- Amazon.co.jp ・本 (341ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167193140
作品紹介・あらすじ
豊臣秀吉の弟秀長は常に脇役に徹したまれにみる有能な補佐役であった。激動の戦国時代にあって天下人にのし上がる秀吉を支えた男の生涯を描いた異色の歴史長篇。(小林陽太郎)
感想・レビュー・書評
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実家で仕事の話をしたら「持ってけ」と父親に言われ、自分が生まれる前の本…やや疑いつつも読んでみました。
豊臣家がいかに成長組織だったのか、その秘訣はなんだったのか、ビジネス論点も交えて歴史を学べる1冊。とても面白かったです。
農夫だった秀長が秀吉に連れ去られて家臣になる場面と、バラバラのチームをまとめて城壁を作らせる場面が特に好きです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
豊臣秀吉の弟にして、まさに万人が認めるナンバー2。戦国時代、秀吉を補佐してある種大成功を収めた人物であるが、目立つ事がなかった。目立たなかった事が、この人の凄さなんだろう。
本書でも触れているが、秀吉、秀長ともに、教養がなく、ある意味において当時の常識が通用しない面が、専制的な主君の織田信長を支えて、出世していく、原動力となっている事が面白い。 -
秀長をハイライトする、堺屋太一氏の感性はすばらしいとおもいます。補佐役がいかに重要であるか堺屋太一氏の得意とする組織論でしょうか。
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歴史上、時代の先駆者として駆け抜けた人物は沢山いるが、ここまで徹底的に黒子に徹しきっり、生涯「補佐役」としての立場を全う仕切った人物はそうそういないと思う。そして、この人物無くして秀吉の天下統一は絶対にあり得なかったのだとも感じた。
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・「大いなる企て」で石田三成を描いた堺屋太一が今度は豊臣秀吉の弟、豊臣秀長の生涯を描く。
・目立たない人物を明るみに出す作者の努力が窺える。
・豊臣秀長の事績を書こうとすると、どうしても兄の豊臣秀吉と、その兄が仕える織田信長のことを書かざるを得ない。
・上巻はその兄と織田信長の事績が中心となっている。
・織田信長の考え方や、それを受けた豊臣秀吉・秀長兄弟の動きが眼に浮かぶように描かれている。また、様々な人生訓も各所に散りばめられており、読み応え十分。
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堺屋さんが書かれた歴史小説。味がありました!
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無名の偉人
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大河ドラマで竹中直人が主人公を演じた秀吉の原作ということで読んだ。脇役に徹する秀長。自分の働き場を理解して、上司である兄を立て、組織の拡大をサポートする人間性は日本人の美学にあう。
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堺屋太一の小説とはどのようなものか。
豊臣秀長のことより、先にそちらに興味がわきこの本を手にとった。
それくらい豊臣秀長という人は興味を引く力が弱いのかもしれない。
小説の中でも示しているが、豊臣秀吉の弟ということで有名であるが、その業績をたたえるものがない。
伝記とかも読んだことがない。
小説を読んでいくと気づく豊臣秀長の多大なる業績の数々。
そして、数々の業績があるにもかかわらず、誰にも疎まれなかったそのすごさ。
豊臣秀長ってすごい。
自分自身が会社で働いていて、悩むことはよくある。
人間関係然り、業績然り。
それを成し遂げたこの人。成し遂げたにもかかわらずおごらなかったことの人。
豊臣秀長を改めて見直して、知りたいと思わせる本だった。 -
豊臣政権のNo2である秀長を主人公にした物語。秀長は豊臣政権で非常に重要な役割を果たしたと考えられているものの、あまり面白い挿話やエピソードも知られておらず、同時代の人物、例えば黒田官兵衛や小西行長など比べても余り語られる事の無い人物である。この小説でも主人公とは言いながら、常に秀吉とセットで登場し、秀長の目で捕らえた秀吉の物語になっているシーンも多い。
解説の多さから冗長なところもあり、物語としては大きな盛り上がりにも欠けるが、心理描写など適度に丁寧に書き込まれ退屈する事無く引き込まれてしまう。どちらかといえば司馬遼太郎を思わせる作風です