情報なき国家の悲劇 大本営参謀の情報戦記 (文春文庫 ほ 7-1)
- 文藝春秋 (1996年5月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167274023
感想・レビュー・書評
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^_^
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終盤にある、日本敗戦を導いた日本軍の情報の貧弱さを分析した米軍の報告書が、本書の本質を物語っている。
情報軽視、情報共有の欠落、根拠のない精神論…これらの敗戦の教訓は、今でも様々な場面で参考になると思う。 -
同じ主人公が3人称で語られたり、1人称で語られたりして混乱する。内容は面白いのに、文才は感じられない。残念な感じ。
それにしても大本営中枢の思考・行動様式が我が社の経営陣と瓜二つで嫌になる。自社の能力を客観的に評価できない、競合社の情報収集を軽視する、営業と技術が上に行くほど仲が悪い、精神論が大好き、現場の意見を軽視する、などなど。人材を選抜するシステムに重大な欠陥があるとしか思えない。 -
日本軍の情報参謀による回想記。本人筆というのは、その時代の人間の考え方がじかに伝わる。もちろん記憶がうそをつく部分もあろうが、それでも第三者の筆によるものとは違う生の感じがあるだろう。
本書は戦後40年を経ての出版だが、終戦直後のノートを元にしているらしく割りと細かい部分に記録は渡る。国力の差からいって勝てない戦争ではあったが、日本軍もやるところはやっていた。しかし、やはり官僚的な内向き組織であったとの批判はまぬかれない。また「戦場の霧」とでもいうべきところは、当然、情報畑の著者は強調している。
理念、戦略も結構だが、外に情報を求めるのは戦争でなくとも基本中の基本だ。 -
実家へ
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第二次大戦のとき、あまりの情報のなさに圧倒的不利になった。情報(まともな情報、諜報機関)の大切さを気づかされる。
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大戦末期にアメリカ軍の情報分析を担当した著者による回顧録。通信の傍受、アメリカ軍の進軍パターン、アメリカ国内の株価の変動等々から、アメリカ軍の上陸地点、時期といった行動を予測する。コールサインの数を解析して爆撃機の配置や爆撃を推測する。といった個々のエピソードはどれも非常に興味深い。ただ、こういった人力による分析しか行えなかった日本と、科学的な情報の解析を行ったアメリカを比べれば、日本の敗北は必然だった、と著者は指摘している。
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しかし、戦後、自衛隊で陸将補まで努めた人が、ルーズベルト陰謀論を信奉していたり、自衛隊のシビリアンコントロールに反発しているのを読むのはなんとも反応に困る。