新装版 よろずや平四郎活人剣 (下) (文春文庫) (文春文庫 ふ 1-37)
- 文藝春秋 (2003年12月5日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (494ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167192372
感想・レビュー・書評
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時代物は相変わらず苦手ではあるが、大分世界観に慣れてきた。
貨幣価値も自分なりに今の価値に置き換えて読み進めることもできるようになった。
この話は、用心棒でも岡っ引きでもない、仲裁屋さんの物語。
弁口とまぁ剣術も武器にするわけだが、戦っても峰打ちで実に平和的だった。
藤沢周平先生の作品は、どれも大筋が一本あって、短編が続くパターンのようだ。
勧善懲悪でハッピーエンドは日本人には大いに受けるだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
読み終えた後に、人情の温かみがほっこりと心に残る本です。
浪人 神名平四郎はよろずもめごとの仲裁を生業とし、
武士や町人など様々な人々の悩みを解決していきます。
平四郎や依頼人など、全ての登場人物がかもし出す人間臭さに
野暮ったさを感じる反面、愛着を抱いてしまうのは、自分以外の
誰かを思いやる人々の心の優しさが伝わってくるからでしょう。
剣の名手である平四郎は仲裁業を営む一方、旗本である
実家の兄に借り出され、天保年間の政治闘争に巻き込まれて
しまいます。
敵と剣を交える下りは痛快でスカッとします。
とにかく、本全体を包む情の温かさに心和らぎました。 -
内容(「BOOK」データベースより)
世に揉め事の種はつきぬとはいえ、依頼主のもち込む話は多彩を極める。中年夫婦の離縁話、勘当息子の連れ戻し、駆け落ち娘の探索等々。武家と違い、万事気侭な裏店にも、悲哀にみちた人生絵図がある。円熟期にあるこの作家の代表的連作シリーズ、愈々佳境。人の姿、世の姿の哀切な陰影を端正に写し出す話題作。 -
緩み具合といえば、友人(?)明石半太夫。
詐欺漢まがいのこの人物の造形もさることながら、主人公とのつきあいぶりが、いかにも古き良き江戸の、人と人との関わりを彷彿とさせる――もちろんそれは創作された世界ではあるが、そういう緩さもありえたのだろうと思わせてくれる――
もう一人の友人、朴訥な人柄の北見十蔵、そして主人公である神名平四郎、この三人の掛け合いぶりは目が離せない。
といってもそれは、この長編を構成する背景の一つに過ぎない。
連作短編という形式で、さまざまな事件を織り込みながら、作者の練達の筆は、物語を絞めたり緩めたり思うがままに、われわれに読むことの楽しさを提供してくれる。 -
解説にある表現力の凄さ、自然な肩肘張らない言葉の並べ方、読んでいる時は殆ど気づかずに過ごしてしまった。ただ、独特の雰囲気に引き込まれて、次を読みたいという感覚に支配されて一気に読んだことは事実。日常生活を淡々と送るような文章が藤沢の真骨頂なのであろう。新しく珍しい知識や斬新な視点といった刺激を求めて読書をするのではなく、たただ日常のなかで時間を楽しむために読むものであろう。ストーリー構成もいくつかの次元を輻輳させ立体的にし重厚感を出している。大人の読み物である。
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世に揉め事の種はつきぬとはいえ、依頼主のもち込む話は多彩を極める。中年夫婦の離縁話、勘当息子の連れ戻し、駆け落ち娘の探索等々。武家と違い、万事気侭な裏店にも、悲哀にみちた人生絵図がある。円熟期にあるこの作家の代表的連作シリーズ、愈々佳境。人の姿、世の姿の哀切な陰影を端正に写し出す話題作。
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下巻。
主人公が商売として、よろずもめ事をおさめるわけだけども、おとしどころがなかなか良いのよね。キレイゴトじゃなく、人間臭くて。 -
食べ物を食べる描写はひらがなで!
読ませて食べさせる!!というメモ。
from解説より。
久しぶりに藤沢周平さん読みましたが、
改革と、その改革がもたらす日常の揺れの表現がうまい。。。
どういう想像力なのだろうか・・・・・。