- Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167277161
作品紹介・あらすじ
小心・真面目なサラリーマン古田は、近く退社するという部下の女子社員と一世一代の不倫を計画していた。だが、その当日、妻が会社に来る。娘が妻子ある男と同棲を始めようとしていたのだ。「遊びか、真剣か」とつめよる古田に男は「遊びだ」とうそぶく。不倫をテーマに、微妙な人間心理と家族のあり方を描く。
感想・レビュー・書評
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昭和の東京の豊かさと余裕よ…て感じで、完全に底の抜けた現代の感覚ではよく理解できない心情ばかりだったけど、時代背景まで掘り下げて味わいたい程ではなかった。
小林桂樹のあとがきが当時のテレビの空気みたいなのをよくあらわしていて良かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
なんか分かるな、古田さんの気持ち
腹立たしさ、悔しさ、羨ましさ、罪悪感がぐちゃぐちゃになったのだろう -
小心者で頑固一徹のサラリーマン、古田は53歳。部下で27歳の女性社員から会社を退職したいと相談を受けたのをきっかけに、古田は彼女との不倫願望を抱くようになる。ところが、そんなタイミングに妻から会社に電話があり、23歳の娘の不倫を知らされる。慌てふためく、古田と妻。ちなみに、作品名の蛇蝎(だかつ)とは「へびとさそり。人が恐れ嫌うもののたとえ。」という意味のようだ。
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「向田邦子」の『蛇蝎(だかつ)のごとく』を読みました。
1981年にNHKの土曜ドラマ向けに書かれた放送台本を「中野玲子」が小説化した作品です。
「向田邦子」作品は、時々、読みたくなるんですよねぇ… でも、思い起こしてみると2009年3月に読んだ『眠り人形』以来なので、ほぼ2年振りの「向田邦子」作品ですね。
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小心・真面目なサラリーマン「古田修司」は、近く退社するという部下の女子社員と一世一代の不倫を計画していた。
だが、その当日、妻が会社に来る。
娘「塩子」が妻子ある男「石沢」と同棲を始めようとしていたのだ。
「遊びか、真剣か」とつめよる「修司」に「石沢」は「遊びだ」とうそぶく。
不倫をテーマに、微妙な人間心理と家族のあり方を描く。
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娘を持っているわけじゃないんですが、、、
主人公の小心・真面目なサラリーマン「古田修司」に感情移入して読むことができました。
親としての怒りや哀しみ、男としての欲望や苦しみ… 感情移入できたのは「修司」の心の動きがとてもリアルに描かれている気がしたから。
女性である「向田邦子」が、男性の気持ちを巧く表現できるのは不思議だけど、それが「向田邦子」作品に共通することだし、惹かれる要因なんですよね。
好きだけど嫌い、嫌いだけど好き… 矛盾だらけの人間味溢れた魅力ある登場人物たち。
その登場人物一人ひとりの性格が巧く描かれていることや、台詞回しのテンポの良さも、他の「向田邦子」作品と共通することですね。
作り物ではなく、生身の人間を感じさせる登場人物たち… そして彼(彼女)らの心の機微、特に男性の心の動きを的確に表現されていることには、本当に感心します。
台詞はテンポの良さでけではなく、ユーモアもふんだんに含まれていて、、、
当事者は真剣そのものなんでしょうが、傍から見ていると、クスッ… と、思わず頬を緩めてしまうような台詞があり、さすが「向田邦子」作品だなぁ。 と感じながら、そして楽しみながら読みました。
あと忘れちゃいけないのが、女性の視点からのドキッ!とさせられる台詞。
女性って、そんな視点からモノを見てるんだ… 怖いなぁ… と思わせる台詞が「修司」の妻「かね子」や「石沢」の妻「環」から発せられるんですよね。
こんな台詞を読んでいると、男性の方が単純でわかりやすいなぁ… と感じます。
「乃木希典」と「ステッセル」に例えられた「修司」と「石沢」が、たまたま交差点で出会い、握手をしようとした手を同時に引っ込め、やあと手を振って潔く歩み去るエンディングは良かったなぁ。
特にこの二人の関係が良かったし、印象に残った作品でした。 -
とても読み易い。 如何にも昭和のコメディータッチもドラマのよう。 ただそれだけ。 終始感情が揺さぶられることなく終了。
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だいぶ時代背景が古くなってしまったが、いい加減な性格も几帳面な性格もどちらもそれなりに捨てがたい魅力がある?という話
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さすが向田邦子。といっても、これはほかの方がシナリオを小説に書き換えたもので、読もうか迷っていました。読んでみると違和感なく、一気に向田邦子の世界に引き込まれました。それぞれがそれぞれの思惑の中でいろいろなことを考え行動し、でも、本当の悪人はいなくて、憎めず、くすりと笑える。この巧妙さ、情けなさ、人のおかしさ、向田邦子さんは人を見る眼差しが温かいのだなあと毎回思う。
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向田邦子その2。人生初の浮気をしようとしたときに、娘の不倫発覚。真面目なお父さんと娘の不倫相手の間に、いつしか同志的な友情のようなものが芽生えるという。読後はさわやかな温もり。