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この作品からのみんなの引用
みんなの感想・レビュー・書評
〈穴を掘り続ける僕。家族にも理解されず作業を続ける僕が思いを馳せたのは60年代だった…〉
著:ティム・オブライエン
村上春樹訳にはずれなしと読んだオブライエン。
ベトナムに従軍した彼の、魂を込めた大作です。
精神のバランスを失い、核爆弾への恐怖から、シェルターとするための穴を掘り続ける…
明らかに可笑しいことであるはずなのに、主人公ウィリアムやその友人達のたどってきた人生を見ると、
それが説得力を持って悲しみ、孤独、渇きなどの感情とともに圧倒的に迫ってきます。
何か衝撃的すぎて一回読んだだけではうまく文章を書くことができないのが残念・・・
われわれが普段感じることはなくてもそこにある原子力という恐怖
60年代とベトナム
生きるということ
そして愛
さまざまな要素が積み込まれたこの小説。
村上春樹はこれを「総合小説」とのべています。
60年代のベトナム戦争や冷戦時代に生きた青年グループの話。
現代と60年代時の話が行ったり来たりする。
この時代のアメリカの情勢や人物が分からないと
特に前半は読むのが大変だなぁと感じるけれど、
読み応えのある注釈もついており、雰囲気は感じられると思う
最初は、狂気的に思えていた主人公の言動が
本を読み終える頃には、理解できるようになる面白さがあるなぁ。
そうはいってもやはり、主人公の穴を掘るという行為の
意図に何となく気が着いた時には、驚きました。
おかしいのは、どちらなのか…。そんな事を考えながら読みました。
歪んでいるけれど、強力なパワーに吸い寄せられた本でした。
村上春樹 訳。
穴を掘っていた。大きな穴を。そんなものが核シェルターのかわりになるはずがない。わかっている。けれど、どうして皆、じっとなにもせずにいられるというのだ? 家の中では妻と娘が、狂人を見る目で僕を眺めている。だけど僕は狂ってなんかいない。核ミサイルは現実だ。爆弾は現実だ。戦争は現実だ。穴は囁きかけてくる。掘れよ。掘れ。掘れ! ただそれだけが、土を掘るたしかな手ごたえだけが、僕に安堵をもたらす……。... 続きを読む »
「君が正常な人間なら、脅えというものを抱くはずだ。脅えを抱けば、穴を掘るはずだ。もし君が穴を掘れば、君は異常人間ということになる」
ティムオブライエン、二冊目。
核戦争、ベトナム、兵役忌避、狂気。
安定を追い求めることへの強迫観念。
どこまでいけば安全なのかわからない。
失わない為にはどうしたらいいのかわからない。
どうして冗談にできるんだろう。
どうしてわからないんだろう。
という、シンプルな問い。
「Eは本当はmc2なんかじゃないんだ、それは狡猾なメタファーであり、最終的な等式は本当は成立していないのだ」
究極の骨子。
ここに着地するしかないのですか。
私の中にもウィリアムがいるねぇ。
ベトナム戦争中の話である。
なぜウィリアムは穴を掘り続けるのかが知りたくて、一気に読んだ。
「掘れよ、と穴が言う。」という文章がよく登場する。
穴を掘り続ける意味がなんとなくわかった時、全身震えた。
又、村上春樹の訳注がすごく丁寧で分厚く、有り難い。
・読み終わって色んな気持ちが残ってる。言いたいことが山ほどある。でも、この小説をどう表していいか全くわからない。でもがっつり揺さぶられた。そんな小説(どんなだよ?)。 ・村上春樹のあとがきも、「現代の総合小説」とか言っちゃってるけど結局のところどう捉えていいかわかんないと書いてるとしか思えない。 ・これ村上春樹が訳したわけが良くわかるわ。 ・正直に言って、自分の妻子を手にかけちゃうほどの核妄... 続きを読む »
ついつい試験が近かったり、やらなきゃいけないことがったりすると、引っ張り出して読んでしまう一冊。なんか読むと妙に現実感がなくなるし、心も沈むんですけどね。たぶん、心が沈むような話が好きなんだと思うんです。
SFと言いきっていいものかどうか。こうだったかもしれない過去、こうかもしれない未来を、史実に並行に書き上げた、リアリズムといっちゃってもいい、妙な小説。
全共闘世代にノスタルジイを抱いちゃう男子諸君はぜひこれを読むとよい。
後半のサラの健気さと、主人公の駄目男っぷりに爆! でも全共闘に憧れちゃう男子ってこんな奴多いよな。だから読むとよいのだ。
ところで「物語に銃が出てきたらそれは必ず発砲されなければならない」のくだり、村上先生、最新作にも引用して使ってたけど、いいの?
もとがチェーホフだからいいの? でも自分で翻訳したものなのに・・・いいの?もしかして忘れちゃったの? などど要らぬ心配をしてみる。
久々に足先から頭の上までその世界に浸ることができた小説。決して万人受けする話じゃないけど、この物語が持っているエネルギーはすごいと思う。
話は男が一人急に家の庭に穴を掘るところから始まるのですが…
まあ気になった方はぜひ。
内容(「BOOK」データベースより)
元チアリーダーの過激派で「筋肉のあるモナリザ」のサラ、ナイスガイのラファティー、200ポンドのティナに爆弾狂のオリー、そしてシェルターを掘り続ける「僕」…’60年代の夢と挫折を背負いつつ、核の時代をサヴァイヴする、激しく哀しい青春群像。かれらはどこへいくのか?フルパワーで描き尽くされた「魂の総合小説」。
60年代アメリカという、不安定さ故ぽっかりと穴の開いた時代。穴自体には何かがあるのではなく、何かが無いから穴がある。安定さを欠いた話であるからこそ、物語り全体が穴の中にあるような薄暗い雰囲気をかもし出している。おもしろかった。
村上春樹翻訳の作品。ずっと昔に購入していたものをようやく引っ張り出してきた。長くて苦戦したものの、この小説にある狂気と正気の境目みたいな空気には、どこか惹かれる。
核の恐怖を知ってしまった世代、あるものは恐怖を紛らわすために享楽的になり、あるものはそんな世界を変えるために反戦運動をはじめ、あるものは軍隊に入り…主人公の「僕」は現在、核の恐怖に備えて穴を掘り続ける。シェルターだ。
周りの人と自分は違うのか、自分は狂っているのかそれとも周りがおかしいのか。そう問い続けた僕。
飛行機の中での圧倒的な集中力をもって読み通したこの作品の印象は大きい。
3回くらい読みました。自分の嗜好が客観的に見えた作品です。村上春樹さんが翻訳をしているので慣れてる人には読みやすい作品です。本厚いけど。

出来としては並かと思う。でもわりと面白く読めた。キューバ危機、ケネディ暗殺、ベトナム戦争、それに大量のロックンロール。起った出来事といい人々の思考スタイルといい、60年代はとにかくガチャガチャしている...





