旅する女人 (文春文庫)

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著者 : 永井路子
  • 文藝春秋 (1993年3月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167200282

旅する女人 (文春文庫)の感想・レビュー・書評

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  •  机上の空想でなく実地を足で辿ることで、歴史上の人物に想いを馳せる評論集。
     女性史の一側面を追い、庶民側の視点を手繰り寄せる作業としても見所がある。
     持統女帝の政治生命を賭けた闘いの旅、半生を投影する旅情を綴った二条や、菅原孝標の女(むすめ)の紀行文も充分読めるが、個人的には、木曾義仲の未曾有の席捲と逃避行に従軍した巴御前の項が良い。
     今も残る彼らへの地元の愛惜は勿論、線の太い女の逞しさと美しさが目裏に浮かぶよう。
     一行の奇蹟の勝利と無惨な落日までの過程に、痛ましさと輝きが凝縮されている。
     既成権力の打破と武士政権樹立に至る橋渡しという狭間の役割でしかなかったにせよ、彼らの生死の有り様は著者の語る通り、諸行無常を最も体現しながら自覚していないかのように激しい。
     それ故に彗星の如き光芒を歴史に投げ掛ける。
     余談ながら、義仲と死に別れた巴が和田義盛の妻になった説を疑問視してくれることが嬉しかった。
     また、江戸時代の商家の主婦・沓掛なか子の「東路の日記」を取り上げ、封建性のしくみの中で力を備えつつあった女性層を示し、明治維新を受け入れる下地と見る考察の鋭さも流石。

  • 日本史上壮大な「旅」をした女性にスポットをあて、作者が同じように旅をしてそのドラマを探り、綴った一冊。
    巴の章には「木曽の風雲児義仲とともに」という題がつけられている。
    土地に残る、古き人物の魂を感じとり、考察してドラマに仕立てるーー。まるで小説になる一段階前の作業のような文が、この本の面白さかも。

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