- Amazon.co.jp ・本 (375ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167260033
作品紹介・あらすじ
ワシントンの国立公文書館に眠る百六十万ページもの米軍奪取文書。血染めの兵士のメモが、古びた作戦指令書が、生き生きとあの「朝鮮戦争」の全貌を浮かび上がらせる。日韓で話題の書。
感想・レビュー・書評
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「朝鮮戦争」萩原遼著、文春文庫、1997.06.10
376p ¥510 C0131 (2023.04.27読了)(2003.03.17購入)
副題「金日成とマッカーサーの陰謀」
【目次】
まえがき
序 ある老詩人との対話
第一章 世紀のすりかえ劇
第二章 ソ連軍政下の北朝鮮
第三章 武力南進の序曲
第四章 監獄国家のはじまり
第五章 戦争準備
第六章 南進直前の人民軍
第七章 第六師団の南進
第八章 第三師団の南進
第九章 第二師団の南進
第十章 人民軍全師団が展開
第十一章 金日成の謀略
第十二章 アメリカの大謀略
第十三章 誤算の連続
第十四章 予期せぬ泥沼化
第十五章 平壌陥落
あとがき
主な参考文献
文庫版へのあとがき
解説にかえて 北朝鮮資料が明らかにした朝鮮戦争の起源 李命英
☆関連図書(既読)
「朝鮮戦争」神谷不二著、中公文庫、1990.03.10
「朝鮮史」梶村秀樹著、講談社現代新書、1977.10.20
「物語韓国史」金両基著、中公新書、1989.05.25
「閔妃暗殺」角田房子著、新潮文庫、1993.07.25
「韓国併合」海野福寿著、岩波新書、1995.05.22
「韓国併合への道」呉善花著、文春新書、2000.01.20
「韓国」渡辺利夫著、講談社現代新書、1986.10.20
「徹底検証朝日「慰安婦」報道」読売新聞編集局著、中公新書ラクレ、2014.09.30
「謎の独裁者・金正日」佐々淳行著、文春文庫、1999.02.10
「ソウルと平壌」萩原遼著、文春文庫、1998.10.10
「拉致と核と餓死の国 北朝鮮」萩原遼著、文春新書、2003.03.20
(アマゾンより)
今日の北朝鮮問題を解く鍵は1950年の朝鮮戦争にある。著者は、アメリカの国立公文書館に眠る160万ページものアメリカ軍奪取文書を約3年がかりで読破した。兵士の血染めのメモが、暗号部隊名の指令書が、朝鮮民主主義人民共和国の根源にまで分け入り、あの戦争に隠された現代史の意味を浮かび上がらせる! 大宅壮一ノンフィクション賞を受賞したジャーナリストによる、渾身のレポート。 解説者の李命英氏(韓国・成均館大学名誉教授)も「南侵戦争の直接の行為者であった朝鮮人民軍の内部文書に因らずしてはとうてい知りえない1950年の秘密がこの本によって完全に復元された」と絶賛!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
朝鮮戦争というのは、
なんだったのか知りたかった。
この本は時代小説では無いので、
小説的な演出されていないので面白味がない。
著者がアメリカの公式文章を調べて、
現地調査をして書いた報告書のようなもの。
ここに出ているのは世間一般に知られている
歴史ではないようだ。
まず冒頭から“すり替え”という
衝撃的な言葉から始まる。
ほんとうなのか?
もう今となっては、そんな事はどうでもいいと、
言う人がいるかもしれないが事実は事実として
知っておかなければならないと思う。
この戦争に至った経緯は朝鮮半島に住む
人たちにとって実に悲惨である。
日本が併合したことが、この国の歴史を
変えたのかも知れないと思うとやり切れない
思いも湧いてくる。
共産主義と民主主義。
この二つの主義の争いに巻き込まれて
分断されてしまったのは悲しい歴史。
中国の近代の歴史も合わせてみると
共産主義というのは弱い人たちも
抑圧される社会ではあるのだろうか。
戦争で争われるのは、
大国の都合の良い国を作るためなのか?
一般の民はそれに
振り回されるしかないのだろうか。
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解説:李命英
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アメリカの謀略を暴く箇所など、論証するには資料が足りないなというようなところも見受けられるが、北朝鮮資料から読み解く朝鮮戦争という意味では面白かった。
こう見てくると、北朝鮮という国、人民軍という軍隊の生まれと育ちが今にまで及ぼしている影響は決して小さく無いんだなぁ。 -
まず何より著者の真摯さと「人としての心」に頭が下がる。一読者として感謝したい。
しかしこれが、マッカーサーの陰謀だったのかというと、そこは資料に基づく詰めが甘いようには思う。情況証拠である。それは仕方がないというようには思うが。
今、ベトナムに住んでいる。ホーチミン市。旧サイゴンだ。
こっちは北が勝ったバージョンである。
肉の入ったスープを当たり前のように食べながら、なぜあっちはああで、こっちはこうなのか、と思う。
本当に、なぜなんだろう。
中国および米国とその関係というモデルにすると、朝鮮半島とベトナムは相似形である。李承晩とゴ・ディン・ジエムだって似たようなものだ。
だとすれば、
・金日成とホーチミンの違い?
・自然環境的な意味での基本的な豊かさの違い?
・隣に「日本」があったかなかったか?
どれも全く的外れではないのだろう。しかしさすがに決定的な要因だとは思えない。
結局、違うものは違うのだろう。歴史は繰り返さないし、人間はモデルに還元できない。「似ている」というのは空論にすぎない。そういうことなのだと思う。
そう思う以外にない、と思う。
だから、救いがない。
この本の前に、「我々はなぜ戦争をしたのか」というベトナム戦争の感想戦の本を読んだ。というかそれを読んだから次にこれを読んだ。ベトナムの教訓を活かすべきなのならば、まずもって朝鮮半島だからだ。
しかしこれは、空論である。そういうことになる。
だから救いがない。
そう思うからこそ、著者の人間としての立ち位置に人としての感謝の念が湧くのだ。センチメンタルなことを言っているとは思うが、やはり、監獄国家に生きる人々への同情や、前からも後ろからも打たれる状況で洛東江で死んだ兵士に対する同情がないことには、歴史というのはどうしようもない気がする。 -
朝鮮戦争に無知だったもので、この一冊で大体の流れがわかった。
結論としては、朝鮮戦争といいながらも、それは米中戦争で、
朝鮮王朝時代から伝統的に続く、大国の武力を使って国内の問題を
解決してしまったのである。
まぁ、この本の一貫しての主題である、ソ連が介入したせいで勃発というのも
あるのであろうが。
でも中国が援助してなければ、今頃北朝鮮は存在していなかったのかも
しれない。
スターリンは金日成を見捨てたが、中国が援助してなければ、ソ連が援助していた?
歴史にもしもはないが、上記想像も膨らむ。 -
4167260034 375p 1997・6・10 1刷
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説得力があるようなないような。