霊長類ヒト科動物図鑑 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167277055

作品紹介・あらすじ

すぐれた人間観察をやわらかな筆にのせて、あなた自身やあなたを取りまく人々の素顔をとらえて絶賛を博した著者が、もっとも脂ののりきった時期に遺した傑作ぞろいの第三作。

感想・レビュー・書評

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  • 向田邦子のマイブームはまだ続いており。とはいえ、随筆集も数冊、短編も数冊しかないのですぐ読み終わってしまうのが悲しい……。
    台本をもとになんとかという人が小説にしたてた「向田邦子原作」の長編小説は読む気がせんし、シナリオは苦手だし、ということで残り少ない随筆集と短篇集を大事に読もう……。

  • 向田邦子と村上春樹のエッセイがやっぱり誰のよりも好き。

  • 2013.1.21読了。

    巧いなぁ。ヒコーキのエッセイには思わず身震いしてしまったけど。
    ヒトっていじらしいねと自分を含め優しく接せられるようになりそうな、そんなエッセイ。

  • 文学

  • 2017.12/23

  • 父の詫び状、ほどではないけどこれもいい。

  • 読みやすい

  • 914.6

  • 一時期向田邦子の本はたくさん買ったが、今は散り散りになってしまい、どの本にどんな事が書いてあったかもうろ覚えである。古本屋で安いのがあった時に買いなおしている。

    豆腐
      ひと月を豆腐に例える、筆者の感性。筆者とは関係無いが、別の人のエッセイで子供が売り物の豆腐を細かく刻んでしまった話を思い出した。あれは誰の作品だったか・・・

    寸劇
      客と主人の手土産を巡るやりとりを寸劇に例える。そんな事したことないなあ。このような事をしているご近所さんは、今どんどん減りつつあるような。

    助け合い運動
      眼鏡を直すためにもう一つ眼鏡が必要?
      懐中電灯を探すためにはもう一つ懐中電灯が必要?
      警官を捕まえる警官の気持ちは?
      石鹸をきれいにするにはもう一つ石鹸が必要?
      同じもの同士の話四題。

      子供の頃は、物が高価だったこともあってか、同じものは一つしか持ってはいけない、と思い込んでいた。例えば、傘。ハサミ。爪切り。靴。ラジオ。・・・今はどれもたくさんある。
      
    傷だらけの茄子
      台風が接近する時に感じる、不思議な心の昂ぶり。
    何か日常を離れ、非日常が現れるような気がして、子供の頃著者と同じような昂ぶりを感じていた記憶がある。停電も多かったし、テレビが突然映らなくなり、しばらくお待ちください という文字だけが画面に移ることもよくあった。テレビの深夜番組などほとんど見なかったが、台風接近時だけはNHKの台風情報をつけっ放しで寝ると、何故かいつもよりテレビとの距離が縮まったような気がした事も思い出す。
      雨戸がとても頼もしく思え、雨戸を締めると 安全地帯に逃げ込んだ、という安堵を感じた。今は団地住まいだが、雨戸が無いのでどことなく不安を感じる。

    浮気
     雑誌や日常のもの、これはここで買う、というのが人によってなんとなく決まっているのを、何らかの理由で別の店で買ってしまい、その後にいつもの店に行ってしまった時の気持ちを浮気にたとえている。気の重い例として美容院をあげている。私にもなんとなく想像できる。
     日常的に繰り返す小さな浮気が、大きな本ものの浮気を防いでいると言われれば、そんな気もする。

    無敵艦隊
     道一杯に広がって歩く主婦の群れ、店で他人とは違う注文(鰻丼を頼んで、鰻は別の皿に乗せてくれ、と注文し 店が躊躇すると激高する)に固執する人、世の中の慣例を理屈で否定(マンションを買って壁の厚みが専有面積に含まれている事に激昂し、壁を壊せと息巻く)する人・・・「こういう人には勝てませんなあ」というタイプを、著者は無敵艦隊に例える。
     私も立ち食いそば屋で 月見そばを頼んで、卵はそばに載せず別の皿に入れてくれ、という人に隣り合わせた事がある。で、皿に乗って出てきた卵を、その人はそばの上に落として食べ始めた。何か呪術的な理由でもあったのだろうか?
     悪意は無いのだろうが、他人に対する気遣いや、習慣、慣例に対する寛容さが決定的に欠損している人が、どんどん増えていくように思う。
     無敵艦隊同士でぶつかって、願わくば相打ちになって沈んで欲しいと思ったりする。

    女地図
     女が地図を読めない、描けない話

    新聞紙
     著者は新聞を三つに区分する。
     配達され、未読の状態から番組欄を見るため手元に置く「新聞」
     日付が変わって「新聞紙(しんぶんし)」
     さらに三日も過ぎると「新聞紙(しんぶんがみ)」

     今は出番が減ったが、s「しんぶんし」は今で言う包装紙やティッシュの役割を、「しんぶんがみ」は靴の湿り気取りに、活躍した。

     私は新聞のスクラップが趣味で、小学校の頃から途切れ途切れに続けているが、最近は多忙でほとんどできなくなってしまった。習慣は恐ろしいもので、スクラップしていない新聞を捨てることができない。で、今押し入れの半分位に古新聞がたまっている。どうしよう。いや思い切って捨てればいいのはわかっているのですけど。

    布施
      お坊さんに渡すお布施の金額と、タイミングに関する考察。

    引き算
      著者の数字に対するイメージ。小学校の先生には、子供が算数をわからなくなるパターンの参考になるのでは。
      引き算の「隣から借りてくる」というイメージは、私もすっきりしないな、と思った記憶がある。
      0、0.1、0.3のように対し、これを温度と混同して0は氷、0.1は氷の少し下、0.3は氷のもう少し下、というイメージは少数とマイナスの数を見事に混同しているが、漢数字で0・三などと縦書きすると、そう思うのも無理ないなと思ったりする。

    少年
     タイとイスラエルで出会った、2人の少年の思い出。

    丁半
     賭け事が嫌いでなかった父と、いっさい手を出さなかった母。
    女にとって、特に昔の女にとっては 賭け事などに手を出さずとも 
    嫁ぎ 子を生み 育てる 大博打をこなした上で、
    日々 買い物や家事、子育てで 小さなサイコロを振り続けている 
    との考察。

    マリリン・モンロー
     紋絽という言葉を初めて知った。和服関係の用語は日本人なのにほとんど知らないな。

    斬る
     新国劇の殺陣を見た事がないのが残念。

    知った顔
     往来で肉親と思いがけず出会った時の何とも言えない居心地の悪さ。
    高校生の頃だったか道の向こうから見知らぬ女の子が手をふりながら近づいてくる・・・と思ったら妹で、何で気づかないの、と怒られた事があった。家の外で見る家族は、家の中とは違って見えると思った次第。

    小判イタダキ
     ご飯を食べる時の「いただきます」という挨拶。私も当然の挨拶と思っているが、昨今は「いただきます」も「ごちそうさま」も無い家庭が多いらしい。なんと寒々しい家族だろう。
     勤め人を著者は小判イタダキ、すなわち小判鮫に例える。昨今は吸い付きがいの無い勤務先や、そもそも吸い付かせてもくれない会社が増えているようだ。今なら向田邦子はそのへんどんな感想を書いてくれただろうか。

    写すひと
     海外旅行と写真にまつわる話。

    合唱団
     大和撫子女郎花。女郎花って、どんな花か、今ネットで見て初めて知った。大和撫子にしても、女郎花にしても、地味な花だな。

    警視総監賞
     痴漢を捕まえて警視総監賞を貰えるはずだったのが、父の猛反対で取りやめになり、それと以来賞と名のつくものに縁がなくなっていたが、30年ぶりにいただいた賞が直木賞だった、という話。

    白い絵
     Aを見たくて出かけたのに、Bを見て帰ってくる という話
     海水浴に行って豚小屋を眺めてきた話。
     プレスリーを見に行ってバーブラ・ストライサンドを見た話。
     ゴヤを見にスペインに行って、「この作品は今日本です」という貼り紙を
    見た話。など。
     ちびまる子ちゃんの何巻だったか、欲しいものを中途半端に手に入れる女 まる子 というフレーズがあったのを何となく思い出した。

    大統領

     偉い人に関わる話。タイのシキリット王女、切手になる偉い人、ロナルド・リーガン、葉山良二。

    ポスト

     右と左 に関する話と ポストに関する話。

    旅枕

     枕の話題あれこれ。

    紐育・雨

     レーガン大統領が撃たれた日にニューヨークに居合わせた話。

    とげ

     猫のとげを抜く話と、心のとげの話。七輪の語源。

    軽麺

     モナリザとカルメンを題材に、ひとりひとりが持つ異なるイメージの話。

    男殺油地獄

     コレステロールに始まり、食生活と油の話。

    お手本

     猫を皮切りに動物の仕草の話

    西洋家事

     ホテルで非常ベルが鳴った話

    あ、やられた

     卵、ホチキス、ギザギザ、ビニールに関わる失敗談

    味噌カツ

    スリッパ

    安全ピン

     安全ピンはやっぱりピンなのだ
     安全カミソリはやっぱりカミソリなのだ
     安全地帯にいても車にはねられる

     絶対安全である事を強要し 危険なものは許さない という姿勢は
     最も危険な事と思う。危険なのはわかっているが使わざるを得ないものは世の中にたくさんあって 世の中のために 危険な仕事をしていただいて ありがとうございます と何故感謝できないんだろう。

     警察官、漁師、医師、運転手、配達員、自衛隊員、原発関係者・・・
    責め立てるだけだと専門職は誰もいなくなっちゃう。

    泥棒

     ホテルでの泥棒?遭遇体験。

    孫の手

     最近孫の手買った。

    たっぷり派

     見るのはあっさり、味付けはたっぷり という著者。私はたっぷりには抵抗ある。
     
    ヒコーキ

     著者のエッセイの中では 最も有名な作品の一つになってしまった。
    日々の片付けはしておきたいのだが、縁起をかついでいるわけでもないのに全然片付かない。

    ミンク

     きつねの襟巻きって、なんか子供の頃好きだった。

    なかんずく

     なかんずくって、今聞かないな。
     リスク、メリット、デメリット、ノウハウは今や日常後になってしまった。

    泣き虫

     子供の頃のように喧嘩して泣いたり、悲しくて泣いたりという事は無くなったが、小説や漫画、映画やアニメなどで涙腺が刺激されることは多くなった。
     最近では琴浦さんとか、極黒のブリュンヒルテ4巻とか。

    良寛さま

     この円空が着いたアパート、今もあるんだろうか。

    お化け

     猫にお化けと名付けるセンス。

    声変わり

     女の声変わり 怖い怖い。

    脱いだ

     漬物や刺身を何切れにするか との話。気にしたことなかった。

    いちじく

     子供の頃、いちじくを食べたいと親にねだって 買ってもらったら美味しくなくてほとんど残してしまった事がある。確かファーブル昆虫記で 何かの虫がいちじくを好む みたいな話を読んであこがれたんだったと思う。
     ウイスキーでいちじくを煮るっていうのはやってみたいな。

    「う」

     この話は好き。

    虫の季節

     そんなに虫が駄目というのが理解できない。

    黒い縞馬

     黒人の皮膚の色の多様さについて。

    兎と亀

     著者は兎タイプ。

    職員室

     今の学校の先生は大変。

    電気どじょう

     原稿ができない時の言い訳が 出来すぎ。

    一番病

     一番だったと自慢する人の神経がわからない。ビリ自慢はわかる気がする。

    解説   矢口 純

  • 目新しい題材はないのに、ごく日常のありふれた出来事なのに、
    「ああ、そうそう!」と新鮮な発見をしたかのような気分になれる。

    寺内貫太郎一家の作風と重なるのは当然か。

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著者プロフィール

向田邦子(むこうだ・くにこ)
1929年、東京生まれ。脚本家、エッセイスト、小説家。実践女子専門学校国語科卒業後、記者を経て脚本の世界へ。代表作に「七人の孫」「寺内貫太郎一家」「阿修羅のごとく」。1980年、「花の名前」などで第83回直木賞受賞。おもな著書に『父の詫び状』『思い出トランプ』『あ・うん』。1981年、飛行機事故で急逝。

「2021年 『向田邦子シナリオ集 昭和の人間ドラマ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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