コーヒー・ブレイク11夜 (文春文庫 あ 2-5)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (329ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167278052

感想・レビュー・書評

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  • ブラックユーモア、と定めれば確かにそうなのかも、と思うけど、途中で読むのが辛くなる箇所が多々。
    性的な部分の模写が、セクハラ受けたことのある方には辛いかも。

  • 1978年から1982年に、様々な出版社の雑誌に発表された短編を11編収録した、寄せ集め的な作品集。単行本は1982年に刊行。
    各短編の最初に、ブラック・コーヒーの絵があり、最終的にブラック・コーヒーが11杯、となるように、ブラック・コーヒーとブラック・ユーモアを掛け合わせた意味のタイトルかと思いますが、ここに集められた作品は、阿刀田高作品の中でもそれほどブラック・ユーモア感は濃くなく、最初に収録された「あなたに捧げるブルース」が強烈にブラック・ユーモア感があるのと、あとは阿刀田高作品に時々見られる老女が活躍する「お望み通りの死体」、殺人計画もの「グッド・タイミング」「電話で自殺を」以外は不思議系の作品ばかりです。
    一番印象に残った作品は、やはりブラック・ユーモア感がある「お望み通りの死体」です。


    以下は簡単に各作品の感想を↓


    あなたに捧げるブルース
    31才・独身の、サラリーマンが主人公。
    ポケットの綻びから、運命がどんどん悪い方向に転がっていく一日を、強烈なブラック・ユーモア仕立てで描いています。
    ブラックな笑いが加速していく様子が実に楽しいですが、電車に乗車するのに、自動改札機が無い時代ならではのネタでもあります。


    冥い道
    迎えにいく人と、道の途中で会う約束をしておきながら、行き違いになってしまう不思議を、ブラック・ユーモアはかなり控え、怪奇仕立てで描いた一篇。
    これも、携帯電話なんて無かった時代ならではのネタですね。


    グッド・タイミング
    恋人の浮気を自ら探り、浮気相手に殺意を抱く女を描いた一篇。
    ヒロインが殺意を抱く割には、女の怨み、というものは感じさせず、ヒロインが天然系のほんわかキャラなので、内容の割に作品全体がほんわかとしたものになっています。


    おしゃべりな脳味噌
    内蔵の病気になり、手術を待って入院中の次郎青年が見る夢が綴られていく一篇。
    次郎青年が見る夢の中では、次郎青年が何かの生き物に変身しているので、不吉な予感を感じさせつつも、どこか楽しさのある仕上がりでした。


    壁からの声
    盗聴が趣味の男が、犯罪計画を聴いてしまう、という一篇。
    ヒッチコック映画の序盤部分だけを膨らませて描いたような、サスペンスとして盛り上がる前にオチがきてしまったという感じもする作品。


    お望み通りの死体
    おばあちゃんが、ふと手にした古新聞の記事から、自分が住むアパートに死体が埋められているのではないか、と疑う物語。
    おばあちゃんが主役の阿刀田高作品は、大体、ブラックでありながら痛快な雰囲気がありますが、これもそうした一篇。


    骨の樹
    少年期を過ごした場所に、ふと立ち寄った男が、美しい女性と出会い、一晩を共にするのだが、というロマンティックでノスタルジックな怪談で、ブラック・ユーモア感は、全くありません。


    だれかが夢を覗いている
    あまり親しくない男女が、お互いにお互い登場するという共通の夢を見る、というちょっとロマンティックなストーリーが、徐々に恐ろしくなっていきます。これもブラック・ユーモア感はあまりなく、潜在意識の不思議を描いた一篇。


    電話で自殺を
    前半と後半では、ずいぶんと印象が違う一篇。
    前半は昔別れた恋人同士が再会するロマンティックな物語で、突然別れを告げた彼女に何か秘密ごありそうな雰囲気。
    後半は、男が、再会した女との恋に溺れ、妻を殺そうとする物語で、秘密がありそうだった女には特に秘密は無く、阿刀田高作品にありそうな妻殺しのブラック・ユーモア全開の犯罪小説。


    影絵
    書いた絵が、目には見えないのに実体化したような、そんな不思議な気がする絵の具を手に入れた貧乏画家の物語。
    不思議な話ですが、語りの妙で、怖ろしい話になっています。

  • ショートショート。

    「死」に関する話や男女の話が多かったです。
    怖めな話だけど、核心はつかないような終わり方がショートショートっぽいです。

    星新一さんの方が好きかな。

  • 短編集。わりと予想できる展開が多かった。

  • 解説を読むと、大人の男女関係にポイントを置いた作品集なのだとか。
    道理でエロティックな描写が毎回入ったわけだと妙に納得。毎度毎度女性のある部位の単語が入っているのだが、著者がそそられる描写なのかなあと思わず笑ってしまった。
    んー、全体的には正直あまり印象に残ってない。舞台となっている時代が古いのもあるかもしれないが。
    中でよかったのは「骨の樹」。

  • 昔、阿刀田高さんの本にハマっていろいろ読みまくった。でもこれは読んだ事無かったなぁ。個人的にはこれより他の本のほうが好き。

  • サーっパリといえるほど
    女性にはやさしくない氏の作品。
    だけれども言っていることは率直な風刺。

    その最たる例と取れるものが
    「不完全な男」と言う作品。
    これは5文字英文卑語の女の典型的な例です。
    しかも重傷な要素までおまけについた。

    無論そんな女には
    そのストーリー相応の
    仕打ちが待っています。

    男と女の汚い面が
    結構覗けたりするので
    あまり薦められたものではないかも。

  • ちょっと不思議な短編集。11話収録。
    オトナ向けのアダルトなシーンが多いけれど、人間のちょっと外れた考え方が書かれていて、読んでいるうちに怖くなる。

  • (メモ:高等部1年のときに読了。)

  • 短編集。ブラックジョークとちょっぴり怖い要素が満載。全11話。

  • 阿刀田高を初めて知った本。
    こういった不思議な本、大好きです。

  • 小気味よく読める本。

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著者プロフィール

作家
1935年、東京生れ。早稲田大学文学部卒。国立国会図書館に勤務しながら執筆活動を続け、78年『冷蔵庫より愛をこめて』でデビュー。79年「来訪者」で日本推理作家協会賞、短編集『ナポレオン狂』で直木賞。95年『新トロイア物語』で吉川英治文学賞。日本ペンクラブ会長や文化庁文化審議会会長、山梨県立図書館長などを歴任。2018年、文化功労者。

「2019年 『私が作家になった理由』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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