暗殺の年輪 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167192013

感想・レビュー・書評

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  •  藤沢周平「暗殺の年輪」、1978.2発行。黒い縄、暗殺の年輪、ただ一撃、溟(くら)い海、囮(おとり)の5話が収録されています。「ただ一撃」が最もエクサイティングでした。「黒い縄」と「暗殺の年輪」は、哀しく切ない物語。「溟い海」と「囮」は面白さがよくわからなかったです。

  • 1978年第一刷、文藝春秋の文春文庫。5編。2点が武家物、3点が町人物(内1点は芸術物)。この作者の初期の武家物は凄惨な感じになる。若干苦手なんだがそれでも引き込まれるものがある。5編中3編で女性が重要な位置を占める。解説では『溟い海』に女性(嫁)が3度出てくるが、それぞれ主人公の状況を表しているとのこと。一読では気が付かなかったが、すごくうまい点だと思う。

  • 「黒い繩」「暗殺の年輪」「ただ一撃」「溟(くら)い海」「囮」の5編。藤沢周平のデビュー作となる短編集です。
    藤沢さんの初期作品らしくどうしようもなく暗い。描かれている景色は青空だったりするのですが、にもかかわらず読み始めて数行で重い暗雲が立ち込めているように感じる。何故だろう。そして、それぞれの結末も切なくやるせない。
    まだ少し手慣れて無いのか、文章は少し肩に力が入った感じがします。しかしそのぶん、如何にも丁寧に作り込まれた見事な表現です。

    表題作「暗殺の年輪」は第69回直木賞受賞作。この頃は短編も対象だったのですね。
    選者の言葉が面白い。皆さんが口をそろえて「達者だがどこか新鮮味に欠ける」「これがベストとは言えないが実績は積んで来た」と貶し気味。受賞理由は「今後の飛躍を願って」ということらしい。

    「どうしてもたった一人の作家を選べといわれたら、この人を選ぶ事になります。」私のHP上での藤沢さんの紹介です。
    余りに繰り返し読んだ挙句、ストーリーが完全に頭に定着してしまい、2009年を最後に再読を封印してきた藤沢さん。
    最近、あちこちでレビューを見かけ、10年を経てもうそろそろ解禁しても良いかと。。。
    この作品については2000年以降真面目に取り続けている読書録に無いことから20年以上を経ての再読になりますが、「黒い繩」「暗殺の年輪」「ただ一撃」等はかなりしっかり記憶に残って居ました。
    最近では数か月前に読んだ本さえうろ覚えの私。いったい何度読み返したのだろう。

  • 2019/02/27読了
     5編のうち「ただ一撃」が印象に残る。一見耄碌しているような老武芸者と息子の嫁との交流が微笑ましいと思っていると、一転舅に勝利を得させるため体を与え、その後で自決する三緒という嫁の行動に意表を突かれる。

  •  お借りして読み出した直木賞受賞作を含む藤沢周平の短編集。

     藤沢作品は決して心が温まる話がそろっているわけではない。江戸という格差社会、武家の掟、現代ではわかり得ないそれらを忠実に描いている。
     個人的に感動したのは「ただ一撃」。年老いた元剣客が、藩のためただ一度だけ剣客に戻る様を描いているのだが、息子の嫁との関係性がとても美しいのだ。舅の世話をする嫁と、老人そのもので居た元剣客という構図。それから一転、男と女になり、剣客から老人に戻った彼の、嫁が居ない姿との対比がとても美しい。終盤一人で鼻をむずむずさせている姿が切ない。

     他にも辛い江戸を生き抜く女や、武士の生きて行く姿に江戸を深く感じ入ることができる。

  • 暗殺の年輪のみ読了

  • こういうのを好む歳になったのか

  • 【収録作】
    ・黒い縄
    ・暗殺の年輪
    ・ただ一撃
    ・暗い海
    ・囮

    全体的に重厚な作品が多い。
    一冊でおなかが一杯になった。
    特に、タイトル作「暗殺の年輪」は秀逸。
    あとがきを見たら、昭和48年の直木賞受賞作だった。
    あと、「ただ一撃」がおすすめ。

  • 5つの短篇集。
    中には直木賞をとった「暗殺の年輪」などが入っている。
    中でも気に入ったのは「ただ一撃」という話。隠居に入った武士が再び刀を持ち、現役の武士たちでも勝てなかった浪人に挑むという話が胸を熱くさせられた。そして戦いが終わった後の老武士の姿もなにか今の時代に通じるものを感じた…。

  • 借りる際に、藤沢作品は暗い。と言われた意味が分かった。
    確かに、暗くて救いがなかったりするけれども、何か残る読後感は嫌いではない。
    短編5つのうち、「ただ一撃」が良かった。

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著者プロフィール

1927-1997。山形県生まれ。山形師範学校卒業後、教員となる。結核を発病、闘病生活の後、業界紙記者を経て、71年『溟い海』で「オール讀物新人賞」を受賞し、73年『暗殺の年輪』で「直木賞」を受賞する。時代小説作家として幅広く活躍し、今なお多くの読者を集める。主な著書に、『用心棒日月抄』シリーズ、『密謀』『白き瓶』『市塵』等がある。

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