太公望 下 (文春文庫 み 19-11)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167259129

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  • 上巻、中巻と、商王と対するべく奔走した太公望。
    文王の死、武王の英断を経て迎えた牧野の戦いは、驚くほどあっさりとしたものだった。アクション描写が得意な訳では無いことは重々承知しているし、宮城谷先生自身も描写が難しい戦闘だと捉えていたようだけれど、だからといってこの出来はさすがに…。

    宮城谷先生の豊富な古代中国知識により、古代文明や偉人の命運、それらが紡いだ延長線上にある今との繋がりを所々で鮮明に意識させられることにより、感じ入ることは幾度かあるとは思う。
    しかし、前作読破時点で抱いていた期待感には到底届かない。前巻までが面白かっただけに非常に残念に思う。

  • 長い、長い旅を終えた気分だ。太公望は、周の軍師としてつにに商に挑む。牧野の戦いと呼ばれる天下分け目の大合戦だ。商の受王(紂王)は重要な人物でありながら、この物語の中ではほとんど顔を見せない。
    才能に恵まれ、果断な行動力もあった受王ではあるが、「受王は~~であった」「受王が~~した」といった伝聞の形でしか姿を見せない。
    稀代の悪王という説もあるが、ここでは残虐な面はあるにせよ悪王とは言えないし、愚昧では決してないという評価か。また、妲己についても悪女としては描かれていない。どちらかといえば、英邁な女性といった感じか。やや世間知らずな一面はあるにせよ。
    周の文王、武王、周公但といった有名な人物も登場し、スケールの大きい歴史作品。
    一読の価値ありだと思う。

  • 上中巻で積み上げてきた物語が、この巻で一気に加速し収束して行く。こんな爽快感のある小説は久しぶりだ。謎に満ちた太公望の生涯を見事に描いた秀作。牧野の決戦の情景が余韻として心に残る

  • 氏の小説には、白川静氏の本を併読すると、より味わい深いものとなる。羌族について、漢字の面白さについて、中国の古代文化とそれに通ずる現代について、色々と考えさせてくれる。

  • 全3巻

  • 商は、太陽が十個あると考える。ひと月が30日なので3巡する。一巡を旬といった。よって、上旬、中旬、下旬。(p 268)

    周は季歴が強かったが、商の王に殺される。文王で太公望を味方につけ、武王で統一。

    太公望は斉を建邑。斉しく生き、斉しく戦う。(ひとしく)

  • 遂にクライマックス。個性溢れる仲間達と商打倒に立ち向かう太公望。昔の中華は黄河流域を中心に栄えそれ以外は辺境の異民族。商も統一国家と言うより諸国の連合国家。漢字や言葉の面からも中国文化や日本語の由来などわかり宮城谷先生の知識の豊富さに脱帽する。

  • 太公望全3巻の下巻

    上巻中巻で望が積み上げてきたものが、一つの力となって望を支え動いていく様子はとても爽快な気持ちになります。
    望は心も体もとても強いですが、どれだけ力が強いかではなくその強さを何にどのように使うのか。生きていく強さ、生命力は自分の持つ力の使い方だと感じました。

    面白いだけではなく生き方を考えさせられる全3巻。
    大満足でした!

  • 上巻で描かれていた漢字との出会いのシーンが一番印象的。未知のものに出会い世界が広がった感動が瑞々しく伝わってきた。
    史料の引用や解説は歴史との距離が近づくように感じるので基本的には好きだけれど、終盤、特に武王周りは多すぎた。途中まで武王が魅力的だったからこそ、伝説的な逸話の引用ではなく、作者の描く武王がどう商と対するのかを見たかった。

  • 20191231

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著者プロフィール

宮城谷昌光
1945(昭和20)年、愛知県蒲郡市生れ。早稲田大学文学部卒業。出版社勤務のかたわら立原正秋に師事し、創作を始める。91(平成3)年『天空の舟』で新田次郎文学賞、『夏姫春秋』で直木賞を受賞。94年、『重耳』で芸術選奨文部大臣賞、2000年、第三回司馬遼太郎賞、01年『子産』で吉川英治文学賞、04年菊池寛賞を受賞。同年『宮城谷昌光全集』全21巻(文藝春秋)が完結した。他の著書に『奇貨居くべし』『三国志』『草原の風』『劉邦』『呉越春秋 湖底の城』など多数。

「2022年 『馬上の星 小説・馬援伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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