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この作品からのみんなの引用
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たまんないなあ。あのまじめさ、おかしさ、かわいさ。
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さと子は、一番大事なことは、人にいわないものだということも判った。白い歯をみせてサクサクと青りんごを食べる母も、父も、門倉のおじさんも、みな本当のことはいわないで生きている。大人の仲間入りをしたような気がしたさと子は、サクサクという噛み音を母と合わせるようにして口を動かした。
― 95ページ -
「人間なんてものは、いろんな気持隠して生きてるよ。腹断ち割って、はらわたさらけ出されたら、赤面しておもて歩けなくなるようなものを抱えて暮している。自分で自分の気持ちに蓋して、なし崩しにごまかして生きているよ。みんな思い通りにやりたいんだよ。やりたいけど度胸がないんだよ」・・・
「たった一度しか生きられないんだ。自分に正直に振舞えばいいんだよ。それをみんなまわりに気兼ねして、お体裁をつくって綺麗ごとで暮しているんだよ」
― 178ページ
みんなの感想・レビュー・書評
なるほど、名作。しかも、大人の小説。男二人の友情物語というよりは、19歳になるさと子の成長物語と、私には読めた。文庫本のあとがきには、「叶わぬ夢も多いが、叶う夢もあるのである」とある。
初・向田邦子でした。 良いとか悪いとか、そういったこととは別の次元で、まだ私自身が向田邦子の世界に慣れていないので、大したことは書けないのではと思いつつも。 扱いづらい題材を選ぶなあ、というのが第一印象でした。最小限の説明しかなされず、表面上での会話だけでは裏のことも、登場人物の真意もまったく分からない。 個人的に、ヨーロッパ圏のひとと関わることが多い私にとって、この中の女性は衝撃的でした。... 続きを読む »
久々の向田だが、やはりすごい。
何もかも、昭和を描くのも、その男心も、女心も、何もかも昭和的でいい。
それも幻想的な昭和で、ある意味泥臭いのだがそれを感じさせず、戯言のない昭和。
今、平成には聞こえの良い言葉ばかりあふれている。
その日その日を精一杯真面目に生きろ?
出来るかそんなこと。
向田の描く男の男気にあこがれる。
古いが、ああいきたい。
つつましい会社員の水田仙吉と軍需産業で景気のいい社長の
門倉修造との友情は神社の鳥居にならんだ
狛犬のあうんの様に親密なものだった。
太平洋戦争をひかえた昭和の日本があった
こういう暮らしや親密なつきあいはもうどこの家庭にも
みることは出来なくなってしまった
門倉は水田の妻たみを思慕しているけれど3人が3人とも
何もいわない
それぞれの分をきちんとわきまえた人間が描写されていた
家庭の匂い、音、季節、不便だけれど暮らしが丁寧だ
連絡も簡単にはとることはできないけど繋がりは強い
そしてこの人は知っているという人が必ず出てくるほど
心理描写が鮮やかだ
つつましさに美しさが宿る
含羞に美しさが宿る
中川一政さんの表紙と題も味がある
愛すべき人たち。愛すべき本です。すべき、がこんなに当たり前で柔らかい言葉になる本はないです。ちょっと、のどがひゅうっとなるくらい、感動しました。本は言葉からできてるんだなって、あらためて思いました。
あ・うんの門倉といえば健さん、じゃなく杉浦直樹だと思うんです。でもVHSしか出てないんです、近所のレンタル屋には健さんのすらないんです。杉浦直樹、もう見れないのか、、、。水田のフランキー堺と坂東英治は、フランキー堺なのかな、やっぱり。
勧められて読んだのだが、途中でやめることが
出来ずに一気読みしてしまった。
大人の恋愛。
「おとなは、大事なことは、ひとこともしゃべら
ないのだ」というフレーズが印象的。
中学か高校の頃に習った向田邦子の【父の詫び状】が気に入っていた。語り口がやさしくて凛としていて、何度読み直しても面白い本だった。向田邦子の作品は感情に左右されず平常心で読むことができて、柔らかな気持ちに包まれる。登場人物がいい。人間らしくて、ずるい所もあるけれど、それを補ってあまりある良さがあって。義理がたいところも魅力的だ。読み終えたあとは、人間の弱さも強さもまとめて受け入れられるようになっている。あぁ、いいなぁ。優しいなぁ。優しくて強い。
割と古い本で、平成生まれの僕が理解できるか不安だったが、十分に理解出来たことが非常に嬉しかった。また、なんともいえない進行具合が堪らない。
深追いしない登場人物に対して、
「そこ行かんのかい」と突っ込むよりも、「そうだよねー行かないよねー」となるような感じ。
あと、突然出会ったり、海外転勤が決まったり、不治の病にかかったりしない恋愛小説もあるということ。
男の友情と男女の様々な思いを描いて深い余韻を残す作品である。残念ながらここまで情が濃い人間関係に現実感はなく、まさに隔世の感は否めない。だからこそ舞台が戦前なのだろうが、現代の読者には難しい設定だ。
同名のドラマは見ていないが、見事にカット割りされた脚本を読んでいるかのような錯覚をさせる。しかもそれは往年の松竹映画を彷彿とさせるものであり、小津安二郎が映画化したら佳作ができただろうにと、愉快な空想が膨らむ。
みんなが本当のことを言わなくても大体わかる。わかるが故にもどかしい。そんな心境の変化を中心に読んでいくのも面白い物語だった。ただ、戦前という時代背景を知らないと判りづらい面も多かった。
みな本当のことはいわないで生きている。「おかしな形にはおかしな形なりに均衡があって、それがみんなにとってしあわせな形ということも、あるんじゃないかなあ」。
正論ばっかり声高に主張して突っかかって、しんどくなっている自分の未熟さが嫌になる。
普通の会社員仙吉とその妻たみ。そして仙吉の友人門倉。 仙吉と門倉はまるで神社の鳥居に並んだ一対の狛犬「あ」「うん」のように 親密なものであった。 口にも出さないけど門倉は仙吉の妻、たみに思いを寄せている。 たみもそれには薄々気付いている。 仙吉も気付いている。 でも門倉は色仕掛けをするでもなく、たみが仙吉と仲良く幸せに暮らしてくれる事を祈り続ける。 そうした気持ちを隠しながら... 続きを読む »
図書館のロビーでやっていた古本市で文庫3冊100円で買ったうちの1冊。 読み終えて、あれ?「あ・うん」はドラマ見てなかったっけ?、だったのだ。 向田邦子のドラマは何度も再放送されていたし好きだったので、見たつもりでいたけど、話に覚えがなかったよ。(=^_^;=)ゞ それにしても、今こうして読んでみると、戦前の明治から昭和の匂いって祖父母を通して自分の嗅覚にもそれなりに残ってると思っていたが、... 続きを読む »
昭和を舞台に軽やかで静かな三角関係と友情を描いた作品。 この物語の主軸は3人になる。 男前で懐が深い門倉修造。 下町男児の気性を持つ水田仙吉と慎ましく真面目な仙吉の妻たみ。 この3人の三角関係を程よく穏やかな語り口で、昭和の時代背景とともに描いている。 男子の旧く固い友情と、門倉が恋い焦がれるたみへの想い。 昼ドラのような激情で泥臭い印象は決して与えないまるでプラトニックな愛の... 続きを読む »
最近、現代作家ばかり読んでいたので忘れていたけれど、この本を読んでどうして私があまり現代作家の本を読まなかったかを思い出した気がする。
結局のところ、行間に流れる空気が、現代作家のものは想像がつく、というか自分の生きている時間と同じだけれど、近代以降現代未満の作家のものは別の次元だから、一種憧れを感じるんだな、と。
まあ、向田邦子はまだ現代の部類に入るかもしれないが、やはり戦中派とも呼べる年代のものなので、私が知っている現代ではないから。
もっと何か理由があるのではないか、などと探りすぎると、「え、終わり??」となるかも。あうんよりも、あの人が好きこの人が好きが目立つような?複雑な心情や描写は読んでいて楽しかった。
小説は昭和12年の日中戦争の頃の話。
心に思ったことをすぐ言葉にしてツイートするのが流行りの昨今では
それぞれの思いを口に出さず秘めたまま暮してしている主人公たちは、もはや化石と呼ばれてしまうのか?
いや、むしろプラトニックこそ最先端。
29歳現在では、分かり切れない内容。奥が深い、というか、人生とはこういうものなんだ、と思う。
向田邦子のすごいところは、何回も読み返したくなるところ☆
宮本輝とはまた違った、「人間臭さ」がにじみ出ている

昭和初期の山の手を舞台とした、製薬会社のサラリーマンの水田仙吉と親友の実業家門倉修造、門倉に思われる仙吉の妻たみ、仙吉夫婦の一人娘さと子、門倉の愛を得られぬ妻の君子を中心とした、暗い昭和の支那事変前夜...





