- Amazon.co.jp ・本 (393ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167259259
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
官渡の戦い編。
父の仇として大虐殺を行った曹操が、息子を殺したカクを赦し使うところは、思うものがあります。
宮城さんの描く曹操は魅力的ですが、いわゆる聖人君主の皮をはがした上で、劉備を魅力的に描くのは難しいのでしょか。蒼天航路の劉備は、魅力的だったんですけど。
一方、関羽と曹操のかかわりは、宮城谷さん版でも昔ながらの英雄物語の風合いです。 -
派手な面々が退場する。
呂布は董卓暗殺の鮮やかさがあるから、どんどん精彩を欠いていく姿を見るのが苦しい。そんな呂布に従った陳宮はただひたすら曹操を嫌っていたという解釈が好き。
決断力に欠ける袁紹、この人も後年残念になるパターン。対比して、そじゅの潔いこと。
孫策は一瞬のきらめき。振り向かず前だけむいて突き進んだ結果、暗殺という形で生を終えてしまった。えっていうか小覇王の活躍あれだけ??フォローしてくれる誰かがいてくれたらなあ……
宛城そして官渡。
荀彧、荀攸、郭嘉、程昱ら能臣の活躍もめざましく、人材バンク曹魏の様相。徐晃とか張コウとかかくとかも集まってきた。
宛城に鄒氏なんて出てこない、けれどこの戦いはやっぱり心が痛くなるんだ。 -
官渡の戦い。 奢れる袁紹をついに撃破。曹操の勢力拡大。逃げ回る劉備には呆れるばかり。
-
正史ベースの三国志。
天下分け目の官渡の戦い。
曹操の非凡さは言うまでもないが、のらくらしているようで生き抜いている劉備も凄い。 -
風は季節によって変わるということを本当に分からせてくれるのは豊富な経験であり、積み重なった年齢である。何度も死地を素足で踏破した曹操には密かな矜持がある。献帝にはかつての皇帝にはないしぶとさがあり強運というが、それをはるかに超越したものを具有しているのが曹操であり、人徳の清々しさに激しく打たれるものがあった。三国志演義には書かれていない、あるいは故意に隠されたものが本書では洗いざらい描出されている。脈絡のなかったものがしっかりつながったといった興奮を味わわせてもらった。歴史の真実に触れ純粋な感動をおぼえた。
-
第5巻では三国志前半のクライマックス、華北の覇者を決めた官渡の戦が描かれる。曹操は袁紹を破り、漢の皇帝をも掌中に治め、天下の第一人者に躍り出る。
殷の紂王は徳を失い、新たに徳を備えた王者が求められた、と孟子は易姓革命を定義した。司馬遷は更に一歩進めて、秦王朝の失徳は当然として、戦に長けた項羽よりも人を惹き付ける魅力のある劉邦の方が王者に相応しいとした。陳寿もその構図を継承していて、名門のアドバンテージを抱えながら人を活かしきれない袁紹と、酷薄だが有能の士を登用しリーダーシップを発揮する曹操を、鮮やかに対比させている。
曹操はかつて中原と呼ばれた地域を制覇し、次は南方、劉表の荊州へ目を向けるのだろう。三国志の面白いところはそこから話が単純には進まないところ。負け続けた劉備も次第に不思議な徳を放ち始め、関羽、張飛に加えて趙雲を得ながら南方へ向かう。真の天下人に相応しいのは誰か、陳寿の問いかけは続く。 -
曹操と奥さんの別れがなんか悲しかった。
-
<作品紹介>
曹操はついに立った。天子を奉じることを決断。七年前に脱出した洛陽へと向かう。時代は、攅峰を均すという作業をはじめた。ひときわ高い山だけが残る。たれに帰服すればよいか―志のあるものは、高山の麓に集まりつつある。呂布、袁術らが舞台から姿を消し、いよいよ曹操と袁紹は天下分け目の「官渡の戦い」へ。文庫版オリジナル書き下ろし『後漢と三国の仏教事情』(三)収録。
<感想>
第5巻のメインは官渡の戦い。曹操はここでの勝利で中原の覇権を納める、いわゆる三国志前半のハイライト。
しかし、猿紹に関しては、ストレートに言えばばボロカスに描かれていて、これまでの複数の作者の三国志の中でも一番ケチョンケチョンに表現されていた気がする。
また、宮城谷三国志は正史を基にしているため、あらためて感じるところだが、この作品は曹操が主役で劉備はあくまで脇役であるところが面白い。
今後、孔明や周瑜、司馬懿などがどう描かれるかが楽しみである。