さい果て (文春文庫 つ 3-11)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167265113

作品紹介・あらすじ

小説家を志す男と結婚した若い妻。しかし、貧しさとはかどらない創作に苛立つ夫の心は掴めず、妻は心のさい果てへと押し流されていく。芥川賞受賞作を含む連作長篇小説。(高橋英夫)

感想・レビュー・書評

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  • なんだか切ない物語だった。

    玩具とさい果てを自選作品集で読んだ。連作になっていることを知って図書館から借用。

  • 第一章春遠くの出だしがよかった。この作品は好きだと思った気がする。春遠くは全編通してよかった。とくにひとりで山形にいこうとする妻の姿がいい。
    連作として描かれているその後の風花とさい果ては段々と自分の中で盛り下がっていったと思う。単純に起伏があるかどうか(これは展開に限ったことではない)という意味で、春遠くを読んでいたときの高揚感がこなかった。
    第四章玩具は芥川賞受賞作なこともあったのか、個人的には好きだった。選評では狭い範囲の話だと言われてそこまでの好評ではないのだが、とくに夫が丸々とした金魚を持ったところが艶かしく表現されていて印象に残った。心で嫌々としている夫の習性を結局は尊重してしまう妻の姿に、この夫婦がいかに繋がっているかをみた気がした。

  • 男やからわからんけど、出産ってすごいイベントなんやなあて思った。志郎!!!!ちゃんとして!!!!!

  • 津村節子さんの「さい果て」(1972単行本、1994文庫)、連作5作、春遠く、風花、さい果て、玩具、青いメスです。夫史郎と妻春子(吉村昭、津村節子がモデル)の東北・北海道をさすらう衣料品販売の行商生活と夫の骨や解剖への奇妙な癖、あやしい世界が描かれています。5作のうち、玩具は津村節子さんの芥川賞受賞作品です。

  • 同じ主人公が登場する5つの短編を、連作としてまとめなおしたもの。若い夫婦が北へ北へ行商するくだりは、一緒に寂しい僻地に連れて行かれる感じ。弱く世間を知らない妻に対して、いつもなら腹立たしく思いそうなのにそれがなかった。主人公目線で弱さを書き出したとしても、それを言い訳にしていないからかもしれない。芥川賞をとった「玩具」を含む。

  • 2012.10.13(土)¥190。
    2013.4.12(金)。

  • 小説家を夢見、放浪癖ある夫と、家庭の温もりに憧れつつ、健気について行こうとする夫婦の連作。「玩具」は芥川賞。戦後間もない頃の妻って、こんな感じだったのかなぁ。女性の心理描写は卓越。

  • 福井などを舞台とした作品です。

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著者プロフィール

津村節子(つむら せつこ)
1928年 福井市生まれ。
学習院短期大学国文科卒。
1953年 吉村昭と結婚。
1964年 「さい果て」新潮社同人雑誌賞受賞。
1965年 「玩具」芥川賞受賞。
1990年 『流星雨』女流文学賞受賞。
1998年 『智恵子飛ぶ』芸術選奨文部大臣賞受賞。
2003年 恩賜賞・日本芸術院賞受賞。
2011年 「異郷」川端康成文学賞、『紅梅』菊池寛賞受賞。
日本芸術院会員。
主な作品
『重い歳月』『冬の虹』『海鳴』『炎の舞い』『黒い潮』『星祭りの町』『土恋』『三陸の海』等。
2005年『津村節子自選作品集』(全6巻)刊行。

「2022年 『紅色のあじさい 津村節子 自選作品集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

津村節子の作品

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