- Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167267049
作品紹介・あらすじ
十五歳のとき、私は娼婦だった。売春宿のおかみさんは私の実の母であり、ただ独りのお客は彼女の情夫で、私の育ての父だった……。自由を求めて旅立つ多感な少女を描くベストセラー。
感想・レビュー・書評
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【私は娼婦だったのだ。売春宿のおかみは私の実母で、ただ一人の客は私の育ての父だった…】
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春菊さんの自叙伝的長編小説。
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冒頭は実父と母親、私、妹の事が書かれているのだが、「あれ?何か変?」ってその家族に違和感を覚えるのだけど、それが養父と母親、私、妹になると違和感なんて可愛いものではなく異常な家族に変わっていく。
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とにかく養父の異常っぷりがキモい。
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そしてそれを盲目的に心酔してる母親も理解できない。
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あまりに異常な日常なのに淡々と書かれているのが感情を殺して生きてきた事をあらわしているんだと思う。
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16歳で家出して自分の人生を自分で切り開いた内田春菊さんの並々ならぬ強さに
脱帽です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
悲惨な体験をこんなにも暗くならずに書けるタフさ、文章力に驚愕!
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内田春菊さんはつくづくすごい人だ。養父からの性的虐待、見ぬ振りをする実母、我関せずのいい子ちゃんを演じる妹。特別な家庭ではない。貴方の隣りにも親から性的虐待を受けている子どもはいる。表に出ないだけ
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内田春菊が80年代にシンポジウムで喋っている本をこの間読んで、「16で家出した」というのを、別の講演者に非難されていた。それで、内田春菊ってファザーファッカーの人だよね?知っててこんな鬼畜な批判をするのかしら?と思って読んだ。ファザーファッカーは1996年に出版だったので、講演者は知らなかったのだね。
どういう理由があっても家出は良くないもの、我慢しておけばよかったもの、我慢が足りなかったものと、普通の人には映るものである。ムカつく。
本自体はもうえげつないし痛いし読まなきゃよかった。こんな人間がいると知りたくなかった。内田春菊がちょっと主張が激しいだけの人間に育ったのが奇跡のようだと思う。 -
昔あらすじを聞いて、恐れ多くて読まないでいましたが、私自身結構な年齢になったので読んでみました。
確かに凄く読後感が悪い話でしたが、勉強にはなりました。
「文学的な要素がない」「淡々としすぎている」などの意見がありますが、内容からしてその方が読みやすいと思います。これで文学の深い文章だともう読めないと思う。 -
胸に込み上げてくる感情の存在を幾つも感じた。過去に置き去りにしていたある種の感情を擽る作品。
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高校二年の時分。「これすごいから読んでみて」と友人に手渡された本は、カバーもその下の表紙もボロボロで、古本屋もびっくりのくたびれ具合だった。それがこの「ファザーファッカー」だ。友人所有の「ファザーファッカー」は学年中を回り、私のところに来た時にはすでにそんな姿になっていたのである。
15歳の主人公静子が、実の母も承知の上で育ての父に犯されるという衝撃的なストーリー。暴力的で酒乱でどうしようもない養父にも腹が立つが、弱々しく悲劇のヒロイン然としているばかりで娘を庇おうとしない母親はもっと理解に苦しむ。男の理不尽なところと女のいやらしいところが浮き彫りになっている。