柳生兵庫助 3 (文春文庫 つ 4-18)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167314194

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  • (241ページより引用)
    暗い座敷の文机の上に蝋燭をたて、合掌して真言をとなえる。
    「オーン、バザラ、サツトバ、ソワカ」
    三度くりかえしたのち、炎の中心に視線をむける。

    またたいてはいけない。
    涙がでても拭いてはいけない。
    二十度ほどゆるやかに呼吸をするあいだ炎をみつめていて眼をとじる。
    眼裏(まなうら)には、点か星のように炎の残像がのこっている。
    それを凝視する。

    小半刻(三十分)ほどみつめていたあと、両手を筒のようにまるめ右の眼にあて、炎をみる。
    五度ほど呼吸したのち眼をほそめると、蝋燭の火が小さくみえてきて、左右にゆらめく。
    達人はそのゆらめきを念力で自在に動かせるというが、兵介のような初心者でも、眼をとじたのちに残る炎の像を左右に動かし、静止させることはできた。

    そのような訓練は視力を増大させ、さらに不可視の世界を見る能力をめざめさせるためのものであった。

    ------
    高校生の頃この本の記述を真に受けてやった結果、かなり目が悪くなってしまいました。
    (他にも目に悪いことをいろいろやってたので、必ずしもこれのせいとはいえないのですが。)

    ただ今になって読み返してみると、ここでいう視力とは、通常の意味での視力ではなく第三の
    眼のことを指しているようにも思えます。

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    忍者が指先を鍛える方法として
    米→砂利→粘土(少しうろ覚え)の順でやっていくという薀蓄が紹介されていた。

  • 柳生石舟斎の孫に生まれ、剣の道に励み、柳生新陰流宗家の名跡を継いだ兵庫助は、対立する忍者集団と文字どおりの死闘を展開する

  • 構え位に対しての悩み
    兵助もどんどん面倒くさい事にまきこまれてゆく

  • 初版本

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著者プロフィール

1929年和歌山県生まれ。東北大学法学部卒業。78年に『深重の海』で直木賞受賞。その後、織田信長を描いた『下天は夢か』がベストセラーになる。95年『夢のまた夢』で吉川英治文学賞、2005年菊池寛賞受賞。1997年に紫綬褒章を、2003年には旭日小綬章を受章。剣道三段、抜刀道五段で武術全般に造詣深く、剣豪小説をはじめとして多くの武道小説を執筆。2018年5月26日逝去。著書に『明治撃剣会』『柳生兵庫助』『薩南示現流』『雑賀六字の城』『修羅の剣』『大わらんじの男』『龍馬』など多数。

「2022年 『深淵の色は 佐川幸義伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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