情報なき国家の悲劇 大本営参謀の情報戦記 (文春文庫 ほ 7-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167274023

感想・レビュー・書評

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  • 時々涙ぐんでしまった。先人が残してくれた「情報力」への警笛。

  • 大本営参謀及び自衛官として情報任務に従事した著者が、エピソードを交え、情報を軽視し続けた日本の問題点、情報収集・分析の心構えを説く。
    二線・三線の交差を求める(他の情報と関連があるか検証する)、数字的実証と現場の重要性(期待や感情による影響を可及的に排除する。そのために、作戦と情報を分離する。)、断片的で細かな情報を丹念に収集・整理・分析することの重要性(このような努力から「砂金」が見つかることがある。)といった示唆は民間においても役立つものと思われる。
    また、著者が駐在防衛官としてドイツに赴任する際の大島浩元武官からのアドバイス(信用を得る、相手の名前を覚え名前で呼ぶ、背筋を伸ばし堂々とする、パーティーでの挨拶と入念な準備)は外国企業と接する上でも妥当すると感じた。

  • 日本軍の情報参謀では有名な人。
    こういうタイプの情報参謀があまり居なかったのです。
    特務機関はたくさんあってそれなりに活躍はしていたのですが、公開情報を分析したり予測したりするインテリジェンスオフィサーのような方です。

  • 旧日本軍は最大の組織

    戦略 戦術 戦場

    経営方針

    職場や営業の活動

    マーケット

    戦場の考察はマーケティングリサーチ

    日本軍の暗号の非能率ぶり

  • 堀栄三は「正確な情報の収集とその分析という過程を軽視する大本営にあって、情報分析によって米軍の侵攻パターンを的確に予測したため、『マッカーサー参謀』とあだ名された」(Wikipedia)。上念司〈じょうねん・つかさ〉が毎年8月15日に繰り返し読む書籍と知って興味を抱いた。
    https://sessendo.blogspot.com/2020/08/blog-post_29.html

  • 負けに不思議の負けなしですね

  • 大東亜戦争に関する書籍は数多あるが、本書は『情報』の切り口から先般の戦争を記している。

    当時の大本営が敵国の戦略・戦術をはじめとする情報をどれほど軽視していたたが、当時を回想する形で記されているのでよく分かった。

    その中でも特に印象的だったフレーズは、一つの情報(徴候)に対して、複数の視点から丁寧に分析をしないと致命的な誤りをするということだ。

    現代でも、トランプ政権が誕生した際は多くの米メディアはクリントンを持ち上げ、トランプを非難していた。
    米メディアのフィルターを通して、日本メディアもトランプ劣勢という論調であったが、結果は違った。
    これは米選挙戦に対して、メディアの視点からでは捉えない米国民の民意があった、と考える必要がある。

    こういった事象からも著者の堀氏の考え方を引用できるはずだ。

    当たり前のことではあるが、本書を読んでからニュースを分析すると、そのメディアがどのような思考を持って論じているかを日々考える必要があるのを改めて感じる。

    SNSを含めて情報が氾濫しているが、自分の頭で考えることが今以上に大事な時代はないのかもしれない。

  • 米軍が見た日本軍五つの敗因
    ①国力判断の誤り
    ②制空権の喪失
    ③組織の不統一
    ④作戦第一、情報軽視
    ⑤精神主義の膨張

    戦略が誤れば、いかに戦術を駆使しても勝利なし

  • 「失敗の本質」に近い。
    なにより大きく違うのは、著者が現場にいた情報参謀であること。現場からは過大な戦果が報告され、上は負けなさそうな理由を並べ立てる大日本帝国陸軍の中での孤軍奮闘ぶりがおもしろい。

  • 太平洋戦争においてフィリピン防衛や大本営の情報参謀を務め、戦後は自衛隊の情報室長として情報戦の第一線で活躍した情報将校本人による回想録。日本軍の敗因分析については多くの本が出ていますが、情報将校本人の回顧録というのは史料としても価値が高いと思うのです。
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    https://flying-bookjunkie.blogspot.com/2020/04/blog-post_8.html
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