死にゆく者からの言葉 (文春文庫 す 9-1)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (281ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167271046

作品紹介・あらすじ

死にゆく者たちは、その瞬間、自分の人生の意味を悟り、未解決のものを解決し、不和を和解に、豊かな愛の実現をはかる。死にゆく者の最後の言葉こそ、残された者への愛と勇気である。

感想・レビュー・書評

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  • この世で「愛すること(慈愛)」と「知ること(叡智)」だけが生きる意味である

    慈愛とは親が子を慈しみ愛するようなこと
    叡智は「物事に秘められた深い道理がわかるほどの優れた才能や知恵」のこと
    物事の本質を見抜くほどの研ぎ澄まされた才能や知恵のことを指し
    時には人類の枠を超えて、自然や神などの人類の叡智を持っても
    計り知れないような力や知恵などに対しても使われる

    死にゆく者はそのおおよそ24時間前に快復したかのような状態になる
    この時にすべきことを残されるものは知っておかねば

    母の時に忘れないでおきたいし
    自分の番になった時にこれを誰かに知っておいてもらいたい

    最後のこの時に何を言っても動揺しないでじっと聴くことができるのは
    近しいひとではなく 安定した状況にいる他人
    その人の言葉の意味していることをしっかり受け止め
    理解したことを示してくれる人を死にゆく人は求めている

  • よく「三途の川」を見たととか、病に伏していた人が、急に元気になったと思ったら、翌日亡くなったとか、性格の悪かった人が亡くなる前にはとっても穏やかでいい人になったとか良く聞く話だ。
    母も今元気でいるけれど、昔「三途の川」を見たそうだ。
    それは綺麗だったらしい。
    ただ呼ばれて川向うに行かれなかったと・・

    私はそういう経験はないけれど、事故にあった時、倒れるまでの間まるでスローモーションのように周りを見ていた。
    周りからしたらあっという間の時間だったろうけれど、私には結構長い時間だった。

    「パンドラの匣」を読んでいて、自分の思いと重なった。
    昔「自分はとっても幸せだけど、このまま人生が終わるわけがない。どこかでどんでん返しがきっとくる」と思うようになって、いつもそのことが頭にあった。

    最近になってある占い師さんから「あなたは念の強い人ですから、何かを考えるときは気をつけてくださいね。そうなってしまいますから」と言われたことがある。
    今思えば、あのころ「私はこんなに幸せで恵まれていてありがたいことだ。ずっとこの幸せが続きますように」と思っていれば良かったものを、「いつか・・」と思ってしまったその時からどんでん返しが始まったんだと思う。
    長い年月だった。
    でも、今は今こうしていられることがとても幸せだと思う。
    もう余計なことは考えずに、あるがままに生きて行こうと・・

    誰でも迎える死を自分はどのように迎えるんだろうか。
    穏やかに、愛に満ち溢れてその時を迎えられるだろうか。
    想像もできないけれど、叶うなら「あぁ、楽しかった」と終りたいものだ。

    とても心に響く一冊でした。

  • ふむ

  • 折にふれて読み返し、死を迎えることがどういうことなのか、死の受け止め方、死の迎え方について思索を深めたい一書。

  • 死期が近い人が言った言葉が書かれている本。自分に近い状態訪れる死をどう受け入れるか。死ぬまで自分の欲望のままに生きる人、死を受け入れられず周りに罵詈雑言を浴びせる人、周りに感謝しながら死を迎える人。人それぞれ。思うのは死が近いとその人の本質がはっきりわかるということ。自分の親が自分の死が近いと感じていて苦しんでいる状態。心安らかにと思うが本人の気付きが必要だとわかった。

  • 人は死ぬ直前に、最期に急に元気になったり、何かを伝えようとしたりするようだ。
    死に対峙したとき、過去を肯定し、周囲を、自分を肯定し、穏やかに向かっていけるには、この著者のような、ただ一体になってくれる人が必要なのかなと感じた。
    一人一人のエピソードが重くてさらさら読み進められない。
    小児がんの男の子が、せめて最後の時間はと、家に帰るときの寝床のエピソード。弟や妹の頭を撫で、母の服に手を入れてお母さんと呟く。わたしは電車に乗っていたけど涙が出た。

  • 命って
    本当にやりたいことに気づくって
    愛って

    すごいや。

  • 多くの方の死の間際に立ち会ってきた著者の体験談。
    病や死と聞くと、悲しみや辛さなどマイナスのイメージが真っ先に思い浮かぶけど、この本に出てくる方々は、歩んできた人生は様々だがみなさん穏やかで温かい最期を迎える。
    重いけれども、優しさに満ちた一冊でした。

  • 筆者は階段からの転落事故で臨死体験をし不思議な至福感を体験する。その瞬間に感じた慈愛と叡智が彼女の人生を変えた。色んな人の最後の時間を一体となって過ごし、その人が穏やかな心に変わって旅立ってゆく様子が感動的に書いてある。人は間近の死を直感し、死に際して他人からの誤解および自分の誤認識を解き、開放されて安心して彼岸に行くことを望んでいる。しかしそのためには、それを理解して支える人が必要であることを教えられた。最後の四通の手紙には感動する。

  • 死を前にした者たちは自身の死が迫るのを察知するという。自身の人生を振り返り、命ある者に大切なことを伝え残し人生の幕を閉じる。死を目前にした人との対話や自身の臨死体験を通し、“死”との向き合い方を説く。

    “死”は遠ざけるものではなく寄り添うもの。そういった姿勢で過ごすことが、結果的にずっと生きやすく、“生”を謳歌することにも繋がっていく。“死”に対して漠然した重荷を下ろすために、“生”に対して真剣になるために、限りある『命』について考えようとしている人に読んでほしい1冊。

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著者プロフィール

聖心会シスター・文学博士
東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。フランスとイタリアに留学。
米国スタンフォード大学客員教授、聖心女子大学教授を経て、国際コミュニオン学会名誉会長。聖心会会員。
修道院で8 年間にわたる沈黙の行を経験し、長年、日々の瞑想を実践。
教育活動のほか、ゲシュタルト・セラピーに従事、文学療法を開発する。
日本に初めてエニアグラムを紹介し、以後、日本におけるエニアグラムの第一人者として高い評価を得ている。
著書に、『死にゆく者からの言葉』(文春文庫)『愛と癒しのコミュニオン』『心の対話者』(文春新書)『9 つの性格』(PHP 文庫)『人はいつか死ぬのだから』(PHP)など多数。

「2023年 『悲しまないで、そして生きて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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