーは文句なしに面白い。特にポンちゃんが校長を処刑する場面、国会で発言する場面は大人の愚かさが丸見えで面白い。ニュース番組にASUNAROのメンバーが登場するところも面白い。後半、中学生は北海道に新しい希望の国を築きあげようとする。風力発電、電気自動車など、環境にも十分配慮されている。経済についても地域通貨を導入している。このあたりの話については、実際にどこかで行われていることも多いだろう。でもまだ一般に知れ渡っていない。具体的な実行例が多く紹介され、世の中がより良くなっていくことを願う。(決してこれ以上便利になることを願っているわけではない。)NOHOROの街が本当にできれば移住しても良いなあ。

  • そうか…希望がないから、わたしは日本に住んでいないのか…と納得した。
    くだらない大人にならないために、何度も読み直している。

  • 感傷を描く龍の文章は好きで、ドボルザークの「家路」を聴きながらの帰路の描写は素晴らしい。満足度7

  • やる気あんのか。

  • 10年以上前の作品ということにびっくり。中学生が主人公というところが気に食わないが、うまく時代を映しこんでいると思う。中学生のくせに、大人と対等に話したり、世の中を動かしたり、そんなことできるわけないだろう、と思っていまう。もう若くない証拠か?でも経験も何もない中学生が語る「社会」には共感できない。ネット時代というのは、人間の中身はなくても、なにかとつながっていることが大事、という旨の言葉にはっとする。また、あの有名な「この国には何でもある。ただし希望だけがない」という言葉が、中学生のセリフだったのか、と驚き。

  • 「この国には何でもある。本当にいろいろなものがあります。ただ、希望だけがない」p314

    エクソダス(脱出)。

    スーパーミラクルファンタジーな物語だったけど、笑っていられる内容じゃないな。おそろしいわ。

    「失われた10年」を越え、2002年。ナマムギ、の出現を契機に、中学生たちが全国で集団不登校を始める。
    希望がない国、ゆっくりと死んでいくこの国の絶望的な状況を見て見ぬふりし続ける大人たちから、彼らは脱出しようとした。
    ちなみにナマムギははっきりと死んだ国だと言ってたねえ

    物があふれる現代において、希望などもたなくても何となくで生きていけるから。
    希望を持つのにはエネルギーがいる。それを実現するために動くのにはもっともっとエネルギーがいる。そんなことしなくてもなんとなく楽しく生きていけるし、むしろはみ出さずに大人しくしてた方が上手く生きていける。

    しかし中途半端な年代に読んでしまった。学生時代に読むべきだった。
    というか世の中にあふれる本の多くは若いうちに読むもんなんだろうね。こればかりは怠惰な学生時代を悔やんでも仕方ないので。

    ていうか2002年って私自身ちょうど中学上がった頃だ
    私も戦後の物がない時代を知らない。生まれた頃からプラスでスタートしてる。希望って欲望ってなんだろうね。
    今の日本がいいとは全く思えないけど、結局口だけだ。
    希望がない国に生まれ育った中学生たちにとって希望とは何だったんだろう。
    いわゆる意識高い系の人達みたいに大袈裟にガツガツしてなくて、淡々としてるんだけど本質の賢さみたいなのを見せて着実に考えを行動に移してくる彼らがとても怖かった。
    彼らは社会に対して不平不満を言わない。社会を無理矢理変えようともしない。ただ自分たちが変わろうとする。脱出する。

    そうやってゆっくりとダメになっていく日本を彼らは変えようとしたのかな
    彼らはただ脱出を試みていただけのようにも見えるけど。
    彼らにそのつもりがなかったとしても、彼らの希望が世界に何らかの影響を与えたのは確かなのかな

    要所要所のポンちゃんや中村くんの発言にハッとさせられる。
    自分がどれだけ日本的な空気の中で何も考えずに生きているのか思い知らされる。
    敬語の話、ボキャブラリーの話など。目新しい話ではないけど彼らの口から語られると改めて実感。
    日本人はほんとに横並びだいすきだよね。でも楽なんだよね集団の中で自分の位置を守っている限りは自分の無能さから目を背けていられるから。

    あと由美子の懐石の話も良かった。
    ひとつひとつの料理を短い時間で食べられて、順序や盛り付けも洗練されている。
    懐石の美しさは決して人を疲れさせない。安心してパッシブでいられる。
    そうやってパッシブになって自分を解放する時間も必要かもしれない。日本の伝統全てが悪いわけではない。いいものは守り、わるいものは捨てる。簡単にできることじゃないけど。

    「物語」としてはラストのあっさりぶりに肩透かしをくらった気持ちになったけど、この失望がだめなんだなと思った。選択、そして行動は私自身の手に委ねられているのだ。
    ポンちゃんたちが淡々と示した希望の形を目の当たりにして、さて。

    最近脳みそ腐ってたので、2014年の終わりにいい本読めました。
    今年は冊数少なかったけど当たりが多かった気がするな。
    やっぱりよしもとばななかな。
    来年はもうちょっと読みたい。脱脳みそぐずぐず。



    以下引用〜↓
    付箋貼りすぎてぼわぼわなってた。

    「普通という概念は一定のものじゃないとぼくは思います」p44
    マスコミは何も探していないじゃないですか。明らかにとんでもないことが起きているのに、どうってことない他人事のような記事ばかり作っているじゃないですか。p71
    少しずつですがぼくらは現実が複雑だということを学んでいます。p8... 続きを読む

  • 初 村上龍。なかなか良かった。日本を憂い警告してる。近未来を具体的に描写してる。

  • 国会証人喚問で質問している議員に対して中学生が「委員長、質問者を変えて下さい。コミュニケーションできません」と言うあたりが笑えるけどかなりマジメなポイント。

  • 1410 危機感の無さ。日本人の国民性を的確に表現してると思った。自分は希望を持って生きてるだろうか?と考えさせられました。

  • 2001年に中学2年生ということは、
    なんとつまり私はポンちゃんや中村君と同級生ということになる!
    私は、ポンちゃんや中村君と同じように必死だったと思うけど、こんなに大きな視点で自分の危機感を感じていたわけではなかったし、彼らの感覚から言えば、今の既成の枠組みの中で、どう自分が自由に生きられるかということを足掻いていたように思う。

    経済の話に私はまったく疎くて、何を言ってるのかさっぱり分からない箇所があったが、そんなことは分からなくても読めちゃいました。
    要するに、世界を動かしたり、世界の人が一喜一憂するその経済みたいなものにポンちゃんたちが一枚噛んでた感が伝わったので、それで良かった気がするけど、分かったらもっと面白かったのかな。

    今の日本に対して不満を持っているのは私も同じで、
    でも私もその他の大人と同じように、何をしていいか分からないし、何が違うのか分からないし、すなわち口で文句を言うだけになってしまう。
    かっこわるいって分かってるけど、それしかできてない。
    この本読んで、そこが悔しいと思った。

    ポンちゃんたちが何か国を動かすようなことをしてくれるのじゃないかというとき、一番ページをくるくるめくりたくなった。
    先が読めない、どうなるのかな…。というあの感じが好き。

    ポンちゃんたちの切実な目と、欲望の眼差しは何が違うのだろう。
    それは生きるという欲望なのではないのだろうか、結局のところ。

    それがなくて、どうしてポンちゃんたちはあそこまで行けたのだろう。彼らを動かすものは、何なんだろう。感情とか、欲望とか、そういうものじゃないのなら、なんなんだろう。

    「僕らが憎んだ大人とちっとも変わらない大人にしかなれないと思ったわけなんです」

    少年はいずれ青年になり、そして大人になる。
    永遠に子どもでいることはできない。
    なぜだかよくわからないけど、子どものうちにあった聖性はうすれてしまって、とにかく大人になる。
    素敵な大人がどんなものだか知らないけど、ポンちゃんたちは自分たちが嫌だと思っていた大人になりたくはなかった。

    その欲望は生きる欲望とはやはり違うのか。
    ポンちゃんは、敗戦後の日本でとうもろこしを作ってたあの少女とはやっぱり違うんだと思う。

    日本に希望があるのかないのかってことは
    すなわち日本に生きる個人の中に希望があるのかないのかってことで、
    この国に希望がないと言い放ったポンちゃんたちは、日本に希望がないと思っていたけど、本当は彼らの中に希望がなかっただけなのじゃないだろうか。
    希望を作り出したくて、日本を良いものにしようと(結局日本じゃないものを作ろうと)していたわけだけど、
    彼ら個人の中に「希望」が無い限り、その国もこの国も希望のあるものにはならないんじゃないのか。

    彼らの中に欲望がないのはそういうことだ。
    個人の問題を、社会に希望を持たせることで昇華させようとがんばったのだ。

    それで結局ポンちゃんたちに希望が芽生えるなら、私はそれで幸せだと思う。
    でも、そうでないなら、少しかわいそうだな。

  • 面白かった!

    的確。

  • 村上龍の作品だから、もっとなにか救いのない展開になるのかと思ったら、むしろさわやか系じゃないですか。予想外。
    でも、ややこしい経済の話がよく出てきてわけわからんかったなぁ。

  • 2001年に将来のことを予測しながら書かれた小説。
    インターネットにおける商売の予測が非常にすばらしい。
    中学校へ行かないことを決めた子どもたちがインターネットを通じてお金を稼ぎ、自立した生活を送るもの。希望のない社会を希望のある社会にしたいという思いがあって始まったことだが、結局希望が作り出せたのかはわからない。
    地域通貨は国を作るきっかけとなりうる。ただ、結局市場の中に入らざるをえなくなりそう。
    懐石料理の良さについて話している部分が面白かった。懐石料理は他の料理と違って、一口二口で1品を食べ終わることができ、1回の食事でこれほどの種類を出す食事は他の国にはない。

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希望の国のエクソダス (文春文庫)の作品紹介

2002年秋、80万人の中学生が学校を捨てた。経済の大停滞が続くなか彼らはネットビジネスを開始、情報戦略を駆使して日本の政界、経済界に衝撃を与える一大勢力に成長していく。その後、全世界の注目する中で、彼らのエクソダス(脱出)が始まった-。壮大な規模で現代日本の絶望と希望を描く傑作長編。

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