空港にて (文春文庫 む 11-3)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167190064

感想・レビュー・書評

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  • 表題作の内容がデジャブだったのは、見城徹さんの本に出てきたからかな?
    他の村上龍作品とはかなり異質な短篇集でした。

  • 描写、描写、描写。
    様々な場所、時間、人。
    それぞれが何を思い、何を見て、何を考え、何をしたかの描写。短編集。

    ---------------------------------------

    文庫本の裏表紙に”最高の短編”などと、立派な文句が書いてあったので、胸をときめかせて読んだのだけど、物足りないなあというのが一番の感想。
    濃密な描写よりも、物語が動き出す興奮を求めているから、物足りないと思ってしまうんだろうな。描写を味わい切れない自分が恨めしい。

    〇〇にて、と場所を表記するとかっこよく感じる。社会の授業中に眺めていた資料集の影響だろうか。

    描写を楽しめなかった自分を慰めるために、かっこいい名曲『春の公園 (調布にて)』を聴きながら今夜は寝ます。
    https://www.youtube.com/watch?v=NBJ0WhNk8IU

  • たった数分で人間の脳内が、とてつもない情報量を処理し、思考しているという様がリアルに描かれている。
    思考の中で、現在と過去を自在にトリップしている浮遊感が面白い。
    まるで、シャッターをスローで切った時の写真を引き延ばして濃縮された映像をスローモーションで観ているような感覚に陥る。
    音響から情報を引き出し事象を想像するエピソードが良い。

    どの短編も、思考の描き方にリンクしているかのように、過去→未来へ開かれていて心地よい終わり方なのが好きだ。

  • 起承転結でいえば起のまま進んでフェードアウトしていく感じです。背表紙でかなり評価されているように書いてあったので手に取ったが残念。警備室で監視モニターをみているような感覚で読みました。

  • 面白かった。時間が凝縮されている手法をとった短編集。何人かの人生を横から切り取るような体験だった。その時その人が何を見て何を考えているのか。文章がとても思考に寄り添う形になっていたので、本当に細かいところまで想像できる。良い文だと思った。自分がそこにいてその人になっているかのような錯覚がある。そして、現実は往々にしてそうであるが、今見ている世界との乖離、思考の振り返りで物語が進む。その切り替わりが突然だったりするのがリアルだった。切り替わりのきっかけも不意だったり原因があったりするのが余計面白かった。

  • 読みにくかったー、、

    短い時間の中で主人公の考えてることと周りにいる人達の言動が交互に怒涛のように書かれてる

    披露宴にてと空港にては比較的わかりやすかったけど他は何が言いたいのかよく私にはわからないというか刺さらなかったなー、

  • どこにでもある風景からふらっと始まる物語。人生うまくいっていない人が書かれていて、自分だけじゃないなという気分になった。

    おもしろいなあ。
    居酒屋の他の客の話していることに興味がわき、自分の頭でそれを作り出しているかもしれないという一文には考え深いものがあった。

  • 著者特有の過激とも言える表現はかなり少なかったが、各短編のその状況における描写がとても丁寧で素晴らしかった。ある場所という1つの設定からここまで拡げられるのは凄いなとしみじみ感じた。自分が最も好みだったのは最初の「コンビニにて」だった。とてもありふれた場所という設定に加えて事件が起きるわけでもないのに、文章は飽きさせることなくとても緻密な描写力と表現力には凄みを感じた。

  • まず、空気感が好きでした。
    希望について書かれているとあとがきで読んで、言われて気づきました。私は描かれている社会の闇・裏の方に気をとられました。
    留学イコール希望の証という感覚にすごく納得できました。

  • 村上龍に最近はまってて、たまたま手に取った一冊。自分が今まで読んだ他の作品に比べるとえぐい描写はほとんどなく、心情描写に焦点をあてて「時間を凝縮させた技法」で主人公の人生の背景や人間関係が描かれている。
    一遍話が終わったところで時間は大して進んでいないけれど、話の終わりには主人公のことをずいぶん知った気になって、気が付いたら感情移入していた。主人公たちは少し暗い部分を抱えていて、全体的にもやがかかったような雰囲気があり、その感じが個人的に良かった。自分も頭の中でよく考えるタイプなので、この描写の細かさ、面倒くささが気にいったのかもしれない。

  •  長編小説が意外といけることが判明したので、再度、短編集にチャレンジしてみたんですが。

     ダメでした……。

     合わない。とことん、合わない。
     もうちょっとマシだと思ったんだけど、読んでて苦痛で仕方がなかったです。
     苦痛ついでに、どうしてこんなに苦痛なのか、ぼんやり考えてみた←

     その結果、この人の日常描写の小説って、情報過多なんだなあ……って思いました。
     前は「アフターダーク」読んで、「もう二度と読まねえ!!」って思ったんだけど。
     そもそも、誰かの足元で虫が動いていようと何を食べていようと! その虫が1匹だろうと2匹だろうと! そんなことは物語の本筋には関係ないし、そんな細かいことをいちいち知らされても困る……というわけだ。
     そこで行くと長編的なものになると、現代小説+ファンタジー要素の説明が入ってきて、その細かいくらい鬱陶しい説明がファンタジー要素の設定説明で相殺されるようなので、何とか耐えられるレベルになるんだよね。

     あー……本当、苦痛。

     でも、この人もしかして本当に、これだけの情報量をいつも相手にしている世界に生きているのかもしれないなあ……と思ったりしたら大変だなって思います。
     ちょっと昔に「鈍感力」って日本語が流行ったけど、その言葉がこれほど大切だと痛感できる物語ってそんなにないよね……という。
     まあ、私もその神経過敏というか聴覚だったり、触覚だったりが過敏だというのは、感覚的にわからなくもないけど、これだけうるさかったら正直鬱陶しいわ!! と思う。

     作家さんだから、わかってて書いているのだと思うんですけど、それにしてもしんどいっすね。


  • この文庫本の発売が2005年。閉塞感が強まる日本社会において、そこに生きる登場人物固有の希望を描いた短編集。

    加藤典洋さんが評論集『小説の未来』の中で、村上龍さんを「外国通・日本嫌い」の作家と書いていたのを思い出した。本書では、日本のどこにでもあるコンビニや居酒屋を舞台に、人生に充実感を得られず、疲れきってしまった市井の人々の生活が淡々と描かれている。

    この淡々としている、ストーリー上では僅かな時間を細かに思考し描写するといった様な「時間を凝縮した手法」の良し悪しは分からないが、最後には小さな希望に救われる、名短編集だと思う。

  • 途中で挫折してしまった
    また再読したい

  • 淡々と状況を描写するほうが直接心情を描写するより伝わることもあると思うので、そういった意味で良い短編集でした。
    登場人物が皆淡々としているというか、善悪の判断をしたり感情的になったりせずに客観的な事実のみを述べているスタンスなのが、読者の頭の中で再構築する余白を残しているようでよかった。

  • 確かに個別と希望がぜんぶにある気がする
    いいね

  • 淡々としたしかし粘着質な文章は読んでいて疲れた。登場人物がいかに社会に疲労しているかがよく伝わってきて良かったと思う。
    あとがきでの氏の文学へのスタンスが印象深かった。

  • あとがきを読んで色々腑に落ちた。リアルな人物描写にそれぞれの主人公達が人生というものに疲れている様子が読んでいてかなり伝わりました。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/682611

  • 文体が僕には合わなかった…。
    息継ぎができず、終始目眩がする感じ。
    久々に、本当に久々に読み進むのが苦痛だった。
    でも、好きな人がいるのは分かる。

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著者プロフィール

一九五二年、長崎県佐世保市生まれ。 武蔵野美術大学中退。大学在学中の七六年に「限りなく透明に近いブルー」で群像新人文学賞、芥川賞を受賞。八一年に『コインロッカー・ベイビーズ』で野間文芸新人賞、九八年に『イン ザ・ミソスープ』で読売文学賞、二〇〇〇年に『共生虫』で谷崎潤一郎賞、〇五年に『半島を出よ』で野間文芸賞、毎日出版文化賞を受賞。経済トーク番組「カンブリア宮殿」(テレビ東京)のインタビュアーもつとめる。

「2020年 『すべての男は消耗品である。 最終巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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