- Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167192013
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
1978年第一刷、文藝春秋の文春文庫。5編。2点が武家物、3点が町人物(内1点は芸術物)。この作者の初期の武家物は凄惨な感じになる。若干苦手なんだがそれでも引き込まれるものがある。5編中3編で女性が重要な位置を占める。解説では『溟い海』に女性(嫁)が3度出てくるが、それぞれ主人公の状況を表しているとのこと。一読では気が付かなかったが、すごくうまい点だと思う。
-
「黒い繩」「暗殺の年輪」「ただ一撃」「溟(くら)い海」「囮」の5編。藤沢周平のデビュー作となる短編集です。
藤沢さんの初期作品らしくどうしようもなく暗い。描かれている景色は青空だったりするのですが、にもかかわらず読み始めて数行で重い暗雲が立ち込めているように感じる。何故だろう。そして、それぞれの結末も切なくやるせない。
まだ少し手慣れて無いのか、文章は少し肩に力が入った感じがします。しかしそのぶん、如何にも丁寧に作り込まれた見事な表現です。
表題作「暗殺の年輪」は第69回直木賞受賞作。この頃は短編も対象だったのですね。
選者の言葉が面白い。皆さんが口をそろえて「達者だがどこか新鮮味に欠ける」「これがベストとは言えないが実績は積んで来た」と貶し気味。受賞理由は「今後の飛躍を願って」ということらしい。
「どうしてもたった一人の作家を選べといわれたら、この人を選ぶ事になります。」私のHP上での藤沢さんの紹介です。
余りに繰り返し読んだ挙句、ストーリーが完全に頭に定着してしまい、2009年を最後に再読を封印してきた藤沢さん。
最近、あちこちでレビューを見かけ、10年を経てもうそろそろ解禁しても良いかと。。。
この作品については2000年以降真面目に取り続けている読書録に無いことから20年以上を経ての再読になりますが、「黒い繩」「暗殺の年輪」「ただ一撃」等はかなりしっかり記憶に残って居ました。
最近では数か月前に読んだ本さえうろ覚えの私。いったい何度読み返したのだろう。 -
暗殺の年輪のみ読了
-
こういうのを好む歳になったのか
-
【収録作】
・黒い縄
・暗殺の年輪
・ただ一撃
・暗い海
・囮
全体的に重厚な作品が多い。
一冊でおなかが一杯になった。
特に、タイトル作「暗殺の年輪」は秀逸。
あとがきを見たら、昭和48年の直木賞受賞作だった。
あと、「ただ一撃」がおすすめ。 -
5つの短篇集。
中には直木賞をとった「暗殺の年輪」などが入っている。
中でも気に入ったのは「ただ一撃」という話。隠居に入った武士が再び刀を持ち、現役の武士たちでも勝てなかった浪人に挑むという話が胸を熱くさせられた。そして戦いが終わった後の老武士の姿もなにか今の時代に通じるものを感じた…。 -
借りる際に、藤沢作品は暗い。と言われた意味が分かった。
確かに、暗くて救いがなかったりするけれども、何か残る読後感は嫌いではない。
短編5つのうち、「ただ一撃」が良かった。