新装版 隠し剣孤影抄 (文春文庫) (文春文庫 ふ 1-38)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (409ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167192389

作品紹介・あらすじ

秘剣、外に語らず-剣客小説に新境地を開いた名品集"隠し剣"シリーズ八篇。凶々しいばかりに研ぎ澄まされた剣技を秘める主人公たちは、また人としての弱さもあわせ持つ。剣鬼と化し破牢した夫のため捨て身の行動に出る人妻、これに翻弄される男を描く「隠し剣鬼ノ爪」。他に「暗殺剣虎ノ眼」などを収む。

感想・レビュー・書評

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  • 一話、一話でも十分な重さがあるけど、次から次へと読み進めたくなる。

    合間にほかの作品を挟んでみたけど、藤沢周平さんの話が合ってるな、と実感。
    どれを読んでも面白い。

    死闘が欠かせないから面白いだけでは片付けられないけど、ページをめくる手は止まらない。
    暗殺剣虎之眼の匂わせる終わり方など好き。

  • 8篇の短編集。どの篇にもそれぞれ隠し剣を持っている登場人物が出てきます。
    バサバサと悪者を倒すようなアクション性があるものではなく、悲哀の中で焦燥した様子でひっそりと・・・という感じで殺人を遂行する慎ましい描写がとても胸をしめつけられます。
    人間味に溢れていて、全ての篇に奥深さがあり、1篇1篇が大作といっても過言ではないかと思います。

  • 9.11のとき僕は高校3年生だった。あのときは何が悪で何が正義かも判断する力はなくて、テロとの戦いと正義の実行を標榜するアメリカがイラク戦争をしようとしていることに、なんの疑問を差し挟むことが見できなかった。ハリウッド映画で見るアメリカのあり方がよほど身についてしまったのだろう、兵士たちから「USA!USA!」と歓声を浴びるブッシュ大統領の姿から「そうだ、やってしまえ。テロは悪なんだ」と日本人である僕でさえも幼い正義感に駆られたものだ。あれから10年以上経ってそのとき感じた自分の感情を思い返してみれば、簡単でわかりやすい正義と悪のヒーローごっこにのっかっただけとしか思えない。真実は得てして単純じゃない。複雑で理不尽だ、特に知りたくなかった真実に関しては。

  • 人の関係を感じる短編集。女人剣さざなみが好きかも

  • 安定の面白さ。映画『隠し剣 鬼ノ爪』で永瀬正敏演じる宗蔵が対狭間戦のため剣の師匠から教わった、敵に一瞬背を向ける技は本作の中の邪険竜尾返しなのがわかる。

  • 映画化作品が二篇、やはり必死剣鳥刺しが良い。他にも映像化してもらいたいのは、宿命剣鬼走り。女人剣さざ波は花のあとを思い起こさせる。続編も必読。

  • audible で視聴
    隠し剣鬼の爪
     マンガを読んでいるかのよう
     悪ぃ上司登場
     女性は魅力的なのだが、思いっきり男の理想を詰め込んでるような気もする
     鬼の爪…そーゆーことかぁと納得

  • 秘剣を持った故に、人生が変わってしまった、8つの短編集。

    きっと、隠し剣(秘剣)には、隠しておく(おかなければならない)訳があるに違いない。①持ってることで相手を疑心暗鬼にさせる。②持ってることを知られずに隙をつく。それは同時に、持つ身にも相応の掟があるのかもしれない。
    『隠し剣鬼ノ爪』:秘剣は、まるで必殺仕掛人の技のようでした。きっと、誰にも知られず、後世にも残らず、痕跡も残さない、これがあるべき姿だったのかも。(秘剣の内容も記されていない)でもその”依頼料”が、狭間の妻の命だったのは、ありきたりの展開ですが、なぜか悲しい。こうなることはわかっていたのに。
    『宿命剣鬼走り』:「お前さまのことは、もうあきらめました。今度は、子どもをあきらめなければなりませんか」妻の浅尾の言葉は、「男は死を賭さねばならんこともある」の前には無力だった。だから、他の二人も、十太夫自身も。死を賭けて、何を得ようとしたのか。秘剣だけが原因、それとも、権力争い? そんなもののために、八人もの命を…。

  •  藤沢周平さんの「隠し剣秋風抄」に続き「隠し剣孤影抄」を読みました。№2を先に、№1が後ですが、後先は問題なかったです。邪剣、臆病剣、暗殺剣、必死剣、隠し剣、女人剣、悲運剣、宿命剣の8話。全部読み応え十分でした。特に、「邪剣竜尾返し」「臆病剣松風」「隠し剣鬼の爪」「女人剣さざ波」の4話が秀逸。「女人剣さざ波」は感動を覚えました。最後の「宿命剣鬼走り」は重厚かつ哀し過ぎる物語でした。

  • 素晴らしいの一語也 
     

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著者プロフィール

1927-1997。山形県生まれ。山形師範学校卒業後、教員となる。結核を発病、闘病生活の後、業界紙記者を経て、71年『溟い海』で「オール讀物新人賞」を受賞し、73年『暗殺の年輪』で「直木賞」を受賞する。時代小説作家として幅広く活躍し、今なお多くの読者を集める。主な著書に、『用心棒日月抄』シリーズ、『密謀』『白き瓶』『市塵』等がある。

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